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XREALの体験とはどんなものか、XREAL One/One Proを使って説明しよう

さまざまなVR、ARデバイスがあるが、イメージ広告はどれも「目の前に大スクリーン」というような表現なので、使ったことのない人には理解しづらいと思う。今回は、サングラス型ディスプレイで、一番注目されており、完成度が高くなっているXREALの体験を、わかりやすく解説しよう。

※タイトル画像は、XREAL One/One Proを使ってる人が、どんな感じで画面を見ているかのイメージ画像。実際には第三者からは画面は見えない。

XREAL One Proを体験してきた。いよいよ、これは買うべきかも

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2025年10月27日

XREALの説明をする前に、まずVR/AR/MR/XRの話

XREALは、もともと2019年1月のCESにNrealとして登場した。そして、一昨年2023年の5月に、社名およびブランド名をXREALに改称。日本法人も『日本Xreal株式会社』となった。つまり、まだスタートして数年の会社なのだが、Nreal Light、Nreal(XREAL)Air、XREAL Air 2、XREAL Air 2 Pro、XREAL Air 2 Ultra、XREAL One、XREAL One Pro……と、猛烈な勢いでモデルチェンジしており、そのたびにさまざまな点が改良されている。あまりのモデルチェンジの早さに、買い時に悩んでしまうほどだ。

本製品がどんなものか理解してもらうためにはVR/AR/MR/XRの話をしなければならないが、この用語は人によって(企業によって)解釈が違うのでなかなか難しい。順を追って解説するので、頭の中でイメージを描いて欲しい。

まず、目の前にディスプレイを置いて、それが現実空間にジャイロで連携しないタイプのVR。これがOculus Goのようなタイプ。目の前に空間は現れるが、頭を動かしても映像は影響されない。

次に初期Oculus(Meta) Questのようなタイプ。つまり、VR空間が目の前に現れて、現実空間の下を見ればVR空間の下、上を見れば上が表示され、前に歩けば映像の中でも移動できるようなタイプ。これが一般的な6DoFのVRデバイス。

続いてやりたいのが現実空間に仮想空間の映像を重ねる表現だ。

しかし、ここで方法論が分かれる。

ひとつは、現実空間に仮想の映像を重ねるタイプ。Horolensがこのタイプだ。これは光学シースルー方式(OST=Optical See-Through)という。逆に、カメラで現実空間の映像を取り込んで、その上に仮想の映像を重ねるのがビデオシースルー方式(VST=Video See-Through)という。

それぞれに利点と欠点がある。まず光学シースルー方式は、仮想映像が周囲の明るさなどによって見にくくなる。逆に仮想映像を強調すると、現実の映像が見にくい。また、両方が交錯するような表現で、細かく位置合わせをするのが難しい。

逆に、ビデオシースルー方式は、一度現実の映像を取り込んで投影するので、カメラで取った物を瞬時に処理して表現する高い処理能力が必要だ。すべての映像を一度演算しなければならないのだから、常時とんでもない処理負荷がかかる(たとえば、部屋にいてその光景を見ているだけでも、部屋の空間を立体として捉えて、正しい位置に表示する処理をしなければならない)。Apple Vision Proのバッテリーが2時間しか持たないのはそのためだ。

XREALは、OST ARに向けて進化しつつある『サングラス型ディスプレイ』

では、XREALはどのタイプなのだろう?

目指してる方向性はともかくとして、筆者はルーツであるXREALを正確に表現するなら『サングラス型ディスプレイ』という表現が正しいと思っている。

PCや、スマホの出力を、プリズムを介して目の前に投影するデバイスだ。

スマホやパソコンの外部出力を、プリズムを介して目の前に投影するデバイス……という表現が正しい。もともとは、空間固定なんかしない。ただ、目の前に半透明のディスプレイが登場するだけで、それは焦点距離は遠いものの、グラスと一緒に動いてしまうディスプレイでしかなかった。

だから、『○m先に、○00インチの大画面!』という表現はちょっと違うなと思うのだ。実際のところ、初期のXREALは、手を伸ばしたあたりに10〜13インチのディスプレイが浮かんで見える……というニュアンスのものだった。

しかし、XREALは猛烈なスピードでモデルチェンジするたびに、猛烈な速度で進化しているし、XREAL Eyeを組み合わせて6DoFにしたら、ついにそのディスプレイを空間に固定できるようになった。システム的にはウインドウやオブジェクトを空間に浮かべておくこともできるようになりそうだ。これはXREAL Oneから使用されているX1チップの処理能力に拠るところが大きい。

また、計画されているAndroid XR搭載のProject Auraでは、さらに進化したX1Sを使って、Apple Vision Proのような空間にウインドウや立体物を固定して表現することも可能となるという。

Project Auraは2026年登場予定。ただし、Android XRデバイスなので、アップルデバイスユーザーは、当面はXREAL One/One Proが到達点かも。

アップルも当初、光学シースルー方式を検討したが技術的に困難と判断して、ビデオシースルー方式に切り替えたと聞く。12個のカメラ、LiDARスキャナー、TrueDepthカメラ、4つのジャイロ、フリッカーと環境光のセンサー、M2とR1の2つチップ、2300万ピクセルのOLEDを2個……というすさまじい高性能部品の物量作戦でチャレンジしてなお、ビデオシースルー方式の方が良いと判断したのだ。

Vision Proに対抗? Android XR搭載の『XREAL Project Aura』も気になるが……

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2025年10月27日

その中で、XREALが光学シースルーを実現するのかどうかは非常に興味深いところだと思う。

『追従モード』と『空間固定モード』、それぞれどう見える?

という概略を語ったところで、XREAL One(6万9980円)とXREAL One Pro(8万4980円)、そしてXREAL Eye(1万3980円)を組み合わせた場合の使用感について、ご説明しよう。

前述の通り、XREALはおおまかにいえばサングラス型の外付けディスプレイだ。しかし、光学シースルー方式のARデバイスとしての能力獲得を目標としている。

発表会で徐馳(Chi Xu:チー・シュー)創業者兼CEOの話を聞いたところでは、「XREALは小さな企業(アップルに対して)だ。だから、その規模で出来ることを積み重ねて、ここまで来た」というニュアンスのことをおっしゃっていた。ARデバイスとしての夢があり、そこに到達するための『サングラス型ディスプレイ』と考えれば、いろんなことが理解できる。

現状、XREAL One/One Proの見え方は2種類。『追従モード』と『空間固定モード』だ。

まず、それぞれ、どの仮想距離にディスプレイを表示するかを決めることができる。おそらく、焦点を合わせる距離も異なるのだろう。XREAL Oneは2〜10m、XREAL One Proは1〜10mの間で設定できる。

その上で、想定表示サイズを決めることができる。XREAL Oneは、ディスプレイの仮想距離が2mの時に59インチ、10mの時に477インチまで設定できる。XREAL One Proは1mで34インチ、10mで556インチまでとなっている。

しかし、視野角はXREAL Oneが50度、XREAL One Proが57度なので、当然のことながらある程度以上大きく表示すると、映像がはみ出すことになる。

ここで、『追従モード』と『空間固定モード』が意味を持つことになる。

『追従モード』はだいたい隅々まで見えるサイズで表示した時に利用する。端の方がちょっと見えなくても少し頭を振ればそちらが見える。しかし、最終的には目線の中心が画面の中心になるので見えなくなる。たとえば、映画を見るような用途なら端が見えなくなってもいいかもしれないが、Macの外付けディスプレイとして使っている時は、メニューバーを見ようとしても一瞬見えるだけで、すぐにセンターが追従して見えなくなってしまい、不便だ。つまりそういう使い方をする時は、表示画面サイズを小さくすればいいのだが、そうすると文字が小さくなって見えなくなってしまう(このあたりは視力に依存する)。

『空間固定モード』は、空間に画面を固定する方法。そうすれば空間に固定した大画面の一部を見ることができる。XREAL Oneで50度、XREAL One Proでは57度の視野角を使って、広い画面を見ることができるようになる。空間に画面を固定して、こんな感じで、一部分を見ることができる(あくまで画面はイメージです)。空間に水平にディスプレイが見えていれば、頭を傾けても画面は空間に水平に表示される。

空間固定モードなら、空間に固定し、大きく表示された画面の一部分を見ることもできる。

しかし、それでも細かい部分が見えない時はどうするか? ここでXREAL Eyeが役に立つのである。

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2025年10月27日

市販状態のXREAL One/One Proは、3DoFで動作する。つまり、細かい部分が見えないな……と思って、頭を仮想の画面に近づけると、同じ距離だけ画面が逃げていってしまい、細かい部分が見えないのだ(もちろん視力に拠るのだが)。

しかし、XREAL Eyeを装着して、6DoFで使うと、空間にスクリーンを固定できる。ここにXREAL Eyeの真価があると思う。たぶん、写真や動画を撮るためのデバイスではないのだ。

目の間に付ける小さなカメラがXREAL Eye。静止画/動画を撮るカメラとしても使えるが、6DoFを実現するオプションパーツという見方が正しいと思う。

そして、6DoFで使うと、空間に固定できるから、近寄って見ることができる。細かい文字でも問題ない。つまり、この状態だと、Apple Vision Proの外部ディスプレイモードにかなり近い。

ちなみに、ディスプレイ輝度は多段階に調整できて、周囲の明るさをさえぎる機能(サングラスの濃さ)は3段階に調整できる。これは、XREAL OneとXREAL One Proのどちらも共通。

もちろん、Apple Vision Proは仮想8K曲面ディスプレイだし、視野角も圧倒的に広いからあたかも本当にそこに8Kディスプレイがあるように感じるが、なにしろ約60万円のデバイスである。10万円しないXREAL One Pro+XREAL Eyeでここまでできるのは素晴らしい。

価格だけの問題ではない。Apple Vision Proは大きくて重いし装着感もおおげさだが、XREAL One Proは文字通りサングラス+αの装着感だ。

『仮想外付けディスプレイ』として、十分に満足できる製品。さらなる進化も期待できる

ほとんど、半年ごとぐらいのモデルチェンジを繰り返してXREAL One/One Proがここまで来たのは本当にすごい。

『仮想外付けディスプレイ』として、Apple Vision Proが高価過ぎて手が出ないなら、XREAL One/One Proをチョイスするというのはアリだと思う。

筆者の使用感でいえば、写真を選んだり、動画を編集したりという大画面を必要とする作業をするならApple Vision Proを持って行くが、ウェブサイトに記事を書いたり、資料を整理したりする作業ならXREAL One/One Proを持って行きたい。なにしろ、Apple Vision Proは重くてかさばるし、カフェで装着したら注目を浴び過ぎる。その点XREAL One/One Proなら『ちょっと怪しい』ぐらいで済む。

スマホを接続して、映画やドラマを見たり、ゲームをしたりするのにも非常に都合がいい。

なんといっても、パソコンやスマホをうつむいて扱い続けると、『スマホ首』になって、首や肩に負担がかかる。その点、XREAL One/One Proを使えば、首を前、もしくは上に向けておける。これはずいぶんと楽だ。

そろそろ筆者もXREAL One/One Proを買おうかどうしようかと迷っている。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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