猛暑日でも俺はレザーベストを脱がない。
春秋冬は毎日革ジャンを着用するが、ゴールデンウィーク明けくらいから、レザーベストが俺の正装になる。夏が始まり、そして終わり、やがて革ジャンが着たくなる秋が来るまで、それこそ毎日レザーベストを着る。猛暑日でも俺はレザーベストを脱がない。
「暑いのに、なんでそんなの着てるの?」とよく言われる。大きなお世話である。俺は「365日、革を着続ける」と自ら課したその日から、本当に毎日革ジャンか革ベストを着ている。そんな自分が愛おしくてたまらないのである。
さて、革ベストの季節がやって来た。先日、俺のYouTubeチャンネル「モヒカン小川のレザーチャンネル」で、上野にある「ゴートラボ」にお邪魔した。ここは、シルバーブランド「ドッグステート」のオーナーTOSHI氏と、レザーブランド「ゴールデンレシオ」オーナーの飯島一樹氏が共同で始めたショップ。二人とも俺の飲み友達でもある。
このショップで動画撮影をした際に、ゴールデンレシオでレザーベストをオーダーしたのだ。飯島氏の革ジャンは、そのほとんどを手縫いで縫製している。そんな革ジャン、世界を見渡しても稀有である。その仕上がりは、ため息が出るほど美しい。裏地はなく、裏の縫製まで堪能できる仕様。革はバダラッシの牛革を使用し、ボタンやリベット、アジャスターベルトに至るまで、すべてシルバーという豪華仕様にしてしまった。
でも見てよ、この仕上がり。Vゾーンは、俺の好みの広めで作ってもらったのだが、胸元のアクセサリーとの塩梅も、まさに黄金比。飯島氏の丁寧で想いのあるモノ作りは、いつも本当に感心させられる。愚直でまっすぐで妥協することを知らない男。年齢は俺よりも随分と若いが、今どきこんな昭和を感じさせる男も珍しい。そんな男が俺のために作り上げた珠玉の革ベスト。夏が楽しみで仕方がない。
(出典/「Lightning 2023年6月号 Vol.350」)
Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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