パタゴニアの歴史に「パタロハ」あり。見事復活を遂げた唯一無二の存在。
1965年、クライマーでありサーファーであったイヴァン・シュイナードは、ヒッピーの聖地でもあったカリフォルニアはベンチュラにて、シュイナード・イクイップメント社を設立し、1970年代以降は登山用具のみならず、アウトドアアパレルも展開。それらは後にパタゴニアへとステージを移した。
1980年代に入り、ブランド自体は好調なセールスを記録するも、アウトドアブランドという性質上、秋冬シーズンのみに繫忙期を限定され、イメージの払拭と事業拡大の起爆剤として、1986年に「パタロハ」を独立レーベルとして設立する。以来、サーフィンとハワイの文化に精通したレラ・サンをディレクターに、本格的にサーフ市場へと進出するものの、彼女の他界を機に一度はブランド消滅を余儀なくされた。
だが、世界的ハワイアンシャツコレクターのひとりでもあるデール・ホープによって再建され、彼の手を離れた後もアンバサダーでもあるジェリー・ロペスなどのフックアップを受け、近年のメンズアパレルにおけるリラキシンなムードに後押しされるように再ブレイクを果たしたのだ。
パタゴニアの前身が生産した「パタロハ」の原点がコレだ!
シュイナード・イクイップメント社のタグを備えた、1980年代半ばの名作にして1986年に正式スタートするパタロハの原点となった一着。カラビナやピッケルなど5種類のクライミングギアを散りばめたアイデアは、当時の共同経営者であり、かつて美術教師をしていたこともあるイヴァンの妻マリンダ・シュイナードによるものだったと言われ、赤のほか、ターコイズ、ブルー、ブラックの全4種が同柄で確認されている。
時代がわかる! タグで振り返る、20世紀の「パタロハ」。
1986年製の初期タグには繊細な刺繍の朝焼けが。
黒ベースの最初期タグを搭載したトロピカルフィッシュ柄のレーヨンモデル。こちらの柄は、1986年にパタロハブランドとして初めてカタログ掲載されたファーストリリースのもの。ピーチテイスト溢れる力作となっている。
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朝焼けであるモーニンググローを繊細な刺繡で再現した、1980年代初期に使用されたタグ。
1993年製の特徴は雪なし黒タグ。
第二期黒ベースタグの1993年製。コットンとレーヨンの混合素材で柄名は「フェザーフック」。
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1990年代の生産期が入った黒タグ。初期の雰囲気を踏襲しつつ、1992年から1995年の間は山に雪がなくなる。
1998年製の黒タグはやや落ち着いた印象に。
カラビナやフリークライミングなどアウトドアモチーフを描いたボーダー種。1998年製でオリジナル柄名は「フローラルクライマー」。
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1990年代後期の生産期入りのタグ。1990年代初期の鮮やかな刺繡に比べ、落ち着いたトーンの刺繡となる。
時代がわかる! タグで振り返る21世紀の「パタロハ」。
2000年製のミレニアムタグ
ロッククライマーやノースショアのストアを鮮やかに黒地へ浮かび上がらせた2000年のコットンモデル。
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21世紀を記念した限定ラインのタグ。より朝焼け感(モーニンググロー)らしさが強調されたデザインだ。
劇的に変貌を遂げた、2003年製の白タグ。
カタログ未掲載ながら03年リリースのシャツは、レッドジンジャーがモチーフ。
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2003年のコレクションになるとタグ模様が一新される。背景がリアルなものとなり、山頂から噴煙があがる。
2006年製の白タグ
レーヨンよりも強度と環境負荷に優れたテンセル混合素材を採用した06年のリミテッドエディション。
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06年生産のリミテッドエディションのタグ。生産期のみ限定でリリースされた柄に付けられるタグとなっている。
タグをチェックしながら歴代のパタロハを見てきたが、パタロハのパタロハたる所以は、ほかのハワイアンシャツ(アロハシャツ)にはないような落ち着いた色合いだろう。派手すぎるのはちょっと……というメンズにうってつけのシャツなのだ。そして、アウトドアブランドらしく、通気性もよく快適に過ごせるのも魅力的。
現行のパタロハももちろんのこと、すでに「ヴィンテージアロハ」として評価されている20世紀のパタロハもまた、タグを見つつ吟味してみるのもなかなか面白いはずだ。
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(出典/「Lightning Vol.257」)
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