沖縄ミッドセンチュリーを巡る旅へGO

アメリカンカルチャーが日常に混じり合い独特の文化を持つ沖縄。そんな沖縄が日本に返還されてから50年余り。現在も沖縄には1950~’70年代というミッドセンチュリーの時代のアメリカを感じられる場所がたくさん残されている。今回は当時の面影を残しつつ、新たにミッドセンチュリーモダンを取り入れたスポットを訪れてきた。

時を経て進化する「日本のアメリカ」、沖縄。

1952年「サンフランシスコ平和条約」の発効によって日本はアメリカから主権を回復したが、沖縄はその後もアメリカの統治下に置かれていたことはご存じの通り。米兵によって持ち込まれたアメリカンカルチャーは今でもしっかりと根付いているため、沖縄を「日本のアメリカ」として憧れ移住する人もいる。以前は米軍放出品や基地で使われていた家具などを扱う店が多かったが、最近の沖縄は少し違う。

1950~’70年代、沖縄の各所に米兵とその家族のために“外人住宅”がつくられた。天井が高く、梁や柱ではなく壁で支える平屋。今ではもう使われていないこの外人住宅をリノベーションして再利用されているのだ。中には当時の照明などインテリアが残されたままになっていることも多く、それを活かすようにミッドセンチュリーモダンの空間を作り出していたり、また世代的に、アメリカのミッドセンチュリーに憧れを持っている人が自身のコレクションを使ってお店を開いたりという人も。

ということで、今回は沖縄のミッドセンチュリーを探してきた。

1.ミッドセンチュリーモダン空間に泊まる!|Mid-Century House YOGI

1950~’60年代に米軍基地の軍人や家族のために建てられた“外人住宅”を100年後も暮らせるようリノベーションした民泊施設が誕生。インテリアは建築当時を意識したミッドセンチュリー家具の名作とレプリカを配置。あまりの心地よさに延泊する人も。

玄関の隣に新たに造ったデッキスペース。椰子の木は元々あったもので、きれいに整備をした。折りたたみ式のチェアを用意しているので、夜などお酒を楽しんだりすることも可能だ。

元々プレートが貼られていたそうで、剥がしたら出てきたのがこの数字。住所の番地が壁に直で書かれていて、書体などいい風合いだったため残したそうだ。

玄関はレンガをアーチ状にしたおしゃれなデザイン。シーサーが左右に埋め込まれており、沖縄ならではの魔除けもミックス。この玄関デザインもそのまま活かしているそうだ。

こちらも新しく造ったスペース。風呂場にあったバスタブを設置しているので露天風呂を楽しむことができる。目の前は緑に覆われているので安心して入浴が可能だ。

購入した当時はかなり荒れていたそうだが、天井に高速道路に使われる素材を使うなどして、さらに50年後も住める造りに修復した。外人住宅は壁で支えられているので間取りを変えずに完全リノベーション。

ダイニングスペース。照明は元々あったものをそのまま使っているそう。この照明に合わせてテーブルやカーテンをセレクト。食卓を囲む時間もウキウキすること間違いない。

ベッドルームはツインとダブルベッドを設置した2つ。どちらもシンプルで落ち着いた空間に、ミッドセンチュリーインテリアをさりげなく設置している。長期滞在したくなる心地よさ。

配置されているインテリアは、誰もが普段使いできるようにミッドセンチュリーの名作やレプリカをミックスしているのが特徴。アメリカンサイズの家具も狭く感じることなく空間に馴染んでいる。

広々としたキッチン。身長の高いアメリカ人に合わせて、カウンターは高め。二層シンクを設置した。清潔感のあるホワイトでまとめられ料理のしがいがありそう。

水回りは衛生面も含めしっかり改修。洗面台はヴィンテージのチェストをリメイクしたもの。

【DATA】
Mid-Century House YOGI
沖縄県沖縄市与儀2-15-25
TEL098-923-1066
https://www.rstudio.co.jp/studio_info.php?showno=1100

2.オーナーのコレクションを詰め込んだ。|パーラーK’s Pit

愛知に本店を持つハンバーガーの名店が、2022年沖縄に誕生。オーナーの趣味を具現化したミッドセンチュリーモダンが特徴で、米軍基地からのお客さんも多く、まるでアメリカそのもの。ここは日本かそれともアメリカか……。錯覚を楽しんで欲しい。

一段高くなったウッドデッキスペースはグリーンとスケルトンのテーブルとチェアを組み合わせたアトミック的な空間になっている。また違った雰囲気で楽しい。

通路と飲食スペースの仕切りに設置した棚には、ファイヤーキングやキャラクターグラスなどが並べられている。このコレクションを見るだけでもワクワクする。

6人掛けのテーブルめがけて配置されてるアーチ型の照明。ミルクガラスのようなシェードが優しい光を放っている。テーブルやチェアのデザインとの相性も抜群。

太陽をイメージしたミッドセンチュリーを代表するデザインの掛け時計。大村さんの自宅で使っていたものを持ってきたという。大小組み合わせた絶妙なレイアウト。

店内にあるインテリアはすべて大村さんのストーリーが詰まっているものばかり。美味しいハンバーガーを食べながらコレクションの話を聞くのもいいかもしれない。

もも肉と牛脂を使ったUSビーフパティが絶品のハンバーガー。野菜を挟まない肉の味を堪能できるクラシックバーガーがおすすめ。1800円

何度もアメリカを訪れいつかはアメリカに! と思いを馳せるオーナーの大村憲太郎さん。ミッドセンチュリーが好きでインテリアをコレクション。

【DATA】
パーラーK’s Pit
沖縄県うるま市石川曙1-2-17
TEL098-923-3891
営業/11:00~20:00
休み/無休
Instagram:@kspit_parlor_okinawa

3.オーナーの地元で買い付けるヴィンテージ。|AMERICAN WAVE

直接アメリカで買い付けてくるヴィンテージ好きのオーナーが24年前にオープンしたヴィンテージショップ。独自のツテで入手したコレクションや良質なものが揃うことで定評がある。ファッションから雑貨までヴィンテージ好きなら訪れるべきお店だ。

港川ステイツサイドタウンにあり、観光客はもちろん、ヴィンテージ好きが多く訪れる店。雑貨やファッション、テーブルウエアなどジャンルも様々。

1936年から80年にわたりアメリカの家庭で愛用されてきたフィエスタ。ポップな色とぽってりとしたフォルムが愛らしい。

インテリア雑貨の中にはアトミックデザインの電話やラジオなどもある。これらは今でも現役で使うことができるそうだ。

スタジャンやアロハシャツなどファッションアイテムも充実。季節によって店頭に出すラインナップを変えているそうだ。レディースのファッションも要チェック。

ケンタッキー出身のクリスさん。16歳の頃からヴィンテージが大好きで、1985年にアメリカで店をオープン。1998年に沖縄を訪れ移住した。

【DATA】
AMERICAN WAVE
沖縄県浦添市港川2-16-9
TEL098-988-3649
営業/11:00~19:00
休み/無休
https://americanwave.jp

4.独や蘭のミッドセンチュリーインテリアが揃う。|nord

2022年にオープンしたインテリア雑貨ショップ。ドイツやオランダから買い付けたミッドセンチュリープロダクツを中心に扱っており、アメリカデザインとはまた違ったものが手に入る注目のお店だ。特に照明や陶器に名作が隠れているぞ。

メインに扱っているのは照明や陶器、テーブルウェア、チェアなど。またファットラヴァの鉢カバー観葉植物の組み合わせも要チェック。

様々なデザイナーが手がけた陶器をラインナップ。同じフォルムから繰り出されるデザイン違いをコレクションする人も多い。

陶器をディスプレイしている棚もヴィンテージアイテム。壁に直接打ち付けるタイプで、置くだけでなくサイドには掛けるという機能も。

植物を置いているのは三角形の天板と三本足のサイドテーブル。2サイズあり、遊び心のある一品。

1960~’70年代のドイツ製の壁掛け時計。ファットラヴァという溶岩のようなテクスチャーが特徴。

沖縄のヴィンテージ家具ショップ「STOMP」から独立した大城さん。買い付けたアイテムを修理したり、植物を育てたりと手先が器用。

【DATA】
nord
沖縄県那覇市首里末吉町4-4-7宮城荘1F
TEL098-943-9191
営業/12:00~18:00
休み/火曜
https://nord-antik.shop
Instagram:@nord_antik

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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