「VINTAGE PRODUCTIONS」OWNER・Bob Chat
世界屈指のヴィンテージディーラーのひとり。特にミリタリー系のヴィンテージは質、量ともにトップクラス。ヴィンテージイベント「LA VINTAGE RENDEZVOUS」を主催。
レアピースが詰まったショールームには様々な人々がやって来る。
まず最初に断っておくと、ここは一般的な店舗ではない。倉庫のようなショールームで、表には目立つ看板があるわけでもない。完全アポイントメント制で、その場所すら積極的に知らせてはいない。
やって来るのは大半がプロフェッショナル。世界各地のヴィンテージ古着バイヤーやアパレルブランドのデザイナー、さらには映画やドラマのスタイリストたちが主な顧客だ。一般のカスタマーの多くはオンラインストアで購入する人が多い。
入口のドアを開けるとまずオフィス。その奥に巨大なショールームが広がる。オーナーのボブ・チャットはヴィンテージ、ヘリテージファッション業界では名の知れたディーラーで、特にミリタリーの世界では世界でも右に出る者がいない。
日本の古着店で売られている高価な第二次世界大戦期のフライトジャケットはこのショールームから旅立っていったアイテムである可能性は低くない。ボブが誇るストックは、ウエアばかりではない。小物や装飾品、服のパーツやファブリック、資料本も範疇だ。
1970年代以前、特に1950年代以前のスーパーヴィンテージは稀少性がどんどん高まり、市場での価格は高騰し続けているが、このショールームに行けば、そんな多くのレアピースを見つけることができる。ヴィンテージ古着愛好家にとってはパラダイスなのだ。
「常に可能性のあるところを探しているし、情報も集まってくるからね」
そう陽気に話すオーナーのボブ。量だけではなくクオリティの高さも誇る最大の理由は日々のたゆまぬ捜索努力に他ならない。
「京都の骨董屋を訪れて見つけたんだ」
というジャパンヴィンテージもあれば、ネットで偶然見つけて購入したものもある。常にアンテナを張り巡らせている証拠に我々が出す出版物もほぼすべてと言っていいほど目を通しているというのだ。顧客に対して、ひとつひとつ丁寧に説明をしてから商品を手渡すのがボブのスタイル。だから、その情報がそのままエンドユーザーに伝わることになる。
「いま、プライベートコレクションとして集めているのがセールスマンサンプルなんだ」
と見せてくれたのは1920年代〜1940年代のファスナーやボタンのセールスマンが持ち歩いたサンプルだった。商品ではないので流通量が少なく稀少性は極めて高い。こうした彼の言葉で、ヴィンテージ市場のセールスマンサンプルが一層高騰してしまうかもしれない。それほど業界に影響力を持っていると言っても過言ではない。或るアジアのヴィンテージショップオーナーが我々に言った。
「ボブ・チャットは先生なんだ」
キッズヴィンテージは状態のいいものがそろう。
昨今はコレクターが注目するキッズヴィンテージ。比較的コンディションの良いものが多い理由は、すぐに着られなくなってしまうから。額装して壁に掛けて飾るという楽しみ方が普及し、マーケットプライスは急上昇している。そんな状況を予測していたのかどうかは知らないが、たくさんのストックを保有している。その多くは1950年代以前のものだ。
LEE101Zのキッズ版、131Z。センター赤タグと呼ばれるモデルで、1950年代前期のもの。成長の早いキッズ世代のモデルなのにしっかりと色落ちをしているところが、大人用と違って逆に珍しい。Leeマニアにも垂涎の品。レザーパッチが硬化した「ジャーキーラベル」
プルオーバータイプのとても珍しいハワイアンシャツ。1950年代前期に作られたMade in Califolniaというブランドの一着。額装したくなる。
こちらのニットも1950年代。最近では大人用が大人気のスタイルだけに、キッズモデルも注目が集まることは間違いない。
カウチンセーターがそろそろ注目を集めそうと言われている。キッズらしい子犬の柄はとても珍しい。こちらも1950年代に作られた一着。
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