手で触れてわかる、“革”という素材。
レザープロダクツの要はやっぱり“革”。一般人がプロダクツになる前の鞣した皮革を見る機会はほとんどないだろう。イベントではタンナーも出店し、上質でこだわりの皮革を展示してくれた。
昔ながらの鞣し工程を守り続ける栃木レザー。革製品メーカーでも同社を採用しているところも多く、その品質の良さは折り紙付きだ。栃木レザーといえば厚みがあって頑丈さがウリだが、新しく柔らかくしなやかな皮革を開発。今後、様々なプロダクツに落とし込んでいくそうだ。
100年以上の歴史を誇るニッピ・フジタのブースでは、30種類ほどの皮革を展示。またカットしたコードバンの販売も行い、レザークラフトを楽しんでいる人に人気だったそうだ。その場で小物を作ってくれるという嬉しいサービスも。体験者はきっといい思い出になったに違いない。
イタリアのトスカーナにあるインカス社のカーフレザーを展示したアスメデル。パステル調だが深みのある独特の色合いが特徴で、その革で製作したステーショナリーはとても上品な仕上がり。当日は使い込みサンプルも用意しており、新品との違いを見ることもできた。
原皮から鞣し、仕上げまでの工程を自社にて一貫生産を行っている新喜皮革。イベントでは皮革の展示のみならず、今回のイベントのみで購入できたホースレザー製のバッグの販売も数量限定で行った。通常は革素材の製造販売のみだけに、特別な逸品になった。
実演やコミュニケーションで広がる革の輪。
今回のイベントは、オーダー受注や実演が行われただけでなく、ブランド側と来場者との出会いの場にもなった。まだ知らないブランドとの出会いは、これからのレザーライフにおいてきっと新しい世界を見せてくれるだろう。
ホワイツブーツのブースでは、定番モノを中心に新作ブーツやアパレル、メインテナンスグッズまで幅広いラインアップで紹介。注目したのは、職人さんによるブーツ製作の実演。ハンドソーンのブーツがどのように作られているのか、また職人さんの所作に立ち止まって見入る人も多かった。
こちらはフォーティセカンドロイヤルハイランドのブース。Lightning編集長の松島親方、編集部ランボルギーニ三浦、雑誌「2nd」のパピー高野による別注レザーシューズの人気投票が開催された。果たして1位になったのは……。レザーズデイのインスタで公開中。
革ジャンからバッグ、革小物まで多種多様なレザー製品を展示していたスタディ ラゲッジ サプライ。奥行きのあるブースに多くの人が訪れていた。右側に設置されたテーブルでワークショップを開催。会場中に「トントントン……」という革工房のような小気味よい音が、2日間響いていた。
「普段できないワガママを聞く場」と話すのはメイカーズの手嶋慎さん。今回は受注オーダーを行っていたのだが、お客さんと会話をすることで、新しいアイデアが生まれるのだそうだ。
レザーケアブランドのサドルアップの講師を招いて、正しい革のお手入れ方法をレクチャーしてもらうワークショップも開催した。この様子はライブ配信され、来場できなかった人も観ることができた。実際にリアルで観ていた人の中には、この後サドルアップのブースに向かった人も少なくなかったはず。
(出典/「Lightning 2023年12月号 Vol.356」)
Text/M.Matsumoto 松本めぐみ Photo/Y.Amino 網野貴香 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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