原点はユニフォームだったミリタリーを日常着としてアップデートしたこと。
「昔からヴィンテージミリタリーは好きでよく着ていましたが、パターンや縫製など、日常着としてはネガティブに感じていた部分も多いのは事実。それらを純粋にアップデートしたのがアーミーツイルの原点だと思います。僕自身、特別なにかに突出しているわけではないですが、全体をいいバランス感で整えるのは得意なんです」
確かに、アーミーツイルはアイテム単品で着るより、トータルコーディネイトすることで格段に魅力が増す。それはブランドとして当然のように聞こえるが、イメージが強すぎて、やや嫌味になってしまったりと、実は容易なことではない。
「最近は日本の気候も不安定で、季節感のある服が着にくくなっているのを感じます。だからこそ、より通年で楽しめる服作りを意識していますね。例えばフリースアウター。昨年はコート丈とハーフ丈の両方を出していたんですが、今季はハーフ丈だけに絞って、その分インナーにニットなどを挿し込みやすいサイズ感に変更しました。そうすることで東京の冬ならこれ一枚でも十分過ごせます」
そして何より、アーミーツイルの最大の強みはボトムスに定番人気のカーゴパンツが据えられていること。これによりコーディネイトに安定感が生まれ、シンプルなアウターでも多彩なミドルレイヤーを揃えることで、着こなしに幅を出している。もちろん圧倒的なコストパフォーマンスも魅力。誰もが無理なく自然に楽しめるミリタリースタイルのあるべき姿だ。
ミリタリー由来の万能ミドルレイヤーも人気。
1950年代イタリア海軍のスモックがベースになったデザイン。横一文字のフロントポケットが特徴のプルオーバーシャツ。1万4300円
スラッシュポケットを追加したユーティリティシャツ。1万4850円。
80年代のチェコ軍のライナーデザインをスウェットカーディガンに。1万890円。
REVERESIBLE JACKET
50年代に存在したスウェーデン軍のライナーから着想を得たフリースとコットンナイロンのリバーシブルアウターは昨季の人気デザインをアップデート。インナーにニットやスウェットもレイヤードしやすいサイズ感に改良している。クリーンで洒落感のあるアイボリー×カーキの配色が今季の人気カラー。2万2000円。
6 POCKETS MILITARY PANTS
USミリタリーのオーバーパンツをベースに、多田さんが細かなパターンワークでヴィンテージの雰囲気を表現したブランドのアイコンアイテム。今季はほぼ通年で楽しめる綿100%のバックサテン素材を採用。秋冬の装いに軽さを表現する、ネップ感のある新色エクリュを追加した。1万9800円
【DATA】
マルベリー
TEL03-6450-4800
https://armytwill.com/
(出典/「2nd 2024年11月号 Vol.208」)
Photo/Yoshika Amino
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