このブーツは「綺麗」? 「美しい」? BILTBUCKのエンジニアブーツ。

欲しいモノが尽きないライトニング編集部員が、いま気になるモノから実際に購入しちゃったモノまで、ジャンルに限らず何でも紹介!

今回は「その昔、甲本ヒロトさんが革ジャンのインナーにグンゼのU首仕様の紳士用肌着を着ていると知って、真似をしてたら彼女に嫌がられた(笑)。でも今でもUネックは大好きです」という、革ジャンの伝道師・モヒカン小川がお届け!

BILTBUCKのLOT.603 ENGINEER BOOTS “THE PIONEER”

先日、タモリさんと甲本ヒロトさんが対談している過去のTV番組の動画をYouTubeで偶然見つけた。そこで興味深かったのは、タモリさんがヒロトさんに向かって「“綺麗”と“美しい”の違いをちゃんとわかっているよね」と言っていた。なるほど深い。

調べてみると「綺麗」とは、清潔さや整然さなどが優れている様を言い、「美しい」とは、話者の「心が奪われる」状態を表す言葉だという。要するに、「美しい」は、より内面的だということになる。

確かに、ドブネズミは決して綺麗ではないが、ヒロトさん的に、ドブネズミには心を揺さぶれられる美しさがあるということなのだろう。ライトニングで取り上げるモノも、どちらかというと「綺麗」よりも「美しい」と表現されることが多い。

例えば着込んだ革ジャン。ヤレて傷が付いて皺が走り、決して綺麗ではないが、とてつもなく美しい。誌面で紹介する時、もちろん「写真に写る美しさ」もあるが、着用者が着込んできた“歴史”という「写真には写らない美しさ」が、そこにはある。

通常のブーツでは外側に装備されるヒールカウンターを内側に付けた「インナーカウンター」仕様のザ・パイオニア。モーターサイクル黎明期の頃のエンジニアをモチーフにしており、素材はグイディ社のホースバット。12万9800円

この写真を見てほしい。ビルトバックのザ・パイオニア。エンジニアブーツも、とかく「綺麗」よりも「美しい」と表現されることが多いが、このザ・パイオニアは、綺麗と美しさを両立させた稀有なエンジニアと言える。

インナーカウンターを採用したシンプルで流麗なデザインは、「綺麗」と言わずに何と言えばいいのか。写真のブーツは、俺が2週間程度履き込んだものだが、グイディのホースバットを採用したアッパーには早くも皺が刻まれ、「美しく」育ちつつあるのがわかる。

ザ・パイオニア。綺麗なブーツを手に入れた。あとは履き込むのみ。徹底的に履き潰して、「写真には写らない美しさ」を追求していこうと思う。

ヴィンテージのミリタリーブーツやドレスシューズに見られるインナーカウンターを採用しており、シンプルで美しいデザインを実現した
ソールはビルトライトのソールを採用し、グリップ力も十分。非常にクラシカルな印象だ。セパレートタイプで、見た目もクラシカルだ
バックルは焼き付け塗装を施したサンドキャストの鉄製。素材は張りの あるグイディ社のホースバットでコードバンのような輝きを放つ

【問い合わせ】
アトラクションズ 
TEL03-3408-0036
https://attractions.co.jp/

(出典/「Lightning 2022年7月号 Vol.339」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...