金山を訪れたあとに行くべきスポット
2023年11月12日放送のNHKの大河ドラマ『どうする家康』で、第43回「関ヶ原の戦い」が放送された。天下の分け目となる東軍・徳川家康と西軍・石田三成の戦いで、この決戦を中心に全国各地で戦いが起こった、歴史上で最も有名な合戦。結果は東軍が勝利したことで、徳川家康は天下人へ昇りつめたことはご存じのとおり。ドラマでは合戦の裏側で、家康の側室・阿茶と秀吉の側室・茶々によるバッチバチの女の戦いも繰り広げられており、個人的にはこちらの戦いの方が怖かった。バトル後、部屋に戻った阿茶が放った「おっかねぇ、おなごだわ」の茶々へのセリフには私も大いに共感してしまった。
さて、関ヶ原の戦いが起こったのが1600年。その1年後、佐渡島では山師3名により佐渡金山が開山された。1603年、天下人となった家康による徳川幕府が佐渡島を天領としたことで佐渡奉行所を設置。金を掘るだけでなく、小判も製造もここで行われ、幕府の財政を長きにわたり支えたのが佐渡金山だった。佐渡は金だけでなく銀やそのほかの鉱山も採れた資源豊かな島だった。資源が枯渇して操業を停止した1989年まで、実に400年にわたり、日本を支えてきたことになる。
北沢浮遊選鉱場は、日中戦争に開始に伴う増産体制の一貫として1937年から作られた選鉱施設のひとつ。元々は銅の製造過程で行われていた技術「浮遊選鉱法」を金銀の採取に応用し、日本で初めて実用化に成功した歴史ある施設だ。1952年に鉱山縮小により施設は廃止。稼働期間は決して長くはないが、日本の近代化を担った施設であることは、この姿からよくわかるはずだ。
現在は大きな階段状のコンクリートの建物のみが残り、そのコンクリートもよく見ると崩れているところもちらほら。そこに鮮やかな緑のツタが建物を覆い、晴れた日には青い空とのコントラストが美しい。まるでラピュタのような幻想的な風景を作り出し、“映えるスポット”としていま注目されている。夜にはライトアップされより神秘的な姿に。特別なものは何もないけれど、今の日本につながる技術の跡にロマンを感じる。
また同じ場所に直径50mのシックナーの跡もある。これは工業用水を確保するために、水と不純物を分離する装置。素人目にはどのように稼働していたのかまったく想像がつかないが、とにかくその大きさに驚く。特にライトアップされた姿は、どこか日本でも現世でもない感覚を味わえるはずだ。
夜のライトアップは、何秒かごとに色が変わる。22時まで無料で入場可能だ。必見!
ちなみにこちらは史跡 佐渡金山。江戸金山絵巻コース「宗太夫坑(そうだゆうこう)では、江戸時代に行われていた採掘の様子が解説されていて、かなり見応えありだ。抗夫の人形が時々セリフをいうのも注目で、中でも印象に残っているのが「早く外に出て酒を飲みてぇ。馴染の女にも会いてぇなぁ。」。思わず「ですよね~」と応えてしまった。
佐渡金山のルーツを持つ無名異焼「北沢窯」
北沢浮遊選鉱場の脇にひっそりと佇んでいるのは北沢窯。鉱山の採掘で発見された赤褐色の土を原料とした焼き物を作っているのだが、この赤土が特徴で現在でも佐渡でしか採れない希少なもの。酸化鉄を多く含んでおり、日常使いすることで鉄分を自然に摂取できるとか。渋みのある色味は最初はマットな状態だが、使い込むほどに艶が出てその表情を変えるそう。エイジングも楽しめる焼き物なのだ。
店内に入るとクラシカルとモダンの2シリーズがあった(2代にわたって作っている)。気になったのはモダンなタイプ。赤土の色を活かしながら異なる色を組み合わせた、日常使いしやすい平皿やカップなどが充実している。器好きにはたまらない空間だ。マグカップにしようか、酒器にしようかかなり迷ったが、小ぶりなご飯茶碗を購入。ご飯だけでなく、カフェボールとして使っても良さそうだ。ここでしか手に入らない、特別な器。選鉱場跡を見た後は、器探訪を楽しんで欲しい。
赤褐色の無名異土をベースにホワイトとブラックに仕上げたご飯茶碗(4180円)。シンプルでモダンなデザインがお気に入り。
【DATA】
●北沢浮遊選鉱場
新潟県新潟県佐渡市相川北沢町3-2
●史跡 佐渡金山
新潟県佐渡市下相川1305番地
8時~17時30分(11月~3月 8時30分~17時)
https://www.sado-kinzan.com/
●北沢窯
新潟県佐渡市相川北沢町3-1
TEL0259-74-3280
9時~17時
冬季は土日祝日休
https://www.kitazawagama.com/
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