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PFUが能登半島地震の復興支援として、高級輪島塗りHHKBをクラファンした……のだが

本日(27日)、12時から、キートップを漆塗仕上げにしたHHKB Professional HYBRID Type-Sと、HHKB Studioを132万円、そしてControlキーとEscキーのセットを3万9600円、Escキーを1万9800円で、PFUがクラウドファンディングの受付けを開始した。しかし、クラファン開始から9時間経った今、HHKB Studioの2台を除いたすべての商品が、すでに売り切れてしまっている。

『HHKB Professional HG Japan』を作った『大徹八井漆器工房』が壊滅的被害

事の経緯は、PFUの本社が石川県にあり、その縁で2006年に『大徹八井漆器工房』の協力を得てキートップに輪島塗を施した『HHKB Professional HG Japan』を商品化したことに始まる。アルミ削り出しのキーボードに、漆塗りのキートップで50万円という超高級キーボードは大きな話題になった。

その『大徹八井漆器工房』が、今年1月の能登半島地震で壊滅的な被害を受けた。

輪島の町から少し離れたところにあった工場は倒壊し、あの有名な輪島の朝市の入り口のところにあった店舗はかろうじて火災被害は免れたが(朝市のお店の多くは地震に伴って発生した火災に遭った)、液状化などで大きな被害を受けた。また、輪島といえば多くの人が漆器に携わる街だが、ほとんどの人が地震や火災の被害を受けている。

132万円のキーボードに、1個1万9800円のキー

何かできる支援はないか……と、PFUで始まったのがこの『Re:japanプロジェクト』である(japanには漆塗りの意味がある)。PFUではすでに 義援金として1000万円、親会社のリコーから1500万円が寄付されており、スキャナーなどの保守支援、被災地への無償貸与なども行われている。PFUがスポンサードしている女子バレーボールチームPFUブルーキャッツや、リコーがスポンサードしているラグビーチーム リコーブラックラムズでもチャリティなどが行われており、ScanSnap、 HHKB公式スタンプの売上も全額が義援金として寄付されている。

今回の『Re:japanプロジェクト』では、かつて一緒に製品を作った『大徹八井漆器工房』の復興を支援したということで、現在のHHKBのラインナップに輪島塗を施した製品が応援購入製品として用意された。ちなみに、応援購入金は決済手数料を除き、全額が『大徹八井漆器工房』に渡され、工場の再建や店舗の修復作業に充てられる(つまり、キーボードやキーの素材はPFUのカンパというわけだ)。

『Re:japanプロジェクト』
【能登半島地震復興応援】高性能キーボード「HHKB」×伝統工芸「輪島塗」の融合!
https://www.makuake.com/project/hhkb-wajima/

応援購入用の商品として用意されたのは、以下。

黒漆のHHKBキートップとHHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨(132万円)×2セット
黒漆のHHKBキートップとHHKB Studio 英語配列/墨(132万円)×2セット
溜漆のHHKB Professional 用EscキーとControlキーのセット(3万9600円)×50セット
溜漆のHHKB Professional 用Escキー(1万9800円)×100個

132万円のキーボードに、1個1万9800円のキーというと少々高いような気がする。

しかし、金の価格の高騰も高価格に影響している。キーに漆を塗り重ねる際には、角の部分に漆が乗るように、何度も金粉を付けてその上から漆を塗る作業を繰り返すのだという。

現在、『大徹八井漆器工房』は、倒壊した工房の駐車場にプレハブを設置し、仮設工房で作業をしているとのこと。職人さんの一部は、別の工房に場所を借りて作業しているとのこと。

なんと、ほとんどの応援購入品がわずか9時間で売り切れ

しかし、発売が始まってびっくり。12時にクラウドファンディングサイトがオープンすると、黒漆のHHKB Professional(132万円)はすぐに売り切れ、溜塗のEsc キーとControl キーのセット(3万9600円)も午後の早いうちに。そして、溜塗のEsc キー(1万9800円)も午後9時前には売り切れてしまった。

筆者が原稿を書いている午後10時現在、購入可能なのは黒漆のHHKB Studio(132万円)のみとなっている。

輪島塗りのキーを欲しい人が多いというのはもちろんだが、HHKBファンのみなさんの、輪島の人たちを『大徹八井漆器工房』を応援したいという熱い思いが結集したのだと思う。本当に驚異の速度で売り切れたと思う。

PFUは応援購入枠を増やすべき

というわけで、クラファンサイトはわずか9時間を経ずして、132万円のHHKB Studioのみが在庫された状態にある。

実は、筆者も溜塗のEsc キー(1万9800円)だけでも買おうと思っていたのだが、昼間は取材があり外出しており、「帰宅したらクラファンを申し込もう」と思っていた。

が、帰宅したら、すでに売り切れてしまっていた。

自分が買えなかったから言うわけではないが、PFUは売り切れてしまった製品について追加設定するべきなのではないだろうか?

PFUの方々的には、「個数限定を銘打って募集したのに、その数より多く販売するのは先に買った人を裏切ることになるのではないか?」という迷いもあるようだが、今回に限って言えば、そんなことで文句を言う人はいないように思う。

義援金は多い方がいい。枠を増やしてくれれば、少なくとも筆者は1個は買うし、他にもそう思っている人はいるのではないだろうか? それだけ義援金も増えるのだ。

手作業での生産になるわけだから、増産が容易ではなく『大徹八井漆器工房』自身にご負担をかけるという側面もあるかもしれない。納期がもっと遅くなるとかもあるかもしれない。でも、そのあたりは増産プラン公開時に注釈を入れればいいと思うのだ。

出遅れた我々にも、ぜひ『大徹八井漆器工房』を支援する機会を与えて欲しいと思うのだ。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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