【東京横丁酒場ガイド】捕鯨舩(浅草)|ビートたけしも通った、浅草の生き証人の店。

”せんべろ”や”ハシゴ酒”、”ネオ大衆酒場”などが昭和時代を知らない若者の間で流行っている今、「安くて旨い」横丁酒場が人気を集めている。中でも長い歴史を持つ横丁酒場には必ず「物語」があり、それを知るのも楽しいものだ。そんな気になる下町酒場でここはぜひ訪れたい「捕鯨舩」。浅草芸人たちが夢を語り合い、味わった酒と肴をご覧あれ。

芸人の聖地で煮込みと鯨料理を堪能せよ。

外にある暖簾にまでサインが書かれている

看板には「鯨を喰って芸を磨け!!」とある、浅草芸人の集う店。大旦那の河野通夫さんはかつてデン助劇団の二枚目役者だった。往年の名コメディアン、大宮敏充ことデン助は舞台から映画に進出。今のテレ朝で放映された『デン助劇場』は13年も続いた。

L字型のカウンターは、いつ訪れても満員である。撮影中も予約するお客さんが暖簾をくぐって入ってきた。奥にはお座敷もある

店内には芸人のサインや提灯がずらり。中でもビートたけしの名は燦然と輝く。並み居る名店に埋もれぬよう、鯨料理を出すようになったが、たけしも『浅草キッド』で「煮込みしかない……」と歌うほど、そちらも有名。この雰囲気にすかさず酔い、壁中のサインが自分への励ましに見えてきた。芸人であろうがなかろうが、夢を持つ人は一度詣でてみるといい。

昔から数多くの芸能人たちが捕鯨船に集っていた。壁に貼られた写真がそれを物語っている。眺めているだけで楽しい
壁に書かれたビートたけしのサインと、昔の写真。東洋館での下積み時代、先輩に牛煮込みを食べさせてもらっていたそう
お座敷の壁一面にもサインが書かれている。4名以上の予約の際に、ぜひご覧いただきたい

「捕鯨舩」の名物メニュー

牛煮込み(680)5種のもつが入っている。ショウチョウ・モウチョウ・テッポウ・ウワ・ゲハラ。土日は早々に売り切れるので要注意。

大きな鍋にたっぷり入った牛煮込みは、アクを丁寧に取り除く下処理のおかげで、まったく雑味がない。

鯨の竜田揚げ(1360)はいささか値が張るが、何人かで出かけてシェアしたい。

くじら御さしみ・皮とさしみのミックス(1600)。さっぱりした脂が後引かず、お酒ともよく合う。

元祖チューハイ(480)の名前は、浅草で最初に梅シロップのチューハイをはじめたことに由来する。

DATA
捕鯨舩
東京都台東区浅草2-4-3
TEL03-3844-9114
営業/17時~22時、土・日16時~22
休み/木曜

※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.209TOKYOノスタルジック横丁」)

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