商用車としてのバンを、とことんカッコよくカスタムしたデザイン会社の作業車がスゴイ。

一見バンの専門店かと思ってしまうこの佇まい。実はカッコいい空間を手掛ける、とあるデザインファクトリーなのである。なんでも全て建材運搬用の作業車だそう。早速見せていただこう。

会社のイメージに合う堅牢かつクラシックな見た目と作業車としての機能性を両立させたバンたち。

ここ日本では、建材や資材を運搬する作業車として圧倒的なシェアを誇るのは、間違いなくトヨタのハイエースである。次はニッサンのキャラバンだろう。積載容量が十分なのはもちろん、タフでありながら燃費も優秀。それが作業車として重要なのはいうまでもない。

しかし、クルマの存在意義は、単純にそれだけで測れないものがある。例えば、ブランドや会社の世界観を具現化するのに、社有車や作業車は最適な存在でもあるのだ。

ここで紹介する3台のバンは、クルマ専門店がカスタムを施して販売しているものではない。川崎市にある「フラフープデザインファクトリー」という、主に内装を手掛ける会社の作業車である。同社は、ショップから個人宅まで幅広く顧客を持つが、空間デザインと施工だけでなく、看板や什器まで何でもカタチにするデザインファクトリーだ。

代表の上山さんはアメリカンカルチャーに精通し、 大のクルマ好きでもある

代表を務める上山さんは、アメリカンカルチャーに精通しており、ミッドセンチュリーデザインはもちろん、ニューヨークを象徴するインダストリアルデザインにおいても、誰も注目していなかった2000年代初頭から空間演出に取り入れて提案していた。その感度は、2002年にフラフープデザインファクトリーを立ち上げた当初からファッションブランドに注目され、現在まで多くのブランドのショップや展示会ブースなどを手掛けている。ちなみに弊誌でお馴染みのブランドのいくつかも顧客である。

そんな業務において、これらのバン達は、仕事の足として主に都内で活躍している。すべて現行車ではないため、仕事に支障がないようにしっかりとメインテナンスしながら、クルマ好きがグッとくるセンスのよいカスタムを施し、レタリングがなくとも宣伝カーとしての役割も担っている。

現に私は、原宿近辺でこのエコノラインに何度も遭遇し、ずっと気になる存在だった。脳裏に焼き付く圧倒的なクルマの佇まいが、フラフープデザインファクトリーの世界観そのものなのである。

それでは、3台それぞれのスペック、カスタムなど詳細を紹介しよう。

1.1998 MITSUBISHI DELICA VAN P27V(1998年式三菱 デリカ)|1979年に登場したデリカの2代目バンタイプをモダナイズ。

“クロカンできるワゴン” というキャッチフレーズで1979年に誕生した三菱のデリカ。乗用車のスターワゴンと商用車のバンタイプがあった。こちらは’86年にフルモデルチェンジあした2代目バンタイプで、両側スライドドアが特徴だ。

キャブオーバー型のワンボックスカーならではのズングリとしたデザインは、いま見ると十分クラシックな佇まいで、年式以上に旧車然とした顔つきが魅力。最近この世代のデリカカスタムが注目され始めたが、上山さんは何年も前にノーマル車をこのスタイルにカスタム。いまの価格高騰にはビックリだそう。

  • 1998年式 三菱 デリカ
  • 全長438 ㎝ 全幅169㎝ 全高229 ㎝ 車両重量1610 ㎏
  • エンジン:2000cc(ガソリン)

どんなこだわりが? カスタムのポイントもチェック!

キャブオーバーゆえに純正シートの土台は左右が不均等。そのためかなり苦労してレカロシートを取り付けたという。

IPFのフォグは他車種用を転用。ステーはワンオフで制作した。こうするためにバン用バンパーの通称アヒル顔を選んだ。

リアはブロックで3インチほどリフトアップ。この1台は実はガソリン車で、これまた非常にタマ数が少なく、探すのにかなり苦労したそうだ。

デリカスターワゴンは比較的リフトアップするのが簡単だそうで、フロントはトーションバーで約2インチリフトアップしている。

すっきりしたスターワゴンとは異なり、バンタイプは出っ張ったバンパーのアヒル顔が特徴。タマ数は少ない。今後は予備タイヤ用のラックをフロントに組む予定。

機能美溢れるルーフラックも装備。こちらは80系のランドクルーザー用のものを転用しているとのこと。これがさらに厳つさを引き立てている。

センターキャップを付けた鉄チンホイールにマッドテレーンタイヤを合わせるのは、いま注目のアウトドアスタイル。この年式のデリカによく似合う!

このカラーリングはベトナム戦争時のアメリカ軍のオリーブでオールペンした。いまは右フロントドア横にピッタリ付くシュノーケルを購入し到着待ち!

2.1996 HONDA ACTY VAN(ホンダ アクティバン)|足元が広くてワンタッチでフルフラット化! サブロク板も楽々積める!

最近は軽バンもリフトアップが人気で、スズキのエブリーのカスタム車を目にするようになってきた。しかし、上山さんは実用性とホンダの高回転エンジンの走りの楽しさから、ずっとアクティバン推し。実はこれで6代目だという。リフトアップキットは存在せず、ワンオフで制作。こだわりはノーマルのように無理なくリフトアップしていることだ。

  • 1996年式 ホンダ アクティバン
  • 全長329㎝ 全幅139㎝ 全高192㎝ 車両重量880 ㎏
  • エンジン:660cc(ガソリン)

どんなこだわりが? カスタムのポイントもチェック!

信号待ちをしていると、よく声をかけられるというくらい珍しいアクティバンのリフトアップスタイル。ワンオフで作ったが、メーカー品のようにスマートにカスタムしているのが上山さんの自己満足ポイントなのだ。車検はこのままでパスできるそう。

この時代のホンダらしい高回転エンジンを搭載し、5速マニュアルで走りも楽しい。ステアリングはMOMOに変更。

フロントのKC製フォグは日本未発売のもの。バンパーガードは「確かハイラックス用のものをカットして付けました」

履くホイールは1980年代のENKEI MAG。ビス穴を打ち直して再塗装したもので、今後同年代のディッシュに変更予定。

セカンドシートの足元もゆったり。驚くのはヘッドレストを外さずに、ワンタッチでフルフラット化できること。これはアクティ特有で、サブロク板がご覧のように楽々乗る。しかも両側スライドドアという点も実用性が高い。遊び用のクルマにもピッタリだ!

軽バンとは思えないほど足元が広いのがアクティバンの魅力。実際座るとその快適な居住性にビックリさせられる。

3.1988 FORD E-150 ECONOLINE(フォード E-150 エコノライン)|ダサかったストライプを剥離し、レタリングが無くとも“看板”な1台。

上山さんが仕事用にしたいクルマNo.1が、エコノラインだったという。そうして乗り継ぎ、この1台はなんと3台目! シルバーに赤×黒のストライプというのが嫌で、オールペンするつもりでサンドペーパーをかけて剥離したまま、ある時アメリカンバンの老舗店「ディーズクルー」のイベントで表彰されたことから、そのまま塗装せずに乗っているという。

どんなこだわりが? カスタムのポイントもチェック!

空力を一切無視したボディデザインが上山さんを魅了する。特にこの年式が一番好きだそう。全長も5.4メートル切るので都内もOK!?

こちらはアメリカンレーシングを履かせたスタイル。リアのみ車高を少し上げており、完全に積載するための“トランポ” として活用。

セカンド、サードシートはすべて取り払って完全なる積載車としている。建材など大きなものをこれに満載して運搬しているという。

ECONOLINE 150のエンブレム痕も風合い抜群。この錆びた雰囲気はインダストリアルな空間デザインに通じるカッコよさがある。

錆びた風合いを残したスタイルはアメリカでも人気上昇中。この1台のように機関系にしっかり手を入れてこそカッコイイのだ。

▼こちらのE-150もカッコいい!

男前なバン“エコノライン”! フォードのトランスポーター「E150」で都会を駆け巡る。

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2023年02月21日

 

商用車にて会社名をペイントするのとはまた違う、会社の特製や売りを車体そのもので表現している3台のバン。こんな社用車に乗っているなら、うちのデザインを任せたい! そんな気持ちにさせてくれる力をクルマ自体が持っている。あなたの会社がもし同じ世界線にあるのなら、社用車、商用バンにこんなカスタムを施してみてはいかがだろうか?

▼バン全般について詳しく知りたい方はこちらをチェック!

カッコいい車の代名詞! おしゃれなバン(商用車)の人気車種からカスタム車まで教えます!

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2023年11月09日

(出典/「Lightning 2020年8月号 Vol.316」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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