教えてくれたのは……「バンカラ東京」代表・宮崎弘恭さん
ヴィンテージハーレー専科、バンカラ東京のメカニック兼、代表。サイドバルブやナックルから、ショベルまでハーレーのありとあらゆる旧車を取り扱う。
【豆知識①】昔のハーレーにはサスペンションがない……。
現行車にはない“リジッドフレーム” とは、リアサスペンションを装備せず、鉄のフレームのしなりだけで衝撃を吸収するという古典的なもの。高速でギャップを拾えば、内臓が揺れる感覚を覚えるほど体は痛いが、三角形を描くフレームラインの美しさから、オールドスクールを好む層からは圧倒的な人気を誇る。
【豆知識②】エンジンはあだ名で呼ばれる。
ハーレーのヴィンテージを語る上で、一番最初に覚えなければいけないのが歴代エンジンのあだ名。このあだ名を知らないと、もはや好き者同士の会話がまったく成り立たないほどにポピュラーなもの。まずは最も有名な下の3つから覚えるべし。
ナックルヘッド
1936〜’47年。ハーレーで初めてのOHV機構を採用したV型エンジン。名前の由来はロッカーカバーの形状が拳に似ていることから。排気量は1000㏄と1200㏄の2種類。
パンヘッド
1948〜’65年。パンケーキを焼く鍋(pan)が由来とされる。ハーレーの構造が大きく進化した時代のエンジン。ヘッドがアルミ製に変更となった。排気量はナックルと同様。
ショベルヘッド
1966〜’84年。由来には諸説あり、アメリカで石油を採掘する掘削機のパーツに形状が似ている説が濃厚。前期と後期があり、ハーレー最後の鉄シリンダーを採用するモデル。
【豆知識③】超アナログなバネ式のフォークがヴィンテージの証。
ヴィンテージハーレーと聞いた時に多くの人がこのフォークが付いている形を想像するはず。スプリンガーフォークと呼ばれるもので、’48年まで純正採用されていた。後ろのレッグが動き、バネの力だけで衝撃を和らげるもの。見た目は明らかにクラシカルでカッコイイが、大きなギャップをひろうとしばらくフワフワし続けるので、乗り味の好みは分かれるところ。
【豆知識④】’50年代前後でほぼ今のバイクの形が完成していた。
1950〜’60年代、ハーレーの機構は大きな進化を遂げた。’49年のハイドラグライドでフォークが油圧になり、’52年スポーツモデルのKモデル登場と同時にハンドクラッチがオプション採用。さらに、’58年のデュオグライドからリアサスペンションの装備、’65年のエレクトラグライドで12V化した事で、ほぼほぼ操作は今のバイクと同じになった。
1949年~「テレスコピックフォーク」
1952年~「ハンドクラッチ」
1958年~「リアサスペンション」
【豆知識⑤】’30sのシートはホースハイド。中身は馬の毛!?
ホースハイドに反応するのはレザーフリークの証。’20〜’30年代はクルマが大衆に浸透し、馬の需要が減ったことから革の供給で最も多かったのが馬。と言うわけでホースハイドのシートは当時は珍しいものではない。中には馬の毛をあんこ(詰め物)代わりに使っているものもあったそう。
【豆知識⑥】’30年代までのタンクはデカール、’40年からエンブレムが付く!
手前が’39年のナックルヘッド(リペイント)、奥が’50年のパンヘッド。’39年まではタンクグラフィックがデカールで、’40年から立体的なエンブレムが付くと覚えておくと年式判別しやすい。もっと深く知りたい人はそれぞれの年式のタンクグラフィックを調べてみると面白い。
【豆知識⑦】知ったかぶるにはココを見ろ! 年式がエンジンに書いてある。
旧車好き同士の会話を聞いていると、「◯年のFLだね」などと、一発で年式モデルを当てていることがよくある。あれがすごく通っぽくてカッコイイのだが、実はシリンダーの下に年式とモデル名が刻まれているので、初心者はこれを見てから知ったかぶると間違いが少ないはず。
(出典:「Lightning Vol.283」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/S.Ise 伊勢悟 取材協力/バンカラ東京 TEL03-6421-1950 http://bankara-tokyo.com
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