常にファッションの本質を追い続けアンテナを張っている洒落者たちが、いまトラッドの定番としてなにを選ぶのか。そして「100年後の名品」、すなわち新定番と合わせて紹介してもらった。
1.【定番】「シェルべ」のシャツ|宮本スパイス 宮本哲明さん
ファッションだけでなく、フードやカルチャーにも精通する宮本さん。前職ではドレスやトラッドを担当していたこともあり、その手のスタイルにも精通する。だから定番として挙げたのは、フランスの最高峰シャツメーカーであるシャルベだ。
「ドレス好きにとっては特別な存在であるシャルベは、フランスだけでなく、世界でも指折りのシャメーカーだと思います。フランスにとっては工芸品的な立ち位置にあるのではないかと思いますね。いくつかのシャルベを着ましたが、その中でもおもしろい出会いだったのが、 BD襟のオーダー品。古着屋で見つけたものなのですが、自分の体型と趣味嗜好にぴったりでした。これくらいカジュアルな方が合わせやすいですね」
【新定番】「ジャケット」のジャケット
そのネーミングの通り、ジャケットに特化したブランド。不定期で納得したものだけをリリースするクラフトマンシップ溢れるスタンス。スモーキングジャ ケットのパターンをベースにし、飽きの来ない完成度の高さが魅力である。5万2800円(ブランデット ショールーム&ストア 03-6447-2018)
2.【定番】「リー」のジーンズ|サンタセッ 大貫達正さん
物心ついた 3、4歳の頃から、ジーンズは大貫さんの定番。お年玉を握りしめ、始めてヴィンテージを入手したのは小学5年生の頃。生粋のジーンズアディクトである。
「3大ブランドの中で、実はリーが一番後回しになっていて。というの も、自分のサイズに合うヴィンテージの球数が圧倒的に少ないから。これは50sのセンター赤タグの101で、希少なレングス短め。リーバイスがトラッド色強め、ラングラーがウエスタン色強めだとすると、リーはワークウエアとしての背景に加え、ジェームズ・ディーンが穿いていた不良とバイカーファッションのあいだにあるイメージで、そこがひとつの魅力です。だからスタイリングもその当時の反体制的な雰囲気を醸すとハマります。タックインがお約束です」。
【新定番】「サンタセッ」のジーンズ
大貫さんが考える本当の定番、本質の最高峰を追求した1本。産業革命後に生まれた鋳物のブラックミシン14台を使用し、部位ごとにそれぞれ専門のミシンで縫製している。「シルエットは501の、1960年代のギャラ無しモデルのやや細身のタイプをオマージュしています」。8万8000円(サンタセッ santasse.com)
3.【定番】「ベルナールザンス」のスラックス|トゥモローランド 川辺圭一郎さん
ベルナール ザンスは1967年にフランスで設立されたパンツ専業ブランドだ。
「1978年に生まれたセレクトショップのエミスフェールなど、パリの名店がこぞって取り扱ってきたのがベルナール ザンスです。こちらのスラックスは、エミ スフェールがベルナール ザンスに別注していたシリーズの第8作目ということで[H8]というモデル名が与えられています」。
今季、トゥモローランドのカジュアルセクションは「80年代のパリ」をテーマにしているという。
「ツーインプリーツのスラックスをあえてワンサイズ上げて穿くことで、太めのシルエットに見せています。そこに細かなチェックが入ったジャケットやきれいな色のハイゲージニットを合わせて、抜け感のあるフレンチルックに」
【新定番】「アディダス×トゥモローランド」のBWアーミー
ジャーマントレーナーを再現した[BWアーミー]にトゥモローランドが別注。「ベースにはシボのある革を指定し、そこに組み合わせるパーツは経年変化の雰囲気を再現するために少しグレーがかったオフホワイトカラーにして、さりげなくワイルドな印象に」。(トゥモローランドカスタマーセンター 0120-923-135)
4.【定番】「オルテガ」のベスト|メイデンズショップ 牧野真也さん
メンズからウイメンズまで3店舗のディレクションをこなし、様々なジャンルに造詣が深い牧野さん 。
「とはいえ、ファッションの入り口はアメカジでした。かっこいい先輩たちはみんな、オルテガを持っていて自分も憧れた記憶があります。こちらは、自分がバイイングを手がけるようになってからニューメキシコで見つけて購入したものです。ネイティブ柄ではなく、背中に精霊が織り込まれているところに惹かれました」。
サイズが46でゆとりのあるフォルムを描くベストに対し、インディビジュアライズドシャツもビッグサイズで合わせ、オーバーサイズパンツをセット。
「グラマラスなシルエットでまとめながら、ベストのターコイズを基調にして全体をブルーのトーンで揃えています!」
【新定番】「サンカッケー」のウォレット
首から下げるためのストラップが付いた財布。スナップボタンでメインパーツと小銭入れ、カード入れを結合。「各パーツの色を自分で選んで、自分だけの 1点をつくることが可能です。半年に1度、メイデンズショップでポップアップを展開していて、その際に組み合わせをオーダーしていただけます」。本人私物
5.【定番】「チャンピオン」のカレッジTシャツ|アイビー&ネイビー 小野雅之さん
「手放したものも多いですが、現在は古着・新品問わず30枚程度保有しています。リンガー、フットボール、チョコチンなど、単にTシャツと言っても種類が多いので、自然とチャンピオン製品が多く集まっていました。ほとんどが実際にカレッジのオフィシャルとして使用されていたアイテムなので、リアルな感じがして好きですね。年々、プリントの意味を考えて購入するようになりましたが、毎年なにかしら探しています。今年はいま着用しているような、変わったプリントものを探していますがなかなか見つかりません。ショーツに合わせると子供らしくなるという意見もありますが、おじさんになると頑張っても子供っぽく見えないので、気にせず短パンに合わせて着用する日もあります(笑)」
【新定番】「エシュン」のエベーネ
「フランスの老舗ブランドなので新定番と呼ぶのも変ですが、日本ではあまり知られていないですよね。履き始めの一歩目から高級絨毯の上を歩いているような柔らかさは、実際に履いて体感してもらいたいです。あくまでも噂ですが、 通常の約2倍のコルクが詰められているからだと聞いたことがあります」8万6900円
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典:「2nd 2022年9月号 vol.186」)
Photo / Satoshi Ohmura, Shunichiro Kai, Akane Matsumoto, Yuta Okuyama, Shigeki Tsuji, Nanako Hidaka, Kazuya Hayashi, Yoshika Amino Text/Shuhei Sato, Masatsugu Kuwabara, Okamoto 546, Kiyoto Kuniryo, Shinsuke Isomura, Shuhei Takano, Kazuki Imanishi
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