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WWDC22総括。アップルが見せるポストコロナのダイナミズムと、M2 MacBook Air

WWDC(世界開発者会議)を現地、Apple Parkからお届けする。6月1日にローンチしたばかりでまだ1週間も過ぎていないThunderVoltが、このビッグイベントに呼んでいただいたのは非常に名誉なことだと思っている。WWDCが開催されるのは、3年ぶり。現地から見た、このイベントと、そこで発表されたサービス、製品について簡単にまとめてみよう。

2年9カ月ぶりのメディア取材再開。Apple Park初公開

ご存知のように、アップルは年に数回、世界中からメディアを呼んで発表会を行ってきた。しかし、2019年9月にiPhone発表会が行われて以来、2年と9カ月。世界を覆った伝染病によって、発表会は開催できなくなっていた。

アップルはエンターテイメント性に富んだ動画によって、十分に発表会を代替していたし、「その方が多くの顧客に直接アプローチできるからいいのではないか?」と言った人もけれど、取材現場では「アップルは直接メディアに訴えかけたい、製品を触らせて感想を聞きたがってる」という空気を感じていた。デジタル化の最前線にいるように思われるかもしれないが、実は『バーチャルよりも本物』という気持ちが強い会社でもあるのだ。

もちろん、まだ約6000人の開発者が集った本来のWWDCに戻すのは無理があるが、せめて一部の開発者とメディアだけでも、集めたい……ということで、今回の発表会となったと思われる。

抽選で集められた少数の開発者と、メディアの一部だけを集め、密にならないように屋外が開催場所に選ばれた。Apple本社である直径約500m、4階建ての巨大建造物『Ring』の、北東側、巨大なオープンスペースとなっているレストランエリアから外側の広場に向かう場所に特設ステージを作り、最初にティム・クック、次にクレイグ・フェデリギが実際に登壇。オンラインで世界に向けて、公開されたWWDCのKeynote動画を見た。

ちなみに、メディアはその後、Apple Parkの南東方向にあるSteve Jobs Theaterに移動。展示された新型MacBook Air(M2)に触れることができた。そして、今週一週間は、世界中の開発者に向けて、新しいツールやテクノロジーについて開設するPlatform State of Unionや、オンラインで質問やレビューを申し込めるレビュー、開発者フォーラムなどが開催される。

ちなみに、メディアの人数について、はっきりと明言はされていないが、感染症の関係で、中国、台湾は不参加。タイも半分ぐらいしか参加できなかった。また、他の各国も、いつもよりも人数は少なめだったように思う。おそらく総勢で250人ぐらいといったところだろう。抽選で選ばれて参加した開発者を含めても、おそらく1000人にはとどかないぐらいだと思う(会場を目算で数えた筆者の推定)。

例年のWWDCに比べれば人数的には数分の1といったところだが、密集し過ぎないようにという配慮を含めて考えれば、これが今は限界。PCR検査結果をアップロードしていないと入場できない仕組みなども作り込まれていた。アクシデントが起らなければ、秋のiPhone発表会、iPadやMacの発表会などが、参加人数を増やしながら行われるだろう。

Apple Siliconが3年目に突入。『M2』発表

発表されたハードウェアは、2020年6月に発表(11月発売)されたM1チップ搭載に続く次世代Mac用チップセット『M2』と、それを搭載するMacBook AirとMacBook Pro 13インチ。

2年でのApple Silicon移行を締めくくるMac Proや、ウワサされ続けているApple Grass系のVR/ARデバイスの情報は一切なかった。

現在のMacは、iPhoneのAシリーズチップの倍ほどのコアを積んだ、M1から、M1 Pro、M1 Max、M1 Ultraと、ほぼ倍々にコア数を多くして性能を確保している。それに対して、M2は、チップセットの世代自体が新しい。第2世代の5nmプロセスで製造されており、性能的にはCPUで18%、GPUで35%、ニューラルエンジンで40%、メモリー帯域が50%大きい。

性能でいえば、コア数の多いM1 Proの方が高いわけだが、このM2をベースに、M2 Pro、M2 Max、M2 Ultra……と今後作られていくことを思うと、その土台部分の性能が向上したということに注目しておきたい。

薄く軽く静かで高性能。ちょっと『高級な』M2 MacBook Air

そのM2を搭載する最初のMacとして紹介されたのが、新型のMacBook Airだ。

2008年にジョブズが事務用の茶封筒から取り出して薄さを強調した初代MacBook Air以来のウェッジシェイプはついに終了し、MacBook Pro 16/14インチを超薄型にしたような、均質な厚みの端末になった。厚さはなんと11.3mm。旧型は最厚部でいうと16.1mmだったから、かなり薄くなった。

そもそもMシリーズチップを積んだMacBook Airの最大の特徴は、ファンレスであること。Apple Siliconの特徴である電力効率、熱効率の良さを最大限に引き出したモデルなのだ。ファンレス、もしくはファンの回転数の低い静かなモデルというのは、ジョブズもこだわったポイント。伝統は受け継がれている。

ディスプレイは13.6インチのLiquid Retinaディスプレイ。縦幅がわずかに伸びて2560×1664ピクセル解像度となっている。輝度は500ニトに向上した。

ポート類はThunderbolt/USB 4×2なのは同じだが、電源としてMagSafe 3を追加採用しているので、結果的に有効利用できるポートが増えた。

軽く、美しく、高性能で、素晴らしく魅力的だが、事前に記事に書いたように日本向けに関しては現在の強力な円安の影響で、高価な価格設定になるのが難点。最も安いモデルで、16万4800円。我々マニアにとって現実的なストレージ容量である512GB搭載モデル(GPUも8→10コアになる)になると20万8800円(税込)と、かなりお高い価格設定だ。

USのサイトでは最安値のモデルが1,199ドル、GPU 10コア、ストレージ 512GBのモデルが1,499ドルだから、このモデルが高いというよりは、日本の価格設定が高いのは円安の影響というべきだろう。本機が一番に円安の影響を強く受けただけで、今後他の製品も円安を反映した価格設定に変更されていくだろうから、なかなか日本のファンにとってはツライ状態だ。

低価格帯のモデルを維持するためか、M1モデルも併売される。M1モデルも十分に素晴らしい性能を持っているから、これはこれで良い選択肢。

我々の生活を全面的にカバーするアップルのソリューション

もちろん、よく言われるように、WWDCは開発者のためのイベントだから、発表されたのは、iOS 16、iPadOS 16、watchOS 9、macOS Venturaなど、ソフトウェアの今後の新機能が中心だ。

発表内容は多岐に渡るので、その内容をとりまとめるのは難しい。しかし、あえて重要なポイントを2つにまとめてみよう。

ひとつは、我々の生活をあまねくカバーするようになってきているということだ。

日本でiPhoneだけ使っている人だと、実感しにくいかもしれないが、Apple Watchでアクティビティのすべてや、心拍までも記録し、HomeKitで、家の中の家電や、照明、エアコンなどをすべて制御し、CarPlayでクルマの情報を取り込み、Walletでお金を払い……と、我々の生活のすべてをカバーしつつある。日本だと、Apple Cardはリリースされておらず、Walletの機能も完全には実現されていないし、HomeKitの普及も遅れているので、実感は少ないかもしれないが、明らかに朝起きてから寝るまでのすべての生活をカバーする方向に向けて進化を続けている。

飲み込むのは、Macか? iPadか?

ふたつ目は、iPadとMacの融合だ。

そもそも、Catalystを使ってコードを書いていれば、iPad向けのコードをそのまま、Macでも使うことができるようになっている。現在、アップル純正アプリの多くは、Catalystを使ってiPhone/iPad/Macで共通機能、一貫した使い勝手を実現している。しかし、それに留まらず、iPadはより多機能になりMacに、MacはよりシンプルになりiPadに、近づきつつある。

今や、iPadの上位モデルにもMacの下位モデルにもM1という同じチップセットを搭載しており、ハードウェア的にもほぼ共通。OS的にもどんどん共通部分も多くなってきている。

さらに、Macのファインダーの使い勝手を大きく変える『ステージマネージャー』は、同様のインターフェイスをiPadでも使えるとのことで、両者の使い勝手はますます近づきついつある。

プログラミングなどに関するアプリや、高機能なプロ用アプリはMacで、タッチパネルを使ったシンプルな使い勝手のアプリはiPad……という棲み分けは、徐々にあいまいになりつつある。

iPad版のステージマネージャーでは、複数のウインドウも、外付けディスプレイのより積極的な利用も実現してしまうのだから、もはや両者を決定的に区別する要素はなくなりつつある。

この先に待つのは、Macの発展的解消なのか? iPadがMacを飲み込むのか? そんな未来がうっすらと見えつつあるような気がする。

ポストコロナの時代がスタートしている実感

日本で、ストリーミング動画を見ていると、伝わりにくかったかかもしれないが、まるで野外フェスのようなApple Parkでのスペシャルイベントでは、次のステップに向けて着々と動きつつあるアップルという巨大企業のダイナミズムが感じられた。ポストコロナの時代は、もうスタートしているのだ。

今週は、メディアには非公開で開発者向けのセッションや、ラボが数多く開催される。それらではより明確に新しい方向性が語れるだろう。再生可能エネルギーの利用、資源の再利用などについてはより進行し、日常のすべてをスムーズにアップル製品がカバーしていく未来に向けて、さまざまな製品がアップデートされていくはずだ。

今回、紹介されたiOS 16、iPadOS 16、watchOS 9、macOS Venturaは、本日開発者向けベータが公開され、一般ユーザーも試用出来るパブリックベータが来月に。そして、秋には一般向けに公開され、それに合わせて新製品が登場していくことになるだろう。

まずは、再びライブでのイベントが行われるようになってきたことを祝いたい。

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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