病院の待合室らしき部屋にいる人々のヘルスケアデータが順番につまびらかにされ、iPhoneならそんな心配はない……というような内容だ。
なぜ、ヘルスケアデータの安全性が必要なのか?
ヘルスケアデータというのはどのぐらい、隠さなければならないものなのだろうか?
この映像に「今日、347歩しか歩いていないヒラリーが答えました」という場面があるが、筆者もしばしば「今日の歩数は○歩だった」「今日は○km走った」などとSNSにシェアしたりする。これはいけないことなのだろうか?
たとえば、これは将来的なことかもしれないが、心拍データや、歩き方の平衡性に偏りのある人は健康保険に入れなくなってしまうかもしれない。保険会社は、支払わなければならい可能性を避けるビジネスだから、ヘルスケアデータが調査できるのなら明らかな運動不足な人の生命保険の加入を嫌がるかもしれないし、保険料が上がったりするかもしれない。「保険会社がそんなデータを欲しがるはずはない!」と思われるかもしれないが、生命保険会社に健康診断のデータのコピーを渡すとキャッシュバックがもらえる制度があったりする。彼らはノドから手が出るほど、加入者のヘルスケアデータが欲しいのだ。
マーケティングデータとして見ると、もっと明らかだ。
血圧が高い人、不整脈のある人、血糖値の高い人にターゲティングして広告を表示したい会社はたくさんある。また医療関連の商品は高価だし、継続的に販売が期待できる。となると、そのデータは高値で取引されるということだ。
あなたのヘルスケアデータを欲しがっている人がたくさんいるということをお分かりいただけただろうか?
アップルが提供する安全性の4つの柱
アップル製品のヘルスケアデータは強固に守られてるとアップルは主張する。
アップルが提供していると主張してるのは、以下の4項目だ。
データの最小化は、それそれのアプリがアクセスできるデータを最小限にするということ。
デバイス内での処理は、基本的にセキュリティチップを持つiPhoneなどデバイス上でデータを処理して、極力通信上に乗せないということ。
透明性とコントロールは、それぞれのアプリがどのデータを開くことができるのかを明示し、そのオンオフをユーザー自身が行えるようにすること。
そしてセキュリティは、それらをTouch IDやFace ID、セキュリティエングレーブなどの機能を使って、安全に管理し、他からのアクセスを遮断するというもの。
なぜ、アップルは『我々は顧客のデータを売らない』と主張するのか?
なぜ、アップルがこれを実現できるかというと、アップルの収益源が『iPhoneやMacなどのデバイスを売ること』であり、『iPhoneやMacを買った人が高い満足度を得ること』が重要だからだ。
対して、Android OSを作るGoogleが収益を得るのは広告からだ。彼らはどうしたってマーケティングデータが欲しい。
その根本的な立ち位置の違いが、アップルが『我々は顧客のデータを売らない』といえる所以なのである。
(村上タクタ)
関連する記事
-
- 2024.11.15
Apple Immersiveの「ザ・ウィークエンド:Open Hearts」を見た
-
- 2024.11.11
MacBook Pro M4超お勧め。M1 Proからの乗り換えを検討【先行レビュー】
-
- 2024.11.05
公開されたApple Intelligence使ってみた! あなたも使える最新便利機能