見た目はクラシックなのに中身は現代車両。そんなフォード・マスタングが存在する。

  • 2023.07.04  2023.03.02

旧車が持つデザインはカッコいいけど、快適装備や信頼性は現代の新車に軍配はあがる。もちろん、当時ならではのスタイルを楽しむことは大事だけど、フルレストアして当時の新車同様に再生させることは膨大な時間とコストがかかる。実際にそこがネックになって旧車に手を出すことに足踏みしている人がいることも事実。そんな願いを叶えてくれる車両がアメリカには存在する。ファースト・マスタングのスタイルで、その中身は現代車両というレボロジー・マスタング。その全貌をご覧あれ。

機関系から足周り、快適装備まで現代のテクノロジーに。

アメリカはフロリダ州にあるレボロジーカーズは、リペアパーツが豊富に存在し、クルマ好きたちにも人気のあるフォード・マスタングに着目し、当時のスタイルのまま中身を現代車両で作り上げているメーカー。

エンジンやトランスミッション、さらにボディはフォードが純正で今も販売しているモノを使い、そこにサードパーティのパーツメーカーに別注したパフォーマンスパーツで組み上げられる。見た目はクラシックカーそのものながら、イージースタート&イージードライブを可能にしているので、新車として当時のマスタングを現代の快適装備付き、さらには当時以上のパフォーマンスで楽しめるってわけだ。

初代になる1965年式フォード・マスタングと何ら変わらない見た目に、これの中身が現代のテクノロジーで組み上げられているとは見た目からは想像もつかない。まるでフルレストアしたヴィンテージカーのよう
当時のマスタングはクーペ、コンバーチブル、そしてこのファストバックが存在。Bピラーからスラントしたボディラインになるファストバックはリアからの眺めが美しい

カーカルチャーの歴史があるアメリカでは旧車に現代のエンジンを搭載したり、足周りなどを現代のテクノロジーで強化するカスタムはそれほど珍しくないし、そのようなアップデート用の交換パーツはメジャーなクラシックカーであれば様々なサードパーティがパーツを販売している。

ただ、それをすべて新品パーツで組み上げ、コンプリートカーとして販売しているのがこのモデルの徹底したスタイル。ヴィンテージの顔をして当時のヴィンテージパーツは使用していない。つまりネジ1本まで新品というのがキモになっている。

しかもフォードからライセンスを取得して生産しているので、本家フォードも認めているモデルというところも見逃せない。旧車は好きだけど、付き合い方が難しいという悩みや、ヴィンテージカーを気軽に楽しみたい、さらにはオリジナルの旧車を所有している人のセカンドカーとしてなど、オーダーする人の理由は様々だけど、その仕上がりのクオリティは圧巻。

ぱっと見ではマスタングによほど造詣が深くなければ、その違いには気がつかないほど。ただ、その中身を見ればこのモデルの凄さはわかる。

中身は現代の新品パーツで組み上げられたまったくの別物。

エンジンはDOHC/V8の5000cc。コヨーテと名付けられたフォードの販売するクレートモーター(エンジン単体で販売されているプロダクツ)で、460馬力を発生する。街乗りには十分すぎるスペックになる
フロントサスペンションはマスタング2と呼ばれるアメリカでもメジャーな独立懸架システムをオリジナルのショックアブソーバーなどでさらにアップデートしたものを採用している
本来はリーフ式のリアサスペンションも、このモデルは独立化したコイルオーバー式にアップデートされ現代車両同様のスペックに。マフラーはアメリカのボーラ製。搭載されるエンジンに合わせたカスタムモデルだ
インテリアも当時の雰囲気を残しつつアップデートされる。中央にはナビのモニターが入り、センターコンソールにカップホルダーが標準装備されるなど現代的に。組み合わされるミッションは10速のオートマチック
ステアリングコラムにイグニッションのキーシリンダーは存在せず、プッシュスタート式に変更される。クラシカルな見た目で現代的なプッシュスタートという組み合わせに遊び心を感じる
センターコーンソールのグローブボックス内にはUSBの接続端子を装備。あくまで旧車のスタイリングは損なわずに、普段は見えない部分でアップデートしているところは旧車好きも納得のクオリティといえる
スマートフォンを接続してナビアプリをリンクさせればモニターを使ってナビゲーション機能を使うことができる。旧車でもナビは欲しいという人にはありがたい現代的な装備。もちろん、言語環境もデバイスに準拠するので日本語表示になっている
天井は高級車などによく使われるアルカンターラ張り。もともとマスタングは安価にスポーツ走行が楽しめるモデルとして生まれたが、すっきりとしたデザインは高級感のあるスタイルもよく似合う
1960年代の顔をしてキーレス機能も標準装備。イグニッションキーは往年のスタイルだけど、キーレスエントリーのリモコンが付属するところに新旧の融合を感じる
オリジナルのマスタングに採用されていたホイールと同じデザインながら17インチ化したアルミホイールにアップデートされる。ホイールをインチアップすることで、ブレーキは前後ともウィルウッド製の大径ディスクブレーキをセットすることを可能にしている。タイヤサイズは245/40-17だ
野生馬の型押しが入ったシートは当時の雰囲気を残しつつ、ホールド性を高めたデザインに変更され、さらにレザー張りにアップデートされている。ヘッドレストを装備していない昔ながらの雰囲気は残しつつロングドライブにも対応したアップデートとなっている

気になる価格は、車種や仕様によって変動するけれど、25万~33万ドル(約3000~5000万円)。2023年の2月現在ではオーダーをしてから約1年〜1年半で製作してくれるという。さらに日本に運んで登録してなんて考えると、もはやスーパーカー並みのコストがかかるのは、このクオリティを見ればまあ当然。

ただ、スーパーカーはその派手なルックスでどうしても目立ってしまうけど、これなら大人っぽく乗れるし、スペックはスーパーカーにもひけを取らない。快適性能、イージードライブ、そして安全性まで現代のスペックで往年のクラシックカーが楽しめるなんて、そんな選択肢まであるアメリカのクルマ文化の奥深さにまたも感心してしまう。夢のクルマにもうひとつ候補が加わったことだけは間違いない。

【問い合わせ】
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