現代的解釈で蘇った「羊の皮を被った狼」。
ハコスカのパワーアップ手法としてすっかりポピュラーとなったRBスワップだが、数多くのRBスワップを経験してきたロッキーオート渡辺氏がもっとも楽しい仕様とオススメするのがNA仕様のRB25を2.8リッター化した通称「RB28」と呼ばれる仕様だ。
エンジンの制御は純正のままでもよいが、今回のように6連スロットルでスポーツインジェクション化するのもいいし、キャブレターを装着する方法もある。いずれにせよ、多連スロットル化することで、L型のフィーリングをそのまま進化させたようなパワーフィールを手に入れることができ、L型を搭載したスカイ ラインの「らしさ」をどこかに感じることができるからだ。
ここに紹介するのは、ハコスカの中でもあえて4ドアのGTをベースにRBスワップを敢行。まさにスカイラインGT誕生のコンセプトである「羊の皮を被った狼」を現代的解釈によって、さらなるアップデートを施した一台だ。
ボディは’70年式の2000GTをベースに、リアフェンダーをR仕様にしていた個体。テールはこの年のみとなる通称「45テール」だが、フロント周りは3分割が特徴の通称「44グリル」をあえてチョイスしたいいとこ取り仕様。さらに前後ともにGT–Rエンブレムが備わらない独特のスタイルとなっている。
搭載されるエンジンは、RB改2.8リッターで、これにRBの6連スロットルを装着したスポーツインジェクション仕様。エンジン制御はF‐con V Proで行なっている。これをRB搭載のスカイラインに使用されているC型5速マニュアルを組み合わせることで、300馬力近いパワーを発生するエンジンを気兼ねなくマニュアルで楽しめる一台となっている。
ちなみにこの頃のL型の最高出力は115馬力、GT‐Rですら1 60馬力であることを考えると、この数値はエンジンスワップ以外で達成することは不可能。快適に、かつ誰にでも乗りやすいパワフルな狼となっている。
1970 SKYLINE 2000GT with RB25|今では定番ともいえる、RBエンジンへの載せ替え。
RB25をベースに2.8リッターまで 排気量をアップした通称RB28ユニット。6連スロットルを装着したスポーツインジェクション仕様。
ラジエターはHPI製の大容量アルミ製で、大型電動ファンを二基搭載する。
美しいカーブを描くタコ足はステンレス製で等長の手曲げ管。排気管は50mmのデュアルマフラー。
ファンネルを装着した6連スロットルはRB26用。純正を流用するとこで信頼性の高いユニットとなっている。
3本スポークのブラックステアリングは、小径だが油圧パワステ化されており非常に軽快。5速マニュアルのシフトレバーはノーマルと同じ位置に収まっている。
シートは4ドアGT系の純正ローバックタイプ。トランスミッションはスカイライン用の日産71C型5速マニュアルを移植している。シフトレバーはR32スカイライン用を使用している。
フロントはピロアッパー付きのフルタップ車高調を装着。適度にロワードされ、乗り心地もいい。
バッテリーはエンジンルームからリアのトランクに移設。その後ろにはインジェクション用に追加されたアウトタンク燃料ポンプなのだ。
ガソリンタンクはサビの心配がないステンレス製の大容量タイプ。固定用ストラップもステンレス製となる。
【SPEC】
●エンジン:RB25型改 ●排気量:2800cc ●トランスミッション:5速マニュアル ●サスペンション:フルタップ車高調 ●ホイール:ワタナベ8スポーク ●タイヤ:(F)185/60-14(R) 205/60-14
【DATA】
ロッキーオート
〒444-0003 愛知県岡崎市小美町字殿街道153
TEL0564-66-5488(商談予約・問い合わせ)
営業時間:10:00~19:00
※情報は取材当時のものです。
(出典/別冊Lightning Vol.231「VINTAGE AUTO 快適旧車のススメ。」)
Photo & Text / D.Katsumura 勝村大輔
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