スカジャンのスペシャリストが作った、寅年の今年ならではのトラづくしスカジャン登場!

ヴィンテージスカジャンのスペシャリストとして知られるテーラー東洋の松山さんが、今年が寅年ということもあり、いつも以上にこだわったトラづくしのスカジャンを作り上げた。そのこだわりについて語っていただいた。

今年ならではのTORA! TORA! TORA! TORA!

強面だが、実は気さくな松山さん。ついつい笑い話をしてしまうのだが、スカジャンの話になると真剣な表情に。どんな質問にも真摯に向き合ってくれる

ヴィンテージのスカジャンは、誰もが知る存在ではあったが、一点モノ的な要素が強いため、どんな図案が存在するのか、どのような色の組み合わせが多いのかなど、詳細は意外と知られていなかった。そんな中で昔からヴィンテージスカジャンに魅せられ、スカジャンの専門書『JAPANESE EMBROIDE RED JACKETS』まで上梓した経歴を持つのが、テーラー東洋の松山さんだ。世界で初めてのスカジャン専門家であり、おそらく最も多くのヴィンテージスカジャンを見てきた人物である。

これ全部ヴィンテージ!!

そんな彼の知識が、テーラー東洋のモノづくりの根幹だ。しかも、テーラー東洋を手掛ける東洋エンタープライズは、ヴィンテージスカジャンでお馴染み『港商商会』を前身に持つ。そんな“本物”のスカジャンメーカーが、世界一のスカジャン愛好家の手によって作られているのだから、テーラー東洋のスカジャンを“ヴィンテージの復刻”と簡単な言葉で済ますことに、どこか違和感を覚えてしまうのだが、今回リリースする2着のスペシャルエディションにおいては、復刻という言葉がちょうどいいのかもしれない。なぜなら、寅年になぞらえ、両面ともに激レアなトラの図案を組み合わせた、今年限りの創作モデルだからだ。

もとにしたのは、数多くアーカイブしているテーラー東洋のヴィンテージコレクションの中でも、松山さんが選りすぐった指折りのトラ刺繍のものが4着使われている。選んだ基準は単純明快だ。

プリントのスカジャンはスーパーレアな逸品!

「カッコイイかどうか。それに尽きます。同じ絵柄のスカジャンの刺繍には、基本的には同じ刺繍型が使われますが、すべて同じ仕上がりになるわけではありません。刺繍の出来はミシンを操る職人の技量によるからです。同じ刺繍型を使っても、臨場感あふれる迫力のあるものから、間抜けたものまで存在します。それが面白さなのですが、やはりトラ刺繍は前者が魅力的です。個人オーダーのような極めて数の少ない図案も好きですね。今回は私自身、これ1着しか見たことがないものも1柄使いました」

そんな特別なスカジャンが、この春にリリースされた。

Early 1950s Style Acetate Souvenir Jacket “KOSHO & CO.” Special Edition “BAMBOO & TIGER” × “TIGER PRINT”

1950年代初期に作られた2着のヴィンテージからA面(主役となる面)のトラ柄を抜き出して1着に落とし込んだ。表面の竹林から姿を現すトラの絵柄は、松山さんをして「これ1着した見たことない」という。リバーシブル面は手捺染によるプリントのトラ柄。ヒゲなどには刺繍も組み合わせた、職人技の光る絵柄だ。8万6900円

REVERSIBLE

Early 1950s Style Acetate Souvenir Jacket “KOSHO & CO.” Special Edition “TIGER HEAD” × “ROARING TIGER”

こちらも1950年代初期のヴィンテージのA面を組み合わせた。表面は「タイガーヘッド」と呼ばれる絵柄だが、唸り声が聞こえてきそうな迫力の出来栄えは随一。たてがみ部分の凝った刺繍も見事だ。リバーシブル面は、天空を睨む非常に希少な構図。あえて虎斑をネイビーにしてボディとのコントラストを演出している。8万6900円

REVERSIBLE

【問い合わせ】
テーラー東洋(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
https://www.tailortoyo.jp/

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年5月号 Vol.337」)

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ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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