2000年代に蘇った旧きB級バイカー映画『ヘルライド』|バイカーズシネマパラダイス第15回

芸術的な価値はどうあれ、ハーレー談義のネタにあるいは物理メディアのコレクションとして、ガレージの棚の飾りか肥やしにピッタリな、そんな映画をテキトーにゴショーカイするぜ!

消耗品的なチープさをあえて継ぐような作品

前世紀の1960年代から70年代にかけて数多く乱造されたアメリカンインターナショナルピクチャーズ製のB級マイナー映画、66年のロジャー・コーマン監督による『ワイルド・エンジェル』や、ジョー・ソロモン製作による『爆走! ヘルズ・エンジェルス』等を代表とする、いわゆるB級バイカー映画は、後の1970年代から80年代に活躍する映画監督や俳優たちを数多く生み出した実験場のような作品群でもあった。

特に柳の下の2匹目のどじょうの如く乱造された後続の類似作品の多くは、感覚的に流行りモノといったニュアンスでもあり、ドライブインシアター向けの出し物として安直に作られたきらいがある。正直、いまでこそはオールドスクールのチョッパー動画として観られるが、そうでなければ、よほど好きでなければ観て時間のロスを嘆くようなモノも少なくない。

映画産業という人気商売ゆえ、こうした流行りモノなりの量産システムというのは致し方なくも思える。すべてが歴史に名を残すような名作ではないのは当然のこととしても、それでもB級、あるいはそれ以下と評される作品であったとしても、それなりにこうした作品群がなければ映画産業というのが維持できないというのも実情としてあっただろう。まさに消費材、消耗品的な扱いだ。

それでも、そんな消耗品的なチープさをあえて継ぐような作品というのを望む映画人たちというのもこの世にはいるわけで、それが今回ここに紹介する2008年の作品『ヘルライド』だ。

この作品に観られるある種チープシックにも思えるノスタルジックな、旧きB級バイカー映画を再現するような作品づくりを確信犯で行うというのも、良くも悪くも歴史を重ねたハリウッドの懐の深さというものなんだろうと思う。

このあたりの“かつて乱発されたが廃れたジャンル”、その復古といった話を見るに、まったく異なるジャンルではあるが、昨今、日本の自主制作映画として世界中で話題となった23年の安田淳一監督作品の『侍タイムスリッパー』とも重なり繋がるような感覚を得たりもする。もっとも『侍タイムスリッパー』はかなりの優秀な作品ではあったけど、あれに似たオマージュを、かつての東映の梅宮辰夫の不良番長をはじめ、岩城滉一主演の暴走族映画や、和田アキ子、梶芽衣子主演の野良猫ロックの類いのノリをいまにリブートするとしたら、作品として成功云々はともかく、ネタとしては新鮮で面白味を得るようにも思うんだがねー。

そのあたり、過去のB級(あるいはそれ以下)作品群への愛情たっぷりなオマージュで満ちた作品ってえと、現時点では映画ではなく、アマゾンキンドルあたりのデジタルコミックで展開されているエロ・ロッド作品の『恋のハイウェイ』あたりがAIでアニメ化されたりしたらおもしろいかもしれない。

単に懐古趣味で終わらず、旧作群への愛に満ちた作品って、観る側に新たな想像力を与えるよな。

『ヘルライド』

原題:Hell Ride
制作年:2008年
製作:ディメンション・フィルムズ
監督・脚本・主演:ラリー・ビショップ
出演:マイケル・マドセン、デニス・ホッパー、デビッド・キャラダイン

そうそうたる豪華なキャスティングに、LGBTQだのポリコレなんぞクソ喰らえ! とばかりのバイオレンス、ポルノ、ハーレーで埋め尽くされた、B級バイカー映画への愛に満ち満ちた快作

(出典/「CLUB HARLEY 2025年8月号」)

この記事を書いた人
CLUB HARLEY 編集部
この記事を書いた人

CLUB HARLEY 編集部

ハーレー好きのためのマガジン

ブランドとしての知名度が高く、独自のアパレルにもファンが多いハーレーダビッドソンは、バイクにあまり馴染みのない『ごく普通の人』にも大変な人気を博しています。バイクの知識がない人はもちろん、今日ハーレーのことが気になり始めた人、そしていまハーレーが好きで好きで仕方ない人たちも満足のいく情報を詰め込んだ雑誌が『クラブハーレー』です。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ワークブーツでありながら軽量で快適。“道具としてのブーツ”を極めた「SURE BOOTS」の機能美

  • 2026.03.31

言わずもがなブーツは我々にとっての必需品だ。だからこそ、多様なブランドとプロダクツが存在することは既知のことと思う。しかし、“ワークブーツ”という道具に、ここまで実直に向き合った1足が今までにあっただろうか。その気取らない美しさを見よ。 どこまでも素朴で武骨 それでいて軽量で快適 日本有数の革靴産地...

【VAN×2nd別注】スポーティなレタードカーティガンでひと味違うアイビースタイルを。

  • 2026.02.03

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【VAN×2nd】トラックカーディガン[レタードワッペンセット] 日本にアイビーの礎を築いたブランド、「VAN(ヴァ...

福島・郡山にある日本最大級のアメカジショップ「JOB314」はスケールが桁違い!

  • 2026.03.30

日本にアメカジショップは数あれど、ここまで大きなショップは見たことがない。それほどまでに大規模なショップがこちらのJOB314。大きな建物の中には、アメカジファンが泣いて喜ぶブランドがほとんど取り揃えてあり、一日中いても見切れないほど。近県のみならず、全国からファンが集まるアメカジの総本山なのだ。興...

革好き店主の本気、見せます! 「Fresno(フレズノ)」限定別注レザージャケットに注目だ

  • 2026.03.31

千葉・柏にお店を構える Fresnoは、アメカジ全般を網羅しながらも、革ジャン好きの心をくすぐる、特別なセレクトショップ。店主自らがこだわり抜いた“Fresno限定別注レザージャケット” は、このお店でしか手に入らない一着だ! 革ジャン好き、集まれ! アメカジの宝庫は柏にあり 千葉・柏に店を構えるセ...

プロの現場から支持を得るモデルが今春アップデート! アシックスのワーキングシューズ「WINJOB CP314 BOA」の実力とは?

  • 2026.03.30

世界最古のモーターサイクルブランドとして知られるロイヤルエンフィールド。ミドルクラスで世界屈指のシェアを誇る同ブランドのメカニック、清水さんにアシックスのワーキングシューズ「WINJOB CP314 BOA」を体験してもらった。 [caption id="attachment_894934" ali...

Pick Up おすすめ記事

開襟シャツに刺繍入りジャケット……老舗デニムブランドが提案する、春夏のアメカジスタイル。

  • 2026.04.01

老舗デニムブランドであるステュディオ・ダ・ルチザンが提案する、春夏のアメカジスタイル。定番ジーンズからHBTのワークセットアップ、開襟シャツや刺繍入りジャケットまで、軽やかな素材と遊び心あふれるディテールで、春夏の装いを彩る。 [5743]ボーリングシャツ 1950年代のヴィンテージ・ボーリングシャ...

「バンソン」のタフネスを、春夏へ。伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボアイテムにも注目だ

  • 2026.04.02

バイカーブランドの代名詞、VANSON。今春は軽やかな布帛アイテムでイージーな装いを提案。そして伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボレーションも登場。自由なスピリットを、そのまま服に落とし込んだラインナップを紹介する。週末のライドにも、街の散歩にも、着ることで体感できるフリーダムさを、VAN...

横浜発アメカジブランド「HEATH」による、定番アメカジのマストアイテム5選はこれだ!

  • 2026.04.03

横浜を拠点に、定番からちょっとアレンジの効いたアメカジを提案するHEATH。人気ブランドのアイテムをセレクトするだけでなく、オリジナルのモノづくりにも注力しており、そのコストパフォーマンスの高さには定評がある。今回はその中から絶対に手に入れておきたいマストアイテム5選を紹介しよう。 【横濱デニム】デ...

革好き店主の本気、見せます! 「Fresno(フレズノ)」限定別注レザージャケットに注目だ

  • 2026.03.31

千葉・柏にお店を構える Fresnoは、アメカジ全般を網羅しながらも、革ジャン好きの心をくすぐる、特別なセレクトショップ。店主自らがこだわり抜いた“Fresno限定別注レザージャケット” は、このお店でしか手に入らない一着だ! 革ジャン好き、集まれ! アメカジの宝庫は柏にあり 千葉・柏に店を構えるセ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。