海の中で熟成させるロマンある日本酒はいかが。

銀座にある「長期熟成日本酒BAR酒茶論」のオーナー、上野伸弘さんは海中熟成酒の発起人でもある。自分の好きな日本酒を託して、半年間海の中で熟成させる。なんともロマンのある熟成の仕方だ。その様子を少しだけ教えてもらった。もちろん、誰でも参加できるのでぜひお試しあれ。

「長期熟成日本酒BAR酒茶論」上野伸弘さん|酒茶論のオーナーであり、一般社団法人刻SAKE協会の常任理事を務める。日本酒の古酒を世界に広めるべく、尽力している。5月に移転し「熟と燗」をオープン。ギャラリーのような店内で極上の古酒を楽しめる

自分の好きな日本酒を海中で熟成させよう。

約半年、海中にしたボトルにはフジツボなどの貝が付いたり、海ならではの付着物がある。まるで映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てくるボトルのよう。これだけでロマンがあり、ワクワクしてしまう

熟成させる方法は様々ある。前ページのように甕や樽に入れる方法、あるいは洞窟で一定の湿度と温度で保管する方法など。何年もじっくりと寝かせることで、味も変化するし、価値もあがる。では、他にどのような方法があるのか。そこで思いついたのが海中だった。

まったく動かさない甕や洞窟保存と異なり、海中ではある程度の周波数によってアルコール中の化学分解が起こるそう。緩やかな波の動きに合わせて日本酒もボトルの中で踊る。その相乗効果で地上での熟成とはまた異なる味の変化が起こるのだという。

一度に沈ませるのは約1万本の日本酒。写真のようにいくつかのカゴに分けて保管するのだ。カゴは重ねたりしてブロック状にしていく
これは海中に沈めている光景だが、半年後には様子がガラリと変わる。海藻がカゴにまとい、魚が生息する。回収のときにはまず“漁” から始まるそう

海中熟成は最近、あちこちで行われているが、上野さんが選んだのは南伊豆の穏やかな海。透明度が高く、波が穏やかというところにポイントがあるようだ。

熟成させるのは、南伊豆の海。透明度が高く穏やかなので、保管しやすいのがポイントだ。専門の人たちがひとつひとつ日本酒が入ったカゴを沈めていく。この光景こそ期待度が上がる!

一般の参加も可能で、詳細はお問い合わせ願いたい。自分の好きな日本酒を持ち込んで、ある意味自分だけの日本酒を楽しめる絶好の機会でもある。新酒と海中熟成酒と飲み比べするのも面白い。海にはロマンがある。そんなお酒の楽しみ方、アリだろう。

穏やかな波に揺られているのと、平面で熟成されているのとでは味が全然異なるのだそうだ。海の状況によってもきっと変わるのだろう
海中熟成の作業は専門のスタッフが行ってくれる。海底で波に揺られながらじっくりと眠る日本酒がどんな味に変化するのかとても楽しみだ

【DATA】
長期熟成日本酒BAR酒茶論
東京都中央区銀座6 丁目4-8 曽根ビル B103
TEL03-6263-9710
営業/平日18:00~深夜、土曜16:00~21:00
休み/日曜
https://www.shusaron.net

(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

Pick Up おすすめ記事

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...