これが私の愛用ジーンズ。ジーンズを愛する業界人6人の経年変化したジーンズを大公開!

穿き込むほどに色が落ち、シワが刻まれ、自分だけの表情へと変わっていくジーンズ。その変化の過程こそが、加工した既製品にはない魅力であり、“育てる楽しみ”そのものだ。ジーンズを愛する6人の業界人に、とっておきの愛用品を紹介してもらった。

デッドストックから穿き込んだ思い出の1本|LEE/101Z(18 years)

世界中の名だたるブランドのインポーターの企画営業を務める「グリフィンインターナショナル」の関口さんは、靴のスペシャリストであり、過去にブランドディレクターを経験するなど、ウエアに関しても博識だ。根っからの天邪鬼である関口さんの愛用品は、60年代の[101Z]だ。

「王道の『リーバイス』にはあまり惹かれなくて、学生時代から『リー』ばっかりを集めていたんです。その時はお金もないから手頃な[200]を10本くらい所有していました。社会人になって多少の余裕ができた時に思い切ってデッドストックで買ったのがこの1本。『リー』はカウボーイデニムと銘打っている通り、ブーツを合わせることを前提としているため、裾幅が広くて靴が美しく見えるのもハマった理由です。洗濯方法は特にこだわりがなく、数週間に1度のペースで裏返して洗濯機で洗っていました。これを穿いて倉庫作業もしていたこともあって、気付いたらよい色落ちに(笑)。思い出も含めて手放せない1本です」

あえて色落ちさせない美学が詰まった1本|ANATOMICA/618(8 years)

日本における「アナトミカ」のフラッグシップストアの名物店長である山根さん。うまくヴィンテージを織り交ぜたウェルドレッサーとしても知られる。そんな山根さんが愛用しているのは、アウトシームのない独創的な5ポケットパンツだ。

「これはアナトミカの定番モデルである[618]です。40年代の米国海軍のユーティリティパンツから着想を得たアウトシームレスの仕様は美しいストレートシルエットで、足元の靴を際立たせてくれます。創業者のピエール・フルニエも提唱しているのですが、あえて色落ちさせずに濃紺を長く楽しむことを自身でも実践。毎回ではないですが、年に1〜2回は浴槽に水と酢を入れ、洗濯することで色止めしています。もともと深く染めていますが、それでも自然に落ちきます。ただ5年ほど穿いて、これくらい濃いなら、がんばっている方ではないでしょうか(笑)。是非とも一度は穿いてほしいと、自信を持って言える銘品です」

当時、店頭でも販売した日本企画の名作ラングラー|WRANGLER/11MWZ(20 years)

日本のアメトラ文化を深く知るリビングレジェンドのひとりである三軒茶屋の人気セレクトショップ「セプティズ 」のオーナー・玉木さん。愛用するのは、2000年代の日本企画となる「ラングラー」の[11MWZ]だ。

「京都で生まれ育ったのですが70年頃にアメリカ製の『リーバイス』を扱っているショップは無かったんです。だから初めて手に入れたアメリカ製のジーンズは大阪で購入した『リーバイス』の[646]。上京してからは『リーバイス』も穿いたけど、私の中ではカウボーイジーンズである『ラングラー』や兄弟ブランドの『マーベリック』、そして『リー』の方が趣味に合いました。ヴィンテージでも買い漁りましたが、自分でリジッドから穿き込んだ1本が、『ラングラー』の[11MWZ]。元はカウボーイジーンズで、シャツをインすると腰回りがきれいで、裾幅が広めだからブーツにもよく合う。だからアメトラでも合わせやすい。ブロークンデニムながらタテ落ちしてくれるし、当企画は隠れた名作ですよ」

キャリアとともに刻まれたダメージに思い出が滲む|WAREHOUSE/1001XX(10 years)

キャリアのスタートがアメカジショップで、その後イタリア系の既製服を取り扱うショップに勤めていたため、カジュアル服への造詣も深い「ファイブワン 銀座本店」店長の泉さん。そんな泉さんの愛用品は、『ウエアハウス』の[1001XX]だ。学生時代から穿いており、アパレルでキャリアを積み重ねてきた泉さんにとって、駆け出しの頃の思い出が刻まれた1本。

「学生時代に毎日穿ける“白ごはん”的なジーンズを探していて、辿り着いたのがこの[1001XX]です。その時はアメカジに浸かってましたから、メリハリの効いた色落ちに定評のある『ウエアハウス』を選んだのは、必然かもしれませんね。ジーンズを履く上で、最初に理想の色落ちを決めすぎるのが嫌なんですよ。なので洗濯もどんどんします。あくまでスタイルの一部で、ジーンズを育てるためにおしゃれしている訳ではないので。最近少しウエストがきつくなってきましたが、愛着があると多少無理をしてでも履きたくなります(笑)」

ワークウエアとして使うことで生まれた珠玉のエイジング|SUGAR CANE/14.25oz. DENIM 1947 MODELL(6 years)

「シュガーケーン」のディレクターとして活躍する福富さんは、仕事柄色落ちのテストを兼ねて様々なジーンズを着用している。そんな中でも殊勲の1本となるのが、フラッグシップモデルである[1947モデル]のレギュラーストレートだ。

「2003年にリリースしたブランドを象徴するモデルで、週3~4回のペースで6年ほど穿き込み、今は殿堂入りさせました(笑)。当時はデスクワークだけでなく、原反(ロール巻きした生地)を運ぶ作業も多く、その肉体労働が色落ちに功を奏したことは間違いありません。理想的な色落ちを体現するために特別な工夫などはしておらず、裏返しにしてから水洗いをして、そのまま天日干しをしています。陰干しをする方もいますが、私は天日干しのパリッとしたデニムの質感の方が穿いていて心地良いんです。縫製糸や各部のパーツもヴィンテージ同様なので、ステッチも退色して我ながらよい色落ちに仕上がったと思っています」

19歳で手に入れた“憧れ”のヴィンテージ|Levi’s/501XX(35 years)

種類豊富なこだわりの古着を取り扱うECサイト「チルローブ」の運営を行う島倉さん。10代の頃から古着店に足繁く通い、様々な銘品に触れてきた中で、最も愛着あるジーンズに選んだのが、“キング・オブ・ヴィンテージ”とも評される「リーバイス」の[501XX]だ。

「19歳の時に原宿の有名古着店にて、かなり色が濃い状態で購入しました。当時も高かったですが、19歳の私が頑張って買える値段なので、まだ手の届く値段帯でしたね。買ってから4〜5年が1番穿き込んだ時期だと思います。若い時は煙草を後ろの右ポケットに入れていたので、はっきりとアタリがついていて、当時を思い出します。ジーンズを履く上でこのブルーの色味は損いたくないという思いがあったので、黄ばみを避けるために年に数回、漂白剤を使用して洗濯したこともありました。若い時から憧れてきた、この縦落ちの風合いは、今でも[501XX]を特別だと思える理由のひとつですね」

(出典/「2nd 2026年6月号 Vol.218」)

この記事を書いた人
阿部颯太
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阿部颯太

雑食系カメラマン&編集者

1999年生まれ。宮城県出身。大学卒業とともにカメラマンになるために上京。くるくるのロン毛がトレードマークで、イメージ通りの70sな雰囲気の服装を好んで着ることもあるが、アウトドア系も好きだったり、とにかく一度着てみたい雑食系。かっこいい大人になることを目標に、トラッドな服装も勉強中。
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