試験に出ない(笑)、アメ車(アメリカ旧車)のボディスタイルに見る種類豊富な多様性。

  • 2023.10.26

1970年代まで、世界のモータリゼーションをリードしていたアメリカ。オイルショック以降は日本や欧州車の台頭によって、その差は縮まったけど、かつて世界をリードしていた時代は、ユーザーの好みやライフスタイルによって、同じ車種でも多くのボディバリエーションが存在していた。そんな往年のアメリカ車に存在した基本的なボディスタイルを紹介。現代では4ドアボディでかつてのセダンよりもSUVやクロスオーバータイプが主流だけど、当時のアメリカには現代ではまず存在しえないスタイルもあるなど、各メーカーによる多くの試行錯誤も見ることができて実におもしろかったりする。

ドアの枚数だけはない多様なボディスタイルがおもしろい。

多民族国家であるアメリカでは、人々の文化やライフスタイルも多種多様。そんなお国柄も手伝って、アメリカの自動車の歴史には多くのボディスタイルが存在していることが当たり前だった。それもアメリカ国内で自動車産業が元気だった背景があったからこそ。現代車両ではボディバリエーションもシンプルになったけれど、かつてはメーカー側も試行錯誤をしながら多くのボディバリエーションにチャレンジしていた。

クルマにあまり興味が無い人にはハイレベル間違い探しのような違いだけど、それぞれのスタイルに需要があったからこそ存在していたのは事実。かつてのアメリカ車には同じモデルでも2ドアからコンバーチブル、それに4ドアやワゴンまで存在していることも珍しくなかった。現代車両ではなかなかお目にかかれないデザインも存在していたのは、まさに旧車ならではなのかもしれない。

そのなかでも基本的なボディスタイルを挙げてみようと思ったら、それだけでも14種類! それぞれの亜種もあるので、いかにバリエーションが豊富だったかがよくわかる。

1.2ドアセダン

世界的にもスタンダードな2ドアの箱形スタイルのひとつ。セダンとはBピラー(ドアのすぐ後方の柱)が存在しているボディスタイルのこと。このBピラーと呼ばれる柱があることからアメリカではポストセダンとも呼ばれている。いわゆるスタンダードな昔ながらの箱形のスタイルで、おっさん臭いけれど、ドラッグレースなどではボディ剛性が高くなるセダンボディが好まれたという歴史もある。写真は1963年式フォード・フェアレーン2ドアセダン(Photo by Ford Motor Company)

2.2ドアクーペ(ハードトップ)

Bピラーが存在せず、この写真のように窓を全開にすれば開放感あふれる2ドアモデルが2ドアクーペと呼ばれるスタイル。後部座席が存在していても、スポーティなルックスになることから、スポーツクーペや2ドアハードトップ、ピラーレスクーペとも呼ばれる。アメリカ旧車のなかではもっとも人気のスタイル。写真は1964年式フォード・フェアレーン・スポーツクーペ(Photo by Ford Motor Company)

3.4ドアセダン

フロントのドア後方にBピラーが存在する4ドアモデルのこと。4ドアモデルのスタンダードなデザインで、いわゆる子どもが絵に描くようなクルマのカタチ。当時のファミリーカーには定番のボディスタイルで、現代になっても生き続けるデザイン。ただし2ドアモデルに比べるとボディサイドが間延びしたように見えるので、スタイルよりも実用性を重んじる人に愛された。写真は1964年式シボレー・シェベル・マリブ・4ドアセダン(Photo by General Motors)

4.4ドアハードトップ

Bピラーの存在しないボディを4ドア化したデザインが4ドアハードトップ。ファミリーカーでもスポーティなルックスは犠牲にしたくないという人にはうってつけのデザイン。前後の窓を全開した開放感はかなりのもので、4ドアながら野暮ったさの無いスタイルではあるけれど、ボディ剛性はセダンに劣ってしまう。現代ではBピラーが見えないようなデザインになる4ドアクーペなるモデルも生まれている。写真は1963年式ダッジ・カスタム880・4ドアハードトップ(Photo by Stellantis)

5.2ドアコンバーチブル

2ドアクーペ(ハードトップ)のボディデザインを踏襲しながら、ルーフ(屋根)が開閉できるオープンカーのこと。欧州ではカブリオレ、日本ではオープントップとも呼ばれる。かつてはキャンバス地のソフトトップが主流だったが、近年では折りたたんで格納できるメタル製トップが開発され、クローズド時には2ドアクーペ的なスタイルになるモデルも存在する。アメリカには衝突安全基準が厳しくなる1970年代くらいまでは多くのモデルでコンバーチブルの設定が存在した。写真は1970年式ダッジ・チャレンジャー・コンバーチブル(Photo by Stellantis)

6.4ドアコンバーチブル

コンバーチブルというと2ドアモデルがベースになっているのが主流だけれど、アメリカにはかつて4ドアのコンバーチブルも存在した。写真は1964年式リンカーン・コンチネンタル・コンバーチブル(Photo by Lincoln Motor Company)で、これまた珍しい観音開きの4ドアにして、大きなソフトトップは電動でトランクの中に収納されるというモデルだった。4ドアのフルサイズボディでルーフを開けたスタイルは、ボディの長さがかなり強調されて独特な存在感に。現在ではおそらく衝突安全基準をクリアできないデザインは、まさに時代が許したスタイルである。

7.ロードスター

後ろの座席の無い純粋な2シーターボディでルーフの無い形状のこと。戦前はホットロッドのベースとして人気なフォード・ロードスターなどがスタンダートだったが、時代とともにスポーツカーの定番スタイルとなり、アメリカ車ではシボレー・コルベットなど、限られたモデルで現在も存在している。格納できるソフトトップがあるので2ドアコンバーチブルの亜種ではあるが、2シーターにかぎりロードスターと呼ばれる。かつてはルーフの無いピックアップトラックであるロードスターピックアップなんていうスタイルも存在した。写真は1960年式シボレー・コルベット(Photo by General Motors)

8.ファストバッククーペ

2ドアボディを基本としながらボディ後方がなだらかにひと続きのラインで傾斜したデザインになるボディのこと。わかりやすく言えばトランク部分が独立したデザインになっていないスタイルで、アメリカ車では初代フォード・マスタングを筆頭に、各社が1960年代中盤以降に登場させた2ドアクーペの亜種がこれ。同じようなデザインは日本車や欧州車にも登場して、スポーティなルックスのクルマの代名詞になった。似たようなデザインでトランクスペースがリアガラスごと開閉できるデザインはハッチバックと呼ばれる。写真は1965年式フォード・マスタング・ファストバック(Photo by Ford Motor Company)

9.4ドアワゴン

4ドアセダンのトランクスペースの上部を拡大し、乗車スペースと荷物スペースが一体となったボディデザインがワゴン。元々ステーションワゴンと呼ばれていたのは、駅の送迎に人や荷物を積んでいくのに重宝するモデルということでそう呼ばれた。現代ではワゴンという呼び名が牧歌的すぎるせいで、シューティングブレーク、エステート、バリアントなどといった名前で呼ぶブランドも多い。写真は1957年式マーキュリー・コロニーパークワゴン(Photo by Ford Motor Company)

10.2ドアワゴン

ステーションワゴンというと4ドアモデルが一般的なイメージだけど、かつてのアメリカでは2ドアワゴンの存在も珍しくなかった。これはパーソナルユースで趣味の荷物なども積載できるように考案されたデザインで、アメリカでは旧くはランチワゴン(カウボーイなどが牧場で使用するワゴン)などという名前でも呼ばれていた。一人一台のお国柄らしいボディデザインかもしれない。写真は1957年式シボレー・ベルエア・ノマドで、これは当時の最高級ワゴンという位置付けで販売されていたモデルで、4ドアモデルのワゴンよりも高価格だった(Photo by General Motors)

11.ピックアップトラック

アメリカではセダンよりも販売台数が多いのがピックアップトラック。乗車スペースのキャビンとベッド(荷台)が独立しているスタイルで、キャビンには2ドア、1.5枚ドア、4ドアなどがあり、ベッドもロングとショートが存在。さらには後年には2駆と4駆などもチョイスできたことから、仕事からプライベートユースまで、オーナーのライフスタイルに合わせた組み合わせができた。戦前にはロードスターピックアップと呼ばれるオープンボディのピックアップトラックも存在していた。フルサイズのピックアップトラックは非常にアメリカ的。写真は1978年式フォードF-150(Photo by Ford Motor Company)

12.セダンピックアップ

アメリカらしい独特なボディデザインともいえるセダンピックアップは、ボディ前方がセダンのキャビンで、後方がピックアップトラックのベッドになっているというモデル。ピックアップトラックながら乗用車としての乗り心地やスポーツ走行までも可能なことで、長らくアメリカ車ならではのボディスタイルとして一般化していった。有名なのはフォード・ランチェロとシボレー・エルカミーノの存在。日本に存在したサニートラックやクラウンピックアップはこれらのアメリカ車にインスパイアされていたのは明らか。異形のフォルムがなんとも独創的。写真は1967年式シボレー・エルカミーノSS(Photo by General Motors)

13.バン

箱型のボディが特徴のバンは、もともとはコマーシャルユース(商用)で開発されたボディで、ピックアップトラックのシャシーがベースになっていたのが主流だった。エンジンが通常のクルマと同じようフロントノーズのエンジンフード内に収めているタイプと、エンジンフードの上までキャビンをレイアウトするデザインで積載性能をより高めたキャブオーバータイプが存在。レジャーの多様化で、現代ではプライベートでのバン需要も高まったことで、商用の簡素なデザインだけでなく人も荷物も載せられるモデルも存在する。もともとはフルサイズボディのフルサイズバンが主流だったが、1980年代には乗用車のシャシーにワゴンボディを拡大したボディを持ったミニバンが生まれてファミリー層の定番ボディになった。写真は1996年式ダッジ・ラムバン(Photo by Stellantis)

14.SUV

ピックアップトラックのシャシーに、ワゴンボディを架装し、4WD駆動のパワートレインで積載能力と悪路走破性の高さを両立させたのがSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)。ステーションワゴンに変わって市民権を得たボディスタイルで、そのユーティリティの高さが人気となり、それまでのセダンの存在が希薄になるほど多くの人に受け入れられた。近年ではセダンなどの乗用車のコンポーネントを使って、SUVのボディを架装するというクロスオーバーも誕生。これはピックアップトラックほどのヘビーデューティなスペックを必要としない街乗り用SUVという位置付けで生まれ、現在ではこちらが主流になっている。写真は1995年式フォード・ブロンコ(Photo by Ford Motor Company)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部