TM NETWORKのマジックのタネが明かされる!? 究極のノンフィクションムービー

2025年2月19日、東京のユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて、ドキュメンタリー映画『TM NETWORK Carry on the Memories -3つの個性と一つの想い-』の舞台挨拶付き最速上映会が行われ、TM NETWORKのメンバー、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登が登壇した。

ありそうでなかったドキュメンタリーフィルム

舞台挨拶に登壇したTM NETWORKのメンバー。左から小室哲哉、宇都宮 隆、木根尚登
TM NETWORKは2022年に7年ぶりとなるライブツアー“FANKS intelligence Days”Day1〜9(9公演)を公演した。さらに、翌年から2024年にかけては“FANKS intelligence Days”を冠に“DEVOTION”、“STAND 3 FINAL”、“YONMARU”と3本の全国ツアーDay10〜40(31公演)を開催し、全40本・計17万人を動員した。これらのライブを収録したBlu-rayはすでに販売されている。
本作は“DEVOTION”、“STAND 3 FINAL”、“YONMARU”のツアーを撮影したロードドキュメンタルムービーである。
TM NETWORKは1984年にデビューして以来、映像作品を意欲的に発表してきた。ライブ映像のパッケージ商品に特典映像としてステージを降りた姿が収録されることはあるが、舞台裏をメインとした映像作品は本作が初めてのことだ。

「いつもの姿がバレた感じ」という3人の素顔

©2025“TM NETWORK // Carry on the Memories” Film Partners

本作はYu-ya HARA監督が自らカメラを持って3つのツアーに同行して撮影し、300時間にも及ぶ映像を約2時間に編集して作り上げた。なお、その撮影が映画に向けたものであることがメンバーに明かされたのは、ツアーが終了したタイミングだったという。

「ブルーレイの特典映像(用の撮影)かな?と思ってたら、コンサートが全部終わってから『あれ、実は映画化』『はあ!?』っていうみたいな感じです。どの映像が出ちゃう? まずいものもあったりして」(宇都宮)

「なんとなくね、(メンバー本人に)伝えなかったってのもわかりますよね。映画になるのなら、僕はどんなところでもメイクして、サングラスして、肩パットの入ったジャケット着て…。全然知らなかったからよかった」(木根)

「最初の1ヶ月ぐらいはカメラを気にして『撮ってるんだな』って思っていても、だんだん(撮影されていることを)忘れちゃうぐらいに空気を消してくれていたので。なので本当に気にしていないんですよ。本当に素ですから。照れちゃうなってところがたくさんあります」(小室)

TM NETWORKはライブ中にMCタイムがない。ところが、映画の3人はよく話す。移動の車中、企画の会議の席、スタジオでのリハーサル、ライブ前のチェック…、いずれの場面でも会話が途切れることはない。木根がよく話すのは想像どおりだが(後述のラジオ番組『坂本美雨のディア・フレンズ』で「木根の独壇場」と小室は評した)、パフォーマンスのために喉を気遣って抑えめながらも宇都宮が発する言葉も多い。彼らのラジオ番組を聴いたことのあるFANKS(TM NETWORKのファンの呼称)以外からしたら、「ステージ以外での3人はこんなに話しているの!?」と驚くかもしれない。

「いつものことがばれた感じ。このくだらない感じでしゃべっている方が長い感じがします」(宇都宮)

「3人以外しゃべっている人ってほとんどいない。スタッフなど登場している人の声はあっても、ナレーションがない」(小室)

40年間変わらない仲のよさの秘訣を訊ねられたメンバーが「空気感」と応えるのが常だが、その空気が映像に終始漂っている。

素直な心情をそのまま言葉にした新曲

“DEVOTION”、“STAND 3 FINAL”、“YONMARU”のツアーでは、それぞれ新しい曲が披露された。ツアー中はボーカルを木根と小室が担当していたが、この3曲が宇都宮をメインボーカルにレコーディングされたシングル「Carry on the Memories」が2025年2月26日にリリースされる。なかでも「Good Morning Mr.Roadie」と「Carry on the Memories」は映画のテーマと密接に結びついている。

「Good Morning Mr.Roadie」は、コンサートツアーの日々を送るミュージシャンが、ツアーに関わる近しい人への感謝の気持ちを綴った楽曲だ。もちろん、主人公はTM NETWORKである。

2025年2月5日にFMラジオ番組『坂本美雨のディア・フレンズ』(TOKYO FM/JFN 38 Stations)にTM NETWORKがゲスト出演をした際、「Good Morning Mr.Roadie」の誕生の経緯を話している。

木根:ちょうど中日に、UTSUがスタッフの皆さんを呼んで飲むと聞いたときに、ローディの人たち、スタッフの人たちが絵に浮かんで。ジャクソン・ブラウンが昔、ローディの人を労う歌を歌っていて、70年代に流行ったんですよ。それで、僕が哲ちゃんに、第二弾が決まってなかったら、テーマにどう?よかったらできないって?。あと、僕が会場入りするときに、トランポ(トランスポーター)の人たちがいて、制作の人から“全国を回っているんだよ”と言われて、ありがとうございます!って。そんな、いろんなことが積み重なった。

宇都宮:アメリカだとツアーのスタッフ全員をローディーって言うんだよね。

坂本:英語で見ると「road」この道を一緒に作る仲間。

(インスタグラム「dearfriends80」https://www.instagram.com/p/DFrKbZ2hfSc/ より)

3人がリレーをしながらボーカルを担当することで、歌われている感謝がメンバーの総意であることが際立つ(ボーカルのパート分けから、筆者は「DREAMS OF CHRISTMAS」を思い出した)。

そして、本作の主題歌「Carry on the Memories」。本作はツアーフィルムであるのにステージでの演奏シーンは少ない。楽曲にフィーチャーしてフルに流れるのはこの曲だけだ。『ディア・フレンズ』ではこの曲にも言及している。

美雨:(『Carry on the Memories』は)TM NETWORKのドキュメンタリー映画の主題歌。ジーンと来る、素直な言葉ですよね。

小室:主題歌…恥ずかしいですね(笑)今の時代でこの歌詞は素直すぎるかな。

宇都宮:若いときのアマチュアの気持ちのときのよう。俺たち、がんばるよって。

小室:だから、(今回)よくUTSUが歌ってくれたなと思います。

木根:この歳だから、歌えたんだろうね。

(インスタグラム「dearfriends80」https://www.instagram.com/p/DFrKbZ2hfSc/ より)

特筆すべきは、「Carry on the Memories」は藤原いくろうがオーケストラアレンジをしていること。藤原いくろうは「billboard classics 小室哲哉 Premium Symphonic Concert 2022 -HISTORIA-」(2022年)以来、小室と共演を続けている。『昭和50年男』vol.21(2023年3月号)のインタビューで藤原は小室の楽曲をアレンジすることについてこう話している。

「僕がオーケストラアレンジを手がけましたが、小室さんが『最初からそういう音が鳴ってたんだよね』って言ったことがあったんです。曲を作った時点で、すでに小室さんの頭の中ではオーケストラの音が鳴っていたんだと思います。」(藤原)

『昭和50年男』vol.21(2023年3月号)「同世代の音楽家 藤原いくろうと共鳴する 美しきTKメロディ」より

ツアーではミニマムな態勢で演奏されていた「Carry on the Memories」に、大所帯のオーケストラが加わる。その意図を『ディア・フレンズ』で小室は「最近流行りの伏線回収みたいな言葉で。いろいろ三人三様だったり、時間軸でズレていたりするのをなんとなく解消したいと思った」とコメントしている。果たして新たなアレンジにより「Carry on the Memories」は豊かになり、この「ただの普通のドキュメント」(小室)を“映画たり得る”効果を与えている。

TM NETWORKの3人と40周年のツアーを一緒にロードする感覚をぜひ劇場で体感してほしい。

©2025“TM NETWORK // Carry on the Memories” Film Partners

『TM NETWORK Carry on the Memories -3つの個性と一つの想い-』
【公開情報】 2025年2月28日(金)ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場、新宿ピカデリー他にて公開
【鑑賞料金】3,300円(税込)【監督】Yu-ya HARA【音楽監督】小室哲哉
【制作】エム・トレス/ローソンエンタテインメント【配給】ローソン
【公式サイト】
・公式サイト:https://fanksintelligence.com/
・映画公式X(旧Twitter):@movie_tmnetwork

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昭和50年男 編集部
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昭和50年男 編集部

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
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