ヴァルカナイズ・ロンドンが説く、イギリス製は使い込んこそ真価を発揮する。

イギリスのプロダクツの真髄を知るスペシャリスト、「ヴァルカナイズ・ロンドン」代表・田窪寿保さん。その魅力は、使い込んでこそ真価を発揮すると断言。長く使うことを美德する考えは、イギリスに根付いた精神のひとつなのだ。

イギリス物はメンテナンスしながら使い込んでこそ真価を発揮する。

イギリスのプロダクツと聞いて、まず浮かぶのは上品なイメージだろう。そのせいかそのプロダクツは、デリケートに扱わないといけないなんて思い込んでいないだろうか? 数々の老舗イギリスブランドのディストリビューターを務める田窪さんは、使い込んでこそ真価を発揮すると断言する。

「チャールズ皇太子がツギハギをした革靴(通称・チャールズパッチ)を公衆の面前でも履くように、イギリスでは手入れをしながらモノを長く使うという価値観が根付いています。私が20代の頃から使っているグローブ・トロッターもそのひとつ。当初は深いネイビーでしたが、使い込むことで風合いが豊かになり、修理しながら現役で使っています。

ヴァルカナイズ・ロンドン 青山のグローブ・トロッターのコーナーには、数々のアーカイブが並ぶ。田窪さんは、メンズならミニマルなオリジナルコレクションを試してみてほしいと進言

我々は日本国内でも完璧に修理できる体制を整えているので、お客様が気兼ねなく使える環境にしています。このトランクは旅行でなく、冒険家のために作られたルーツを持つので、ラフに使うくらいがちょうどいいんです。男性にはまず創業当時からあるオリジナルコレクションを試してほしい。少し味気ないと感じるかもしれませんが、使い込むほどに愛着が湧き、その強度の高さに驚いてもらえると思いますよ」

何度でもリペアができるので何十年経っても使うことができる「グローブ・トロッター」。

田窪さんが20代前半の頃から使っているオリジナルのスーツケース。新婚旅行の時に訪れたホテルのステッカーを貼ったり、旅の思い出がたくさん詰まっており、今も現役で使っている。ご本人が語っているように、経年変化で色味もいい感じの風合いに。

ちなみに新品がこちら。創業時から変わらないオリジナルコレクション。ブランドカラーであるネイビーのヴァルカン・ファイバーを使っており、余計な装飾がないミニマルなデザイン。30インチで約4.5kgと軽量。

田窪さんの愛用グローブ・トロッターの表面。新品と比べてみるとその差は一目瞭然。ステッカーの剥げかけた感じもいい。

オリジナルコレクションでネイビーと並ぶ定番色がブラウンは、創業当時からずっと展開している。片面開きで四隅が湾曲していない完璧なボックス型なので、収納力も抜群。二輪なのもイイ。こちらも使い込むとどんな風合いを見せるのか?

ネイビーカラーとのエイジングとはまた一味違った仕上がりに。上の現行モデルと細かなディテールは違うが、ヴァルカン・ファイバーなどの基本的な構造はまったく変わっておらず、同様に経年変化する。新品もいいが、この風合いは心くすぐられる。

使い込める珠玉の逸品が揃う、田窪さんの私物を拝見。

グローブ・トロッターを例にイギリスプロダクトが使い込んこそ真価を発揮することを知っていただいたが、もちろんトランクだけでなくあらゆるものにその神髄は見て取れる。そこで、田窪さんが愛用しているさまざまなジャンルの「使い込める逸品」を紹介してもらった。

ジャーミン・ストリートで1840年創業のフォスター&サンはイギリスを代表するビスポークの靴メーカー。ポール・ニューマンの愛用靴を特別に復刻。

サヴィル・ロウのNo.1テーラーであるギーブス&ホークスで、あえて伝統的な紺ブレをビスポークした。これは現地でオーダーしたが、国内でもヴァルカナイズ・ロンドンでのイベント時に注文できる。

5年位使っているというスマイソン×ヤード・オ・レッドによるボールペン。スターリングシルバーを使っているので、使い込むことで落ち着いたトーンに。

ターンブル&アッサーと映画『007』が2007年にコラボした1着。歴代のジェームズ・ボンドがこのブランドのシャツを愛用。頑丈な襟は5年ほど使ってこそ馴染むそうだ。

メゾンブランドのストールも手掛けるスコットランドのジョンストンズ。最初は硬さを感じるが、メインテナンスすることで極上の肌触りに。

イギリスを代表する傘ブランドであるフォックス・アンブレラ。左が田窪さんの私物で、右が新品。持ち手の素材、マラッカのエイジングがよくわかる。

フォックスを代表する素材が、マラッカ海峡周辺が特産の藤の茎(マラッカケイン)。田窪さんの私物は、このマラッカにシルバーの装飾付き

映画『007』シリーズが公開される度に、凝ったパッケージでリリースされるボランジェのシャンパン。必ず複数ストックし、コレクションする。

【問い合わせ】
ヴァルカナイズ・ロンドン青山
TEL03-5464-5255
http://www.vulcanize.jp

(出典/「Lightning 2020年4月号 Vol.312」)

この記事を書いた人
ADちゃん
この記事を書いた人

ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

Pick Up おすすめ記事

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...