大阪・吹田のアパレルショップ「シックスヘルメッツ」店主の走りながら愛車を進化させ続ける終わりなき六輪生活

トラディショナルを継承しつつ現代へ。アパレルショップ店主が服作りに通じる魅力を見出したChopper & Lowriderの向き合い方。オールドスクールを学び、現代のストリートで走る経験をフィードバックさせ、ビルダーと共に独自のスタイルを模索する。走りながら愛車を進化させ続ける終わりなき六輪生活。

オールドスクールを学び独自のスタイルで走る

大阪府吹田市を拠点とするアパレルショップ、シックスヘルメッツ。ヴィンテージのモノ作りを背景に店主のライフスタイルを反映したオリジナルブランドとヴィンテージのアパレルを扱うショップだ。アパレルをメインに看板やアートなどが所狭しと並ぶ店内の様子は、どこか懐かしさを感じる佇まいだが、その実ファッションと同時にオールドスクールなカスタムカルチャーを発信する稀有なショップである。

店主である津田さんの愛車は、’52年シェビーのボムと’56年HDのチョッパーをはじめ、複数のヴィンテージ車両が並ぶ。10代の頃から国産バイクには乗っていたが、当時はヴィンテージファッションへの興味がより強く、ファッションと乗り物はそれほどリンクするモノではなかった。しかし、当時、神戸の街でヴィンテージショップを探索する中で、神戸の一部のバイク乗りたちが一般的に市場で人気があったヴィンテージとは異なるヴィンテージを着て旧いバイクに乗っている姿に着目した。ヴィンテージバイクと古着の掛け合わせが、ヴィンテージファッションばかりを追いかけていた当時の津田さんにとっては新鮮に写り、カルチャーにのめり込む入り口となったのだと言う。

23歳の頃に大阪で4畳半ほどの小さなヴィンテージショップをオープンして数年後、念願のヴィンテージHDを手に入れた。それはアイアンスポーツをベースに’70年代にカスタムされた当時の姿をそのまま残すサバイバーだった。ヴィンテージフリークらしい審美眼だが、津田氏は自分のものになったサバイバーに徐々に違和感を抱き始めた。

「サバイバーはもちろんカッコいいんですけど、その歴史を保存せなあかん部分もあるじゃないですか。好きにいじりにくいというか。それに作られてから50年、60年経った今、経年変化があったり当時ならではのスタイルがカッコよく見えるけど、当時それを作った人は新しいバイクを綺麗に作ったはず。そう考えると当時の意識と今の見え方が違うなと思ったんです。それで、現代のビルダーと自分のセンスを落とし込んでオリジナルのチョッパーを作りたいと思って、ハマンズさんにフルカスタムをお願いしました。これを何十年も乗り続けて、いつか今でいうサバイバーみたいな存在になったらカッコいいでしょう」。

完成したのが’60年代のカルチャーにインスパイアされたブルーのパンヘッドチョッパーである。ハマンズのビルダー松本氏のチョッパービルドを間近に見ながら、オールドスクールなスタイルをベースに自身のオリジナルのセンスを表現する手法に、津田氏が理想とするアパレルのモノ作りと近い感覚を感じたのだと言う。そして、クルマは’50年代前半のハードトップ車というイメージをもとに探し続け、熊本エースオートモーティブを度々訪れ、’52年シボレー・ベルエアを手に入れた。ローライダーに乗り始め、より深くヴィンテージモーターとの向き合い方を考えるようになる。

「ショーバイクは路上に出る時点でいったん完成している場合が多いけど、カスタムカーはアンフィニッシュのまま走っているクルマの方が圧倒的に多い。1台でも全部自分の理想で作ったら膨大な時間がかかる。旧いスタイルから学んで、自分だったらどうするかって構想して現実化の繰り返し。バイクもクルマも数を増やしたいっていう欲は特になくて、どちらも愛車に愛情と時間をかけて、走りながら少しずつ進化を重ねて、自分のスタイルを追求していきたいですね」。

温故知新。旧いスタイルを学び、当時の焼き直しではなく、現代を生きる自身のスタイルを追求する。走りながら進化を続けるアンフィニッシュの美学を体現する津田氏のモーターライフ。チョッパー&ローライダーに自身のライフスタイルを重ね、自分にとってのリアルなスタイルを模索する旅に終わりはない。

SIXHELMETの店内はオールドスクールなアートも見所。愛車のChopperをモチーフとしたアートはアリゾナを拠点とするローライダーアーティストBoulevard Fever Artの作品。左は日本のHoodoomanに依頼し、古着にエアブラシを描いたアートピース。

愛用ヘルメットは全てヴィンテージMchalの希少モデル。ハーフは“Tourist”と“Police”、ジェットは“The Mchal”と“Speedway”。3つ並ぶハーフのピンストライプは中央と左はオールドで、右のピンストライプはHoodoomanの仕事。

SIXHELMETSのオリジナルブランド『The Good Overalls』と『The Deluxe Supply』。『The Good Overalls』は旧き良きワークウエアをベースに、現代のリアルクローズとして改良を加えるモノ作りが特徴。『The Deluxe Supply』はプリントモノを中心に津田氏が好むカルチャーが反映される。

1952 Chevrolet Bel Air Hard-Top|’50s Bombとの旅のはじまり

アーリー’50sChevyのハードトップに焦点を絞って探し続け、熊本Ace Automotiveのビルダー横山氏が所有する車両を昨年譲り受けた、津田氏にとって初のBomb。14インチスロットホイールがアイデンティティであり、オリジナルストレート6エンジンをはじめとする機関系やツートーンのボディ、内装などもコンディションが良く、デイリーライドを実現する車体だ。現状やや前上がりのローダウンは生脚によるトラディショナルなスタイルだが、理想のスタンスを求めてハイドローリックシステムのインストールを構想中とのこと。

メーターはオリジナルルックの文字盤にデジタルメーターを仕込んだDAKOTA製。愛車の健康状態を管理しながら乗るための現実的なパーツチョイスが光る。ホイールは前後14インチのスロットホイールに換装しホワイトリボンタイヤを履かせた’60sスタイル。

1956 H-D FLH|カスタムカーとクロスオーバーする独自の’60sスタイル

滋賀HAMANS CUSTOMに依頼し、フルカスタムでビルドしたパンヘッドChopper。レイト’50sから’60s、南カリフォルニアで誕生したベルフラワーのカスタムカーのエッセンスを取り入れたスタイルだが特徴だ。フューエルタンクの両サイドやフェンダーに設けたスクープとクロームを重ね、フェードペイントでフィニッシュしたエクステリアにHAMANSのデザインセンスが光る。一度完成を迎え、HCS2018で披露された時点ではテレスコピックフォークだったが、昨年スプリンガーに換装。走りながら進化を続ける津田氏の代名詞と言える1台。

完成から約8年経つが、クリーンな状態を維持し走り続ける姿に津田氏のスタンスが表れる。ショーバイクとして完成したChopperに日常的にストリートを走る経験値を積み重ね、自身のオリジナリティを磨き上げる。

1953 Triumph 5T|ローライダーから派生するチョッパー

熊本LIGHT STONEが純正を活かしてカスタムした5T。’53年ビッグナセルをスモールナセルに変更しガンスポットライトを装備した特徴的なフェイスや両出しフィッシュテールサイレンサー、フォークを下げハブクッションを逆付けしたローダウンなど、メキシカンローライダーをイメージした細部まで隙のない1台。

1947 H-D FL|レース由来のフロントエンドに注目

最終年式のナックルヘッドをベースとし、コンパクトなピーナッツタンクやアップスウィープマフラー、エイプハンガーなど極めてシンプルなシルエットだがその実、泣く子も黙るマニア垂涎のオリジナルVARDテレスコピックフォークを主とするオールドスクールChopper。尼崎Chubbyが整備、カスタムを担当。

(出典/「CLUTCH Magazine 2026年5月号 Vol.103」)

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