コートの種類は5カテゴリー。そのうち3つはミリタリー由来。
防寒性の高い厚手ウールをはじめ、コットン製スプリングコートや防水性に優れたレインコートなど、ひと言でコートといっても様々な用途があり、アイテムの振れ幅は広い。かつアウターとして最も存在感が強いために、スタイリングに与える影響力も相当なものだ。他のアイテムをベーシックにまとめれば、一点豪華主義的に渾身の一着として高級なものを取り入れてもいいかもしれない。
カジュアル目線で必須のコートは以下の5カテゴリー。トレンチ、バルマカーン、チェスター、ダッフル、ピーコート。興味深いのが、そのうち3つがミリタリーを起源として持つことだ。極限の環境下において各国が凌ぎを削った当時最先端のスペックを搭載したディテールは“機能的”であるのはもちろん、“機能美〞として完成されたデザインを持ち合わせている。
また、テーラリングの技術を伴うコートは、メンズクロージングの基礎を築いた英国発ブランドが欠かせない。トレンチの代表格バーバリーや軍に納入経験もあるアクアスキュータム。そしてゴム引き素材で有名なマッキントッシュもその最高峰に君臨する。
1.トレンチコート
ダブルブレステッド&ベルテッドの防水素材製コート。装飾性が高いことからドレス寄りなイメージが強いが、第一次世界大戦時の英国陸軍が塹壕(トレンチ)戦で着用していたモデルが起源とされる。襟元には防塵、防寒性を高めるチンストラップや発砲時の衝撃から身を守る右肩の当て布、ガンフラップはその名残り。当時、英国のアクアスキュータム社も軍への納入をしていた。
2.バルマカーンコート(ステンカラーコート)
小さめの襟が特徴のゆったりとしたオーバーコート。日本ではしばしば“ステンカラー” と呼ばれるが、それは和製英語でありスコットランドの地名にちなんだバルマカーンが一般的。他に比べて装飾の少ないベーシックなデザインなので着こなしの汎用性は最も高いといえる。英国マッキントッシュ社のゴム引き防水コートなど、多くの名作モデルもこの型を踏襲している。
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