センター街が俺の文化の中心だったころ、バンソンは高嶺の花だった。

欲しいモノが尽きないライトニング編集部員が、いま気になるモノから実際に購入しちゃったモノまで、ジャンルに限らず何でも紹介!

今回は久しぶりのアメリカ出張でこのボーントートを持ってマンハッタンの街を歩いていたら、3人くらいの人から「クールなバッグだね」と声を掛けられた、革ジャンの伝道師・モヒカン小川がお届け! 「ボーンの威力、マジハンパねぇっす」

いつまでも「憧れ」のままでいて。

バンソンのアイコン「ボーン」をあしらったレザートートバッグ。縦長のフォルムで使い勝手も良好だ。素材はクロム鞣しのカウハイドを使用し、耐久性も高い。ボーンのジャケットはハード過ぎるけど、ボーントートならお洒落に使えそうじゃない? 399ドルhttps://www.vansonleathers.com/

久々にアメリカに行った。いやぁ楽しかったな。いつもはアメリカ入国から二日くらい経つと、もうハンバーガーに飽きて日本食や韓国料理を探し始めるのだが、今回は全日程アメリカ料理で過ごせた。だって本当に久しぶりなんだもん。

今回は、姉妹紙クラッチマガジンの取材で、まさしく「革三昧」のアメリカ旅だった。まずLAに入り、そこからカナダ・トロントでヒメルブロス、ミネソタでレッドウィング、ニュージャージーでショット、そしてマサチューセッツでバンソン。収穫多き今回の旅だったが、中でもバンソンのファクトリーに行けたのは嬉しかった。

いままで、いろんな革ジャンを着てきたし、ライトニングで紹介する有名どころのブランドの革ジャンは、ほぼ“制圧”したと言っていい。個人的に大好きなブランドも数知れず。でも「憧れのブランドは?」と問われると、答えは一つしかない。やっぱりバンソンなのよね。渋谷のセンター街が俺の文化の中心だった学生時代、バンソンは高嶺の花だった。「買いたくても買えない服」、それが俺にとってのバンソンだった。

あれから30年余りが経ち、バンソンよりも高い革ジャンを何着も手に入れた。でも若い頃の憧れは、いくら歳をとっても変わらない。マサチューセッツ州フォールリバー。1898年に建てられたという元紡績工場が、現在のバンソンのファクトリーだという。エントランスというにはあまりにもぞんざいなドアを開けると、そこには昔欲しくてたまらなかったバンソンの革ジャンが、今も変わらずずらりと並んでいた。震えたね。俺にとってのセンター街が、マサチューセッツの小さな港町にあったのだから。

バンソンのファクトリーショップで、革ジャンは買わずに、このボーントートを買った。楽しみは次に取っておく。これが大人の、「憧れ」との付き合い方なのだよ。

vanson Leathersのボーントート

肩に掛けるとこんな感じ。ストラップも長めで、革ジャンを着ていても肩掛けが可能。それにしてもすごいインパクトじゃない?

両サイドには二室の仕切りがあり、ジッパー付きのポケットも装備され、使いやすい。サイドの仕切りにはペットボトルがすっぽり収まる。

お気付きだろうか? 表面には鎖骨が、そしてこちらの背面には肩甲骨がデザインされる。こうした細やかな遊び心が楽しい。

(出典/「Lightning 2022年10月号 Vol.342」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...