【業界人の愛用品】年代や国に縛られない傑作をミックス。|FANTASTIC PLASTIC MACHINE/田中知之さん

やはり気になる、業界人の愛用品。東京五輪の開会式などで音楽監督を務めた音楽家の田中さんはヴィンテージ好きとしても知られている。そんな田中さんの愛用品は、どれも個性とストーリー性の高いもの揃いだった。その一部をご紹介。

広く深く知る田中氏だから辿り着けたアーカイブ。

1966年生まれ。京都府出身。FPM の名義で音楽プロデューサーDJとしても活躍する。大のヴィンテージ好きであり、ウエア、家具、音響機器など様々なジャンルに精通する

東京五輪の開閉会式とパラリンピックの開会式で音楽監督を務めるなど、名実ともに日本を代表する音楽家である田中氏。ヴィンテージ愛好家としても有名であり、多くのジャンルに精通する。そんな田中氏が一生持っておきたいアイテムとして紹介してくれた私物は、戦前のものから2010年代のデザイナーズまで、国や年代に関係なく、自身の確かな目で選ばれた傑作が揃う。

「ひとつのジャンルや国、時代を掘るのではなく、自身の好みに合いそうなものを多角的に突き詰めていく方が性に合いますね。もちろんアメリカの王道ヴィンテージも大好きだし、アノニマスなデザインが多いフレンチも魅力的に写ります。古着だけでなく、現行品をチェックして、自分の琴線に触れるものを素直に選んでいます」

そう語るが、田中氏の私物たちには不思議な統一感がある。そこにあるのはセンスとストーリー性。どのアイテムにも深いストーリーがあり、強い個性があった。

「FANTASTIC PLASTIC MACHINE」田中知之さんの愛用品。

1.LEATHER JACKET/Saint Laurent

鬼才デザイナーであるエディ・スリマンが、Saint Laurentのクリエイティブディレクターを務めた時代のアーカイブ。「これはパリにDJで訪れた際に、現地のショップで一目惚れしてしまったもの。好きな方が見れば、一目でわかるのですが、アメリカのライダース黎明期に生まれたPETER’Sのアビエイタースタイルをモチーフにしています。そこにエディらしいエッセンスが織り込まれた名品」

2.COAT/POLO Ralph Lauren

一見、HUDSON’S BAYなどのブランケットジャケットに見えるが、実はRalph Laurenというのがおもしろい。「これは5年ほど前にヴィンテージイベントで出逢ったもの。’90年代なので旧いものではないが、HUDSON’S BAYをモチーフにしたブランケット、ネイティブアメリカンを彷彿させるビーズワーク、そして丁寧なメイドインイタリーというミックス感覚が、自分の琴線に触れました」

3.HAT/KIJIMA TAKAYUKI

田中氏のアイコンにもなっているギャリソンキャップは、日本を代表するハットメーカーであるKIJIMA TAKAYUKIのもの。「ここのギャリソンキャップは、複数持っていて、自分には欠かすことができない存在。左のペーパーはインラインでリリースされたもので、右のメルトン素材はショップの別注。このアイテムを作る際にお声掛け頂き、特別に作ってもらったスペシャルオーダー」

4.EYEWEAR/GERNOT LINDNER

Lunorの創業者であるゲルノット・リンドナーが立ち上げたブランド。眼鏡を製造する上で不可欠となる十分な剛性とバネ性を持たせることが困難だったスターリングシルバー925をあえて使っている。「公私ともにお世話になっているグローブスペックスで入手。スターリングシルバーを使っているというのが一番のおもしろさですね。フランスの象徴的なクラウンパントを選びました」

5.PEN/Tiffany

Tiffanyのストリーメリカシリーズより発売されていたボールペン。重厚感を感じるメタリックなモチーフが特徴で、ドイツの時計デザイナーであるヨルグ・イゼックが担当した。「ボールペンとしては非常に高価なものですが、気兼ねなく使える存在ということで挙げました。スターリングシルバーなのですが、どこかステンレスのようなマットな質感も気に入っています」

最近買ったもの、ハマっているもの

フレンチ好きの田中氏が、近年掘り出しているのが、ヨーロッパのハンティングベスト。プルオーバーに限定して探しており、ともに1920~30年代のスペシャルな代物である。

(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Pick Up おすすめ記事

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...