とんでもない企画が動き出したぞ! 目指すは大戦モデルのデッドストックの完全再現。

2023年夏のシュガーケーンの展示会で、バイヤーやプレス向けに超目玉企画が発表された。シュガーケーンの威信をかけた2023年冬リリース予定の特別なデニムコレクションレーベル。その速報として、概要を紹介する。

目指すは大戦モデルのデッドストックの完全再現。

「シュガーケーン」企画総括・福富 雄一さん|自らパターンを引くだけでなく、コレクションの企画もディレクション。ヴィンテージ古着に対する造詣も深い

いまでは世界に誇る日本のデニムだが、その歴史を黎明期から支え続けてきたシュガーケーンからとんでもない企画が発表された。同ブランドの企画を総括する福富さんを中心にトップコレクターの全面協力のもと、スーパーヴィンテージを完全再現する新たなデニムレーベルをスタートするというのだ。

ファーストコレクションに選ばれたのは、いま世界中が注目するリーバイスの“大戦モデル”。簡素化されたディテールが特徴的な1943年モデルと、主要なディテールが復活しながらも大戦期だけの仕様も残る1946年モデルに着目した。

どちらも現在では枯渇化とプレミア化が激しく入手困難な状況だが、どちらもゴールデンサイズ、デッドストック、セットアップという奇跡的な逸品の実物を用意。デニム生地から縫製糸、ボタン、リベット、バックルなどの部材だけでなく、型紙から当時のイレギュラーな縫製仕様まで、その「個性」を完全に再現するのがこの新レーベルなのだ。

「ここまでのスーパーヴィンテージをコレクターの方が用意してくださったので、その期待に応えるべく細部まで納得の出来になるまで何度でもやり直して突き詰めます」と福富さんの鼻息は荒い。

トップコレクターからお借りしたスペシャルなリーバイスのヴィンテージ。左が1943年モデル、右が1946年モデルでともにセットアップでデッドストックという奇跡的な逸品だ。これらをもとにデニム生地から部材まですべてを完全再現し、特別なレーベルのファーストコレクションが作られる

いま最も注目株といえる1943年モデル。

第二次世界大戦期、アメリカ国内産業の物資統制が最も過酷を極めたのが、1943年度のモデルだった。それまでのモデルとは異なり、ムラが強い荒々しいデニム生地や軍汎用のドーナツボタン、鉄リベット、オールイエローステッチなど見た目にも分かりやすい特徴的なディテールに限らず、縫製の運針や戦中だった当時の混乱が見られる拙いステッチワーク、さらにはもとにしたヴィンテージのイレギュラーな縫製仕様までも完全再現する。

第二次世界大戦期は物資の入手が困難だったため、通常より繊維長が短く、ムラの強いデニムを使用していた。それもヴィンテージをもとに糸の紡績から手掛けて試作を繰り返し、見分けが難しいほどの出来栄えだ。

月桂樹柄の鉄製ドーナツボタンも今回のために新たに作り直した。デッドストックとはいえ経年変化した風合いも忠実に再現している。

超希少なヴィンテージの袋地は、色や起毛の修正を行い生産に備える。上はヴィンテージで下がシュガーケーン。

奥がヴィンテージのデッドストックで、手前がシュガーケーンのもの。ゴールデンサイズをもとにしているためディテールのバランスも抜群。

大戦期は工場で縫製担当者が不足して技術が未熟な者も駆り出され、拙い箇所も多い。それも忠実に再現する。下がヴィンテージ、上がシュガーケーン。

大戦モデルらしいオールイエローステッチだが、その綿糸の色合いにもこだわり、ステッチ幅も完璧に再現する。左がヴィンテージ、右がシュガーケーン。

この数年で価値を見出された1946年モデル。

1946年モデルの魅力は、デザイン的には主要なディテールの簡素化が廃されたにも関わらず、大戦後のヴィンテージよりも粗く、青みのあるデニム生地や色味の強いイエローステッチ、粗さの残る縫製。大戦期の名残がある部材のほか、シルエットまでもセットアップで完全再現する。

コインポケットにもリベットが復活するが、刻印がCO.とCo.のものが混在している。こちらも’43年モデルと同様にオールイエローステッチだが、イエローの色味が強いのも特徴。手前がヴィンテージ、奥がシュガーケーン。

大戦期のモデルにのみ見られる百合の鉄製バックルも今回のために完全再現。もとにしたヴィンテージ同様、シルバーのクロームメッキ加工をして質感も完璧に仕上げている。左がヴィンテージ、右がシュガーケーン。

もとにした1946年モデルには鉄製のロゴ入りボタンが使用されていた。その風合いも完璧に再現。右がヴィンテージ、左がシュガーケーン。

1943年モデルよりも青みが強いが、後年のモデルよりも荒々しさが残る1946年モデルならではのデニムも紡績から手掛けて製作。粗さの残るステッチワークも完璧に再現する。右がヴィンテージ、左がシュガーケーン。

フロントのボックスステッチは1943年モデルに比べて小さくて丁寧な仕上がり。奥がヴィンテージ、手前がシュガーケーン。

【問い合わせ】
シュガーケーン(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
https://www.sugarcane.jp/

(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
この記事を書いた人

ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

名作[ハリケーントップ]誕生から40周年! 「CHUMS」の「ハローウェア」が再登場

  • 2026.09.23

「チャムス」の名作[ハリケーントップ]の誕生から40年を迎える今年、「ハローウェア」が再登場する。そのコレクションを紹介する前に、まずはブランドが歩んできた歴史を紐解いていこう。これまでの歩みを知れば、「ハローウェア」をもっと楽しめるはずだ。 ハロー、懐かしくて新しいチャムス サングラスを川に落とさ...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

Pick Up おすすめ記事

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

名作[ハリケーントップ]誕生から40周年! 「CHUMS」の「ハローウェア」が再登場

  • 2026.09.23

「チャムス」の名作[ハリケーントップ]の誕生から40年を迎える今年、「ハローウェア」が再登場する。そのコレクションを紹介する前に、まずはブランドが歩んできた歴史を紐解いていこう。これまでの歩みを知れば、「ハローウェア」をもっと楽しめるはずだ。 ハロー、懐かしくて新しいチャムス サングラスを川に落とさ...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...