海外版の映画ポスター専門のセレクトショップ「Fine select Alchemi」。吉祥寺の街から新たなカルチャーを発信する

「住みたい東京の街ランキング」で、常に上位に顔を出す街といえば、都心の西に位置する吉祥寺。自然と文化の融合した魅力的なエリアに、また一つアートなスポットが誕生した。Fine select Alchemi(ファインセレクトアルケミ)は吉祥寺駅北口を降りて、徒歩5分。ぱっと見は小粋なポスターショップという雰囲気。ところが一歩店内に足を踏み入れてみると、所狭しと飾られている映画ポスター群は、日本のアニメーションも含めて、英語、フランス語、イタリア語、ギリシャ語などで綴られたものばかり。そう、ここは日本でも珍しい海外版の映画ポスター専門のセレクトショップなのだ。

貴重なポスターが所狭しと飾られている店内

洋画はもちろん、ジブリ作品をはじめ海外で上映されている日本産アニメのポスターが、現地で買い付けられ、所狭しと飾られている。オープン以前の昨年開催されたポップアップストアの段階から、運営に取り組んできた海老名正氏によれば、こういったタイプのショップは、日本でも稀有な存在とのこと。

「意外かもしれませんが、オリジナルの映画ポスターを購入できる店って、日本ではほとんどないんですよ。大部分はお土産用に売られている再印刷されたもので、別物といって良いかと。うちで扱っているものは、実際に映画館で展示されていたものもあれば、保管されていたものもございます」

オリジナルと再印刷版とでは、紙質からして違うこともあるので、そこはしっかり選びたいもの。そのうえ、求めるものが海外上映仕様のポスターとなれば、こちらで購入するのが、安全確実といっても良いのでは。

「アルケミではポスターをフレームに入れて、額装されたものを販売展示しています。お部屋のインテリアとして飾る際にも、イメージしやすいのではないでしょうか。日本のポスターとの違いは、記された文字の違いはもちろんですが、デザイン自体も各国によって変わっているので、そういった違いにも目を向けてもらえたらと思います」

日本語のポスターは当然ながら情報を伝えることが主になっている。それが英語など海外の文字が添えられたものになると、日本のアニメであってもどこかアート作品の趣きが漂ってくるから面白い。

インテリア感覚で気軽に楽しめる

「フロアには、映画ポスター以外にも、広告用のポスターなども取り揃えています。1950年代から60年代にかけてのタバコのヴィンテージ広告やフルーツの配送の箱に貼られたラベルといったもので。ご覧いただければ分かると思いますが、どれも垢抜けたデザインで、ヴィンテージとしての質感も感じられます。こういったものの中にもインテリアに適したものが見つけられるのではないでしょうか」

ポスターのサイズにも違いがあり、もっとコンパクトなロビーカードも充実しているので、実際に店内で目にすれば、リビングに飾るのに持ってこいというものが見つかるかもしれない。

「たとえば『トムとジェリー』のイタリア版のポスターには、映画館の管理番号がパンチ穴で刻まれています。これもヴィンテージならではの味わいと言えます。老若男女が長く親しんできた作品のグッズは、プレゼントにも相応しいでしょう」

実際に世界各国の映画館で観客の目に触れてきたポスターが、巡り巡って我が家にやってくるというのも、なかなかドラマチックな展開といって良いのでは。とはいえ気になるのはお値段。オリジナルの映画ポスターについては、比較対象が見当たらないため、価格を想像することが難しい。

「たとえば、現代アートで有名な作品になると、リトグラフでも意中のものを入手するのは難しいでしょう。でもこちらのポスターは、ニトリかIKEAに家具を買いに行くように、インテリア感覚で気軽に購入していただけます。また、遠方の方にはオンラインショップもあり、お店からでもフレーム無料、送料無料となっております」

カルチャーとして広めていければ

一見さんも大歓迎とのことなので、お近くにお越しの際はぜひ! 興味あるジャンルをコレクションするのも大いに結構だが、お気に入りの一枚を購入して、自宅や仕事場に飾るのも、またオシャレな趣味と言えるのでは。

「これまでは映画のオリジナルポスターというと、マニアの方向けというイメージがありました。ただ、誰もが知っている映画の日本版とは一味違うポスターがリビングに飾られていれば、そこから自然と話題も広がることでしょう。将来的にはこういったグッズを、カルチャーとして広めていければと考えてます」

今は高価な美術作品となっている浮世絵にしても、世に出た時はまさにポスターのような扱いだった。何を持ってアートとするのかは、自分自身の好みを重視しても一向に構わないはずだ。

【DATA】
Fine select Alchemi
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-1 877bld. 1F
電話番号:080-4468-0696
https://alchemi.stores.jp/

この記事を書いた人
昭和40年男 編集部
この記事を書いた人

昭和40年男 編集部

1965年生まれの男たちのバイブル

『昭和40年男』は、昭和40年(~41年3月)生まれの男性のための情報誌。誌面では同年齢の活躍を紹介したり、そろそろ気になってくる健康面をサポートする記事の他、かつて夢中になったあれこれを掘り下げる記事を多数掲載!「故きを温ね新しきを知る」──本誌は、昭和40年生まれのための温故知新を提供できる存在になるべく、「ノスタルジックな想い出が呼ぶ共感」を「明日を生きる活力」に変えることを命題に誌面づくりに奮闘中!!
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

Pick Up おすすめ記事

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...