ヴィンテージハーレーが津島に集う理由。

日本のオートレース文化を支えた「天王川公園」を舞台に、「ビンテージバイクラン in 津島」が開催された。なぜこの場所にはここまでレアでクールな旧車が集まるのか? その答えは、単なるイベントや展示ではなく、この土地がもつ“記憶”そのものにある。時代を超えて生き続けるバイクと、それを愛してやまない人々を繋ぐ聖地のハナシ。

オートレースの記憶が息づく、聖地・津島

愛知県津島市にある天王川公園は、戦前からオートレースが行われていた由緒ある場所だ。戦後、全国各地のオートレース場は都市開発とともに姿を消していったが、当時の輪郭を色濃く残すこの地は、ほぼ唯一の存在であり、今もなお“聖地”として語り継がれている。

天王川公園の歴史を未来へと繋ぐべく、東海地方の旧車愛好家と「わっかプロジェクト」が中心となり、「ビンテージバイクラン in 津島」は2018年に幕を開けた。日本の二輪史はレースと共に発展してきた側面が大きく、特に大正末期から昭和にかけて、愛知はその中心地だった。50年代半ばには国内に150社を超えるメーカーが存在し、その多くが東海エリアに集中していたという事実が、その熱量を物語っている。

だからこそ、ここに並ぶ車両は、当時の時代感をそのまま残すトラディショナルなスタイルばかり。時代を駆け抜けてきたマシンと共に生きるオーナーたち、旧車ファンが年に一度ここに集い、いにしえの時代の情景に想いを馳せる。ビンテージバイクラン in 津島は競争ではなく、歴史を学び、育むイベントである。この場所でしか味わえない時間が、静かに流れていた。

当時のオートレースは現代と異なり、未舗装路のオーバルを周回するレース。池の周りの周回コースが今も残るのが、天王川公園が聖地をされる所以だ。展示スペースには80台を超える珠玉の旧車が並んだ。

上の写真は1955年の天王川公園オートレースの一葉。下の極東レーサーは当時、このコースを走っていたレースバイクで、その姿を残したまま会場に並んだ。次なる目標はこの場所を再び走ることだ。

国内外のさまざまなメーカーの車両が並んだ。H-Dは初期OHVやフラットヘッド、オホッツバルブなど、歴史的車両が勢ぞろい。

1927 JD|森村栄光さん

吸気側のバルブはプッシュロッドを介して稼働、排気側はサイドバルブの機構を採用する「Fヘッド」エンジン搭載のJD。森村さんは、大阪「Shix」でこのJDを整備し、「千里浜サンドフラッツ」などビーチレースにも参戦中。100歳近い車両だが、まさに、このイベントのコンセプトにピッタリな現役レーサーなのだ。

1936 E|大場洋さん

ファーストイヤーの「ナックルヘッド」に乗る大場さん。36年モデルには前期/中期/後期で仕様変更があるが、これは「フロッグアイ」と呼ばれるロッカーボルトを備えた前期モデル。いわずもがな絶滅危惧種。

1949 FL|古賀大輔さん/大場あみさん

「ハイドラグライド」の初年度49パンヘッドで参加した古賀さんは、ほぼすべて自分の手で整備して走り続ける強者プライベーター。あみさんは上の大場さんの奥様だが、「サイクルチャンプ」同士で2ショット。

1954 FLE|鈴木崇之

仲間と過ごすガレージライフを背景とするプライベートレーベル「SKUNK GARAGE」主宰・鈴木さんは愛車のハイドラでエントリー。ガスタンクに描かれたヘタウマ(!?)なオールドペイントがお気に入り。

1946 EL|落合陽介

オールドクローム×グリーンの外装と“カナブン”のヒートガードがトレードマークの46。フォグランプやメーターダッシュ、ヘルメットバイザーなど細部までグリーンを入れたトータルコーディネートがお見事。

(出典/「CLUB HARLEY 2026年2月号」)

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