【クルマ専門店ガイド】スウィンギンモータース|王道から少し外れた旧車ならお任せ!

連載『プロショップ・カーガイド』。クルマの専門店をクルマとともに紹介していく内容だ。今回は国内外の旧車を扱うことで知られる、東京のショップ『スウィンギンモータース』にお邪魔した。

オシャレで楽しいクルマを提案。

最寄りの駅はJR五反田駅か東急池上線の大崎広小路駅。お店は大通りを一歩入った閑静な雰囲気の場所にある。ショップ店内には横田さんがコレクションしているヴィンテージスクーターも展示されている

王道から少し外れた旧車を扱うスウィンギンモータース。「いかにも仕上げましたという眺めるだけのクルマではなく、全体的にヤレていても“気軽に楽しめるじゃん!”というような、オシャレで楽しいクルマを知ってもらいたいし、乗ってもらいたい」とスウィンギンモータースの横田さん。長年勤めていた旧車専門店で得た経験と業界のネットワークを持ち、店頭に並んでいるクルマ以外でも探している車両があれば見つけ出すことが可能。同様に各カテゴリーや車種に強い工場や腕利きの整備士ともつながっているので、希少車でもメインテナンスや修理を安心してお任せできる。車両購入後も長い付き合いのできるカーショップだ。

スウィンギンモータースの横田修さん。ショップオープン前は有名旧車専門店のマネージャーを務めるなど、実は業界では名の通った重鎮のひとり。数々のクルマを扱ったが、一番好きなのは’60年代のアメリカ車だそうだ

【注目の一台。その①】1967 TOYOPET CORONA 1500DX

Specification|全長:4110mm 全幅:1550mm 全高:1420mm ホイールベース:2420mm 車両重量:945kg エンジン:直列4気筒OHV 排気量:1490cc 最高出力:70ps/5000rpm 運転席:右 変速機:AT

昨今の旧車ブームであらゆる旧いクルマも価格が高騰している中、今でも買いやすい価格を維持しているクルマがある。それがこのトヨペット コロナ(RT40型)だ。

それには理由がある。まず市場に出回った数が多いということ。そして車体が頑丈だった。そのため今でも現存している車両が多く、希少車ゆえのプレミア価格が付きづらい状況になっている。

純正のメッキホイールキャップにホワイトウォールタイヤの組み合わせ。絶妙な車高と相成って、オシャレな雰囲気に仕上がっている

スウィンギンモータースのオーナー横田さんはこの型のコロナを何十台も売ってきたという。

「旧車初心者の方にもお勧めしているクルマです。実際この型のコロナに乗られる方は初心者の方が多いんですよ。OHVの2Rエンジンは頑丈なので壊れることはほとんどありません。またシングルキャブなので気難しいこともなく普通に乗れてしまいます。それでいて排気音やOHV特有の小気味いいエンジンレスポンスは旧車ならではの高揚感があります」

この個体の特徴のひとつが変速機。トヨタの開発した日本初のトルクコンバータ付きオートマチックトランスミッション、トヨグライドを搭載しているのだ。走行は2速ギアで行い、道路条件に応じて手動で1速にシフトする2速半自動オートマチックだ。

ヤレや汚れのないシンプルなエンジンルーム。水冷直列4気筒OHVエンジン(2R型)のコンディションも良好でエンジンは一発で始動。旧車らしい元気で歯切れのよい排気音が心地いい

「オートマ限定免許のお客様からも旧車に乗りたいという相談を受けることがありますが、これなら問題ありません。日常で普通に乗れる旧車として、難しいことを考えずに乗ってほしいですね。内装も55年前のクルマとは思えないくらいしっかりしていて、オリジナルシートもほとんど痛みはありません。ワンオーナーではありませんが、今までのオーナーさんが大事にしてきたことがわかります」

残念ながらこの個体は本誌発売前にソールドアウト。だが、先述したように横田さんはいわばコロナ(RT40型)のオーソリティ。良質な個体を探している人は一度相談してみることをお勧めする。

年式を感じさせないクリーンな室内。シートも目立った破れなどなく、極上という言葉がぴったり。ハンドルも純正のままだ
変速機はトルクコンバータ付オートマチックトランスミッションのトヨグライドだ。透明プラスチックのシフトインジケーターも味がある

【注目の一台。その②】1973 VOLKS WAGEN Type 181 Kurierwagen

Specification|全長:3780mm 全幅:1640mm 全高:1620mm ホイールベース:2400mm 車両重量:910kg エンジン:水平対向4気筒OHV 排気量:1584㏄ 最高出力:44.6ps/3800rpm 運転席:左 変速機:4MT

国産旧車以外にも、横田さんのお眼鏡にかなったクルマがスウィンギンモータースの店頭に並ぶ。このフォルクスワーゲン・タイプ181クーリエワーゲンもそのひとつだ。

「元が小型軍用車として製造された181なので、今ならアウトドアのスタイルにもってこいですね。幌を外せばオープンにもなるし、ロールバーも付いています。波乗りが趣味の人ならサーフボードを乗せて、フルオープンで海まで行ったらカッコいいですよね! リアにエンジンが搭載されているので積載量を気にする人がいるかもしれませんが、リアシートを畳めばスペースに問題はありません。これにキャンプ用品を山盛りにしてキャンプ場に行ったら、注目されるどころかむしろヒーローですよ!」

ボクシーなシルエットなので大きい車体に思えるが、実はK13型マーチと同じ全長でわずか3780㎜。車高も高いので視界もよく、車両の雰囲気からでは想像できないほど取り回しはいたって普通

このような旧いクルマの場合、どんなにスタイルが好みでも、やはり気になってしまうのがメインテナンスや修理だが……。

「ベースが空冷ワーゲンなので、走る・曲がる・止まるといった部分は心配ありません。空冷ワーゲンのリプロパーツは今でも世界中で販売されています。ビートルがベースなので走りも軽快で、車高も高く乗っていて気持ちがいいですよ。それこそビートルに乗る感覚を持ち合わせている人なら、特に苦もなく楽しめると思います」

この個体は前オーナーによって手が入れられており、機関も絶好調。そして車体もオールペンされるなど、さりげないモディファイが施されている。

ラジオなどはストックのままだが、ハンドルはFLAT4のGTウッドステアリングホイールに換装されている。ノンパワステだがリアエンジン・リア駆動で車重も軽いので苦労することはないだろう
元のオーナーによってモディファイされている車両だが、ホイールは鉄ホイールでミリタリーさを演出。タイヤサイズは前後とも185R14C。ハイトのある肉厚なサイドウォールがよく似合う

「ノーマルではありませんが、センスよく仕上がっていますよね。ベンツのGクラスにだって負けない存在感があります。それでいて街中でも取り回しのしやすいコンパクトなサイズというのも魅力です」

現在、この個体はスウィンギンモータースで車両本体価格330万円で発売中。車両を見に来る人も多いとのことなので、気になる人は至急問い合わせを!

小型軍用車両として製造されたタイプ181「クーリエワーゲン」。カクカクした車体デザインに、丸目のヘッドライトがとにかくキュート。タイプ181にも空冷ワーゲンに共通する可愛らしさがある
リアシートは前側に倒すことができ、ラゲッチスペースを拡大することができる。アウトドア用品などの汚れたものを積み込んでも鉄板のフロアなので掃除が楽チンなのがポイント
他の空冷ワーゲンシリーズと同様、空冷水平対向四気筒エンジンをリアに搭載。リアエンジン&リアドライブのRR駆動方式となる。エンジンパーツは他のワーゲンと共通なのでメンテも安心
リアエンジンなので、フロントフードの中はラゲッジスペースとなる。スペアタイヤを外せば、ちょっとした小旅行の荷物くらいなら積める容量だ
サイドウインドーはなんと差し込み式! 元が軍用車だからこそのシンプルな構造だ。脱着は簡単に行えるので、突然の雨でも慌てることはない

【DATA】
スウィンギンモータース
東京都品川区西五反田7-19-3
TEL03-6431-9900
営業/11:00~18:00
休み/日曜
Instagram:@swingingmotors
Youtube:https://www.youtube.com/c/swingingmotorschannel

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年9月号 Vol.341」)

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