
北海道って、スタートアップに向いてる!
先日、筆者は別件の取材で北海道に行ったのだが、その利便性の高さに驚いた。羽田から飛行機で約 1.5時間。便数もそれなりにあるし、空港から各方面への利便性もいい。北海道ならではのスペースの広さもあるし、ドローン、ロケット開発などのスペースを必要とするベンチャーには最適だろう。またインバウンドで北海道旅行に来てる人の多さにも驚かされた。そのことからも分かるように、羽田で乗り換えれば海外からの便もいい。
反面、デメリットもある。日本の地方都市全体を覆う高齢化、過疎化の波は北海道にも押し寄せており、札幌以外の町は思ったより過疎化が進んでいる。商圏人口も減りつつあるので、地元でビジネスを盛り上げていくのは難しいかもしれない。
しかし、地元商圏をあてにしないベンチャー企業、特にスペースを必要とするカテゴリーの企業なら、北の大地には大きな可能性がある。そこに目をつけたのが、西海岸のベンチャースピリットを持って、日本企業の可能性を広げようとしているベンチャーキャピタル、Scrum Venturesだ。
西海岸に本拠を置くScrum Venturesは、特定のテーマを掲げて世界中からベンチャー企業を集め、同時にベンチャー企業とコラボレーションしたい、資金提供をしたいという企業を募る。また、場合によってはScrum Ventures自身が出資する場合もあるし、インキュベーションとしてさまざまなアドバイザー、メンターを招聘し、スタートアップを成功させるべく強力なチームを組む。今回は『北海道の可能性』をテーマとしてグローバルアクセラレーションプログラム『Hokkaido F Village X(HFX)』をスタートさせる。

北海道って、やっぱり挑戦の大地なのである。西海岸との相性は良さそう。
HFXの特徴と展開
HFXは、北海道日本ハムファイターズの本拠地である「Fビレッジ」を拠点とし、世界中のスタートアップが実証実験や事業展開を行うためのプログラムだ。年間約10社、3年間で30社を採択し、「スポーツ・エンタメ・スタジアム」「フード&アグリ」「モビリティ」「サステナビリティ」「ウェルビーイング」の5つのカテゴリにおいて、新技術や新サービスの社会実装を支援する。
このプログラムでは、Scrum Studioが運営を担当し、株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントが運営協力パートナーとして参画。また、ヤマトホールディングス株式会社や株式会社JTBといったパートナー企業、さらに北海道 北広島市、JETRO、STARTUP HOKKAIDOといった自治体・リソースパートナーと連携し、事業共創の機会を提供する。
栗山英樹氏がアドバイザーとして参画
HFXの特筆すべきポイントの一つが、北海道日本ハムファイターズのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)である栗山英樹氏のアドバイザー就任だ。栗山氏はファイターズやFビレッジ、北海道の魅力を活かしながら、スタートアップと地域を結びつける重要な役割を担う。スポーツを軸にした街づくりを推進するFビレッジにおいて、スタートアップの技術をどのように活かせるか、実践的なアドバイスを提供することが期待される。
スタートアップと北海道の未来
HFXは、スタートアップにとって単なる事業開発の場ではない。北海道の持つ魅力を活かしながら、社会課題の解決にも貢献できるプラットフォームだ。特に、スポーツや観光、エネルギーなどの分野では、北海道ならではの環境を活かした実証実験が可能になる。例えば、スポーツ施設での最新テクノロジーの活用や、地元の食材を活かしたフードテックの開発、寒冷地での持続可能なモビリティの実証などが考えられる。
HFXのもう一つの特徴は、グローバルな視点を持てることだ。多くのスタートアップが日本市場だけでなく、海外展開も視野に入れている。HFXは、海外の投資家やパートナー企業とつながる機会を提供し、北海道から世界へと事業を広げるサポートを行う。
また、スクラムベンチャーズはシリコンバレーを拠点に活動しており、これまでに130社以上のスタートアップへの投資実績を持つ。こうしたネットワークを活用し、HFXに参加するスタートアップが世界のスタートアップ・エコシステムと連携できるよう支援する。
HFXへの参加方法
現在、HFXでは2025年3月から5月までの期間でスタートアップの募集を行っている。厳正な審査を経て採択された企業は、北海道での事業共創機会を得るだけでなく、スクラムベンチャーズによる出資検討の対象にもなる。
本プログラムの詳細や応募条件については、公式ウェブサイト( https://hfx.jp/ )を参照のこと。
(村上タクタ)
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