アメカジラバー、愛すべき野球映画を語る。|『フィールド・オブ・ドリームス』×「Gwynn」井口さん

ベースボールを題材とする映画は数多く存在する。そこで、野球映画に一家言あるアメカジラバーたちの最も影響を受けた作品を“偏愛全開”で語ってもらった。今回登場するのは、「Gwynn」オーナー・井口浩伸さん。「ポテン」や「ロスターソックス」など、自身が手掛けるアパレルブランドのディレクターを務め、東京・恵比寿でセレクトショップも営む、業界屈指の野球フリークとしても知られる人物だ。

中学では見えなかった景色が、大人になって見えてきた。|Field of Dreams(フィールド・オブ・ドリームス)

「『フィールド・オブ・ドリームス』を最初に観たのは中学生の頃ですね。しかも、人生で初めて映画館で観た映画でもあるので、自分にとって思い出深い作品です。当時は、正直よく分かっていませんでした。畑に野球場作っちゃった、すげえな〜くらいの感じでしたね(笑)。野球の話ですが、ファンタジー要素もあるし、中学生にはまだ深い部分までは分からなかったんですけど、大人になって何度も見返すうちに、この映画の本質が少しずつ見えてきたんですよね。

いちばん好きなシーンはやっぱり最後ですよ。お父さんとキャッチボールするところ。あと、畑の一本道に車のヘッドライトがずーっと並んでるシーン。あれがすごく好きなんです。ああいう、“誰も来ないような場所に、なぜか人が集まってくる”っていう光景に、すごくアメリカらしい夢とかロマンを感じるんですよね。本当に、お金があったらああいう球場作ってほしいですよ。大谷くんとか、東京の杉並とか世田谷にでっかい球場作ってくれないかなって(笑)。

実際、あれって映画の中だけの話じゃなくて、アメリカでは2021年からMLB公式戦としてフィールド・オブ・ドリームス・ゲームが開催されてるんです。映画の舞台になったアイオワ州のとうもろこし畑の中に本当に球場を作って、年に一度だけ試合をするっていう、まさに夢みたいなイベントで。めちゃくちゃ行ってみたいんですよ。でもアイオワって本当に田舎だから、なかなか行きづらいんですよね。

でも、あの景色は実際に見ると本当に映画そのままらしくて。もちろん野球好きとして惹かれる部分はあるんですけど、ファッションとして観ても好きなんですよね。今観るとすごくおしゃれなんですよ。ジーパンにチェックシャツみたいな、なんてことない、いわゆるアメリカっぽい服装なんですけど、それがすごくいい。ワークウエアっぽい感じとか、時代の空気感も含めてかっこいいんです。

いろいろあるんですけど、特に印象に残ってるのが、劇中で使われてる『ウィルソン』のボールケースですね。ボールを入れてるバッグがあるんですけど、それがめちゃくちゃかっこよくて。旧い『ウィルソン』のロゴがまたいいんですよ。

初めて映画館で観た映画っていうのもあって、本当に思い入れのある作品なんです。だから『フィールド・オブ・ドリームス』のTシャツは古着店で見つけるたびについ買っちゃうんですよ。でも、いわゆる何十万もする映画Tシャツとかじゃないんです。自分が好きだから買ってるだけで。5000円くらいなら“いいな”ってなるけど、20万とか言われたら絶対買わないですね(笑)。最近の古着はちょっとおかしいですよね。高いから欲しいとか、旧いからかっこいいとかじゃなくて、自分が好きだから買うっていう感覚を大事にしたいんですよね。

そういえば、2025年に公開された『さよならはスローボールで』っていうアメリカ野球映画とコラボして、Tシャツやキャップを作ったこともあります。映画の内容はびっくりするくらい何も起きない映画なんですよ(笑)。ただただ古い球場でおじさんたちが草野球してるだけなんですけど、その空気感はすごく良いんです。いろいろ観ていますが、やっぱり野球映画の魅力って、そのスケール感ですよね。畑に球場作っちゃうって、日本じゃなかなかない発想じゃないですか。でも、そういう夢みたいなことを本気でやる感じが、すごくアメリカっぽくて好きなんです。中学生の頃には理解できなかったものが、大人になってようやく見えてきて。『フィールド・オブ・ドリームス』は、歳を重ねるごとにどんどん好きになる映画です」

自分にとって思い入れのある価値ある1枚、そして映画のロゴをオマージュしたタマニワ製

古着店で見つけるたびに少しずつ集めてきた『FIELD OF DREAMS』の映画Tシャツ。舞台となるトウモロコシ畑や幻想的な世界観がグラフィックに落とし込まれている。

『FIELD OF DREAMS』のロゴをオマージュした「タマニワ」オリジナルのキャンバストート。生成りボディにレザーハンドルとネオンカラーのテープ使いが絶妙なアクセントとなっている。14,300円(タマニワ tel.03-6427-7685)

2025年公開の野球映画『EEPHUS』とのコラボキャップも制作。映画公開時にはTシャツとともに人気を集め、現在は完売。

(出典/「Lightning 2026年7月号 Vol.387」)

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