今回は「最近、同時にザ・リアルマッコイズのA‒2も購入。2着に愛を注がねばならず、革ジャンの着込みに忙しい日々を送っている。マジで身体が2つ欲しいと思う今日この頃なのです」と語る、革ジャンの伝道師・モヒカン小川がお届け!
FOUNTAINHEAD LEATHERのZETA
人間の欲望というものは、際限がない。先人たちは、そんな愚かな人間への戒めを込めて、哲学や宗教を生み出した。食欲、性欲、睡眠欲だけにとどまらず、サボりたい欲、呑みたい欲、逃げたい欲、遊びたい欲……ありとあらゆる“欲望”が、人の心を覆いつくし、正常な判断を鈍らせる。俺の場合、これに“革欲”が加わってしまうのだから、手に負えない。人間の煩悩は108個あると言われている。ということは、108着の革ジャンを手に入れた時に、俺はこの「革の煩悩」から解放されるのだろうか。否、そんなはずはない。俺のことだから、きっと109着目の革ジャンに手を出すはずに違いない。まさに無間地獄である。
そんな愚かな俺が最近手に入れた「新たなる煩悩」が、ファウンテンヘッドレザーのニューモデル「ゼータ」だ。「またライダースを買ったの?」という呆れ声が聞こえてきそうだが、煩悩に塗れた俺には全く気にならない。だってカッコいいんだもん。エポレットにスターの付いた、いわゆる「ワンスタータイプ」は、ショット・ワンスターを筆頭に何着も所有している。
しかしこのゼータは、映画『乱暴者』でマーロン・ブランドが着用していたデュラブルをモチーフにしているため、ショットとは一味違った味わいがある。袖のジッパーも、ワンスターと異なり、外側についているしね。袖を通してみると、アームホールも細くてスタイリッシュで、オリジナル特有の野暮ったさが一切ない。顔料仕上げらしい光沢感も楽しめ、煩悩が一つ増えたのにもかかわらず、俺の心はルンルンなのだ。
煩悩上等。悟りや解脱も求めまい。俺は、この「革の煩悩」と一生添い遂げながら、閻魔様が羨むような、思いっきり幸せな人生を送ってやろうと思う。
【問い合わせ】
マスファルト
http://www.masphalto.jp/
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2022年5月号 Vol.337」)
Photo/A.Kuwayama 桑山章
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