お洒落巧者のメガネ店に学ぶ、鯖江メガネの合わせ方

メガネだけでなく服もこよなく愛するメガネ店のファッショニスタたちに、いまの気分でスタイリングに取り入れたい鯖江産アイウエアを選んでもらった。モノの背景を知ったうえでスタイリングすることの重要性を彼らは知っている。

1.「G.B.ガファス 渋谷」店長・長谷川永伍さん

デニムジャケット/オアスロウ、セーター/ナナミカ、シャツ/ギットマンヴィンテージ、タイ/ブルックス ブラザーズ、パンツ/ビームス プラス、シューズ/パラブーツ×バーニーズ ニューヨーク

スウェットバー付きツーブリッジという変わり種をチョイスした長谷川さん。

「ツーブリッジは、戦闘機内で着用されていたメガネが起源です。また、汗止めの役割を果たすスウェットバーが付いたものは、かつて野外活動用に開発された名作メガネの存在もあり、なにかとアウトドアのイメージです。それらの背景を考慮すると、ミリタリーやアウトドアでまとめてもいいのですが、あえて上品なスタイルに取り入れたときのギャップが好きで、キレイめのスラックスを合わせてタイドアップしました。鯖江のメガネは丈夫で、メインテナンスや修理の際に、そこまで気を遣わなくていい点も魅力です」

愛用メガネ「YELLOWS PLUS」

トップバーに搭載した、汗止めの役割を果たすスウェットバーが特徴。一見クセの強い1本に思えるが、柔らかな雰囲気を持つボストン型でかけやすい。「リムの両サイドが厚いので、度が強いレンズでも気になりません」6万500円(G.B.ガファスTEL03-6427-6989)

2.「デコラ東京」プレス・漆畑博紀さん

フィールドジャケット/Vintage Swedish ARMY、セーター/オールドホームステッダー、パンツ/メトリコ、シューズ/スティーブンアラン、ニットキャップ/Vintage U.S.NAVY、スカーフ/ブリュメル

現代のメタルフレームにはチタンが使用されるのが一般的だが、かつてはサンプラチナという素材がよく使われていた。そんな由緒正しき素材をいまだ使い続けるブランド、それが「マル」だ。

「サンプラチナのメガネなんて、まさに鯖江でしか作れません。「マル」のメガネは、100年以上培われてきた技術が活きたメガネなんです。そういった『時代感やストーリーのあるプロダクツを選びたい』という思いが強いので、そんな私にはぴったりな1本です。だからこそ、なのかもしれませんが、ツーブリッジの起源であるミリタリーに由来するアイテムと合わせて、スタイルのテーマを統一してみました」

愛用メガネ「MAL」

漆畑さんも週3日は着用しているという[ツーブリッジ イチヤマ カネテ]。「金属をそのまま磨いて美しい光沢が出るのは金とサンプラチナぐらい。すっきりしたデザインと掛け心地を両立したイチヤマ仕様も嬉しいです」2万4200円(デコラ東京TEL03-3211-3201)

3.「コンティニュエ」店長・志岐俊典さん

ジャケット/カンタータ、クルーネックニット/メゾン マルジェラ、パンツ/メゾン マルジェラ、シューズ/ドクターマーチン

かつて一世を風靡したフランス生まれのブランド「マックス ピティオン」は、昨年2月に復活を遂げた。

「このブランドのおもしろいところは、歴史あるクラシックなブランドなのに、メガネの佇まいはいわゆるクラシックなものとは一線を画している点にあると思います。もちろんスーツに合わせたりタイドアップしてもかっこいいんですが、現代にも通用するモダン性も備えているからこそ今っぽい感覚で掛けたくて、等身大なカジュアルスタイルでコーディネイトしました。インナーやパンツは『メゾン マルジェラ』です。上下スウェットとか、全身古着、みたいなスタイルにもハマると思います」

愛用メガネ「MAX PITTION」

写真左上のスーツを着た人物がマックス・ピティオン氏。彼はスーツに合わせていたようだ。「これはこれでかっこいいですよね(笑)。[ポリティシャン]はリアルヴィンテージとして育てていきたいと思えるモデルです」6万8200円(コンティニュエTEL03-3792-8978)

4.「アフタ」オーナー・牧野弘生さん

デニムジャケット/Vintage Levi’s、パンツ/キャプテンサンシャイン、シューズ/レユッカス、時計/パテック フィリップ、腰につけたチェーン/クロムハーツ

「アイヴァン」の直営店で長らく店長を務めた牧野さんが独立し、昨年オープンした「アフタ」。多数のヴィンテージメガネを見てきた彼だが、国産ブランドの品質では「アイヴァン7285」や「10 アイヴァン」に軍配があがるそう。

「スタイリングのなかで浮いて見えるようなメガネは好きじゃないので、特に『10アイヴァン』のシンプルでこれみよがしでない点がお気に入りです。いまはどうにかして綺麗に見せようとするブランドが多いんですが、『10アイヴァン』は手描きで玉型を描いたかのようないい意味での脱力感がある。服も一緒で、「主張は強くないけど実は作りがいいもの」が好きです」

愛用メガネ「10 eyevan」

スタンダードコレクションの[no.6 Ⅲ]。「セルロイドという点も鯖江メガネらしい最大の魅力。製作するうえで手間はかかりますが、現代における最高の素材だと思います。使うほどにマットになるので、育てていく楽しみもありますね」8万4700円(アフター info@after.llc)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年4月号 Vol.203」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
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