ファッション業界の重鎮「チューブ」デザイナー・斎藤久夫さんの、英国×米国ミックスの楽しみ方

ブリティッシュとアイビー……。異なるスタイルをミックスする上で大切なのはアイテム選びとそのバランスに尽きる。多くのブランドのアドバイザーやディレクターを歴任し、世界各国のファッションに精通する重鎮で、アメリカと英国への渡航回数は計100回を超える「チューブ」デザイナー・斎藤久夫さんが考えるブリティッシュアイビースタイルと愛用品とは。

ブランド名やデザインよりも実用性を重視してアイテムを選ぶ

「チューブ」デザイナー・斎藤久夫さん|1945年、東京都生まれ。79年に自身のブランド「チューブ」を立ち上げ、そのほかにも多くのブランドのアドバイザーやディレクターを歴任。世界各国のファッションに精通する重鎮で、アメリカと英国への渡航回数は計100回を超える

「アイビースタイルに代表されるアメリカのスタイルも元々はヨーロッパから渡ってきたものです。その中でも洋服の作りはアメリカ、イギリスの『アングロサクソン』とフランスやイタリアといった『ラテン』とで型紙から大きく異なります。

一般的にスタイルが良くボディラインを見せるラテンに対して、スタイルの良くないアングロサクソンはボディラインが見えないシルエット。つまりアメリカとイギリスのスタイルが相性が良いのは必然なのです」という斎藤さんはブランド名やデザインよりも実用性を重視してアイテムを選ぶ。

ベストを2枚重ねた斎藤さん定番のスタイル。ベストとネクタイも色数を抑えることでバランスが良い

「イギリスもアメリカも元々は洋服を“ファッション”としては捉えずに生活の中での必需品として作っていました。これは一般論ですべてのブランドに当てはまるわけではありませんが、イギリスは時間と労力をかけた丁寧なモノづくりで、対するアメリカは大量生産のための効率を重視したモノづくり。それぞれに良さがあり、組み合わせを楽しむことが醍醐味なのではないでしょうか」

足元はブラウンスウェードの外羽根プレーントゥ。厚めのラバーソールがややカジュアル

ブリティッシュアイビースタイルに欠かせない愛用品

アメリカの老舗がこだわった英国でのモノづくり|「ブルックスブラザーズ」のトレントコート

アメリカを代表する「ブルックス ブラザーズ」では珍しい英国製。「40〜50年代は、大量生産のアメリカでも良いブランドは一部のアイテムを英国で作っていました。このコートは防寒という機能性に特化して厚手の生地を使っており、重さは3キロもあります」

英国でたまたま見つけた手の込んだ手編みの一点もの|「ノーブランド」のニットマフラー

英国に出張で訪れた際に、趣味でニット系の商品を売っている店で購入した手編みのマフラー。「偶然入ったお店のおばさんから買いました。UFOみたいな不思議な柄で、独特の色の組み合わせに惹かれました」

ブランドの真骨頂とも言える軽く上質なレザー|「ルイスレザーズの」ロングコート

誰もが知るレザーブランドの60年代のロングコート。「昔のイギリス製の『ルイスレザーズ』は本当に良い革を使っていました。このコートはとても軽くしなやかで、フォーマルな装いにもよく合います」

ブラック、ホワイト、グレーのシックな英国ツイード|「チューブ」のツイードジャケット

英国の生地メーカー「スコフィールド アンド スミス」のツイードを使用。「20年前は英国にも多くの生地屋があったけど、今はかなり減ってイタリアに負けている印象。このジャケットはモノトーンのシックな配色が気に入っています」

手放すことのできない格別のつけ心地|「デンツ」のレザーグローブ

30年以上前からレザーグローブは斎藤さんのマストアイテム。「冬も毎日歩くのでコートとマフラー、グローブは必需品。このグローブはムートンなので、手を入れた時の温かみと心地良さは格別です」

(出典/「2nd 2024年1月号 Vol.201」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

HISTORY OF B.V.D. 着心地を追求した150年

  • 2026.10.20

1876年、ニューヨークで誕生したB.V.D.。風を通すゆったりとした肌着から、水着、街や休日を彩るシャツまで。その歩みを貫くのは、日々を心地よく過ごすための工夫だ。時代ごとの広告や製品を手がかりに、着心地を追求してきた150年をたどる。 HISTORY OF B.V.D. 1876年 ニューヨーク...

Pick Up おすすめ記事

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

「BEORMA」140年の伝統を受け継ぐ、英国屈指のレザークラフト

  • 2026.10.21

英国トラッドを語るうえで欠かすことのできない存在がレザークラフトだ。140年の歴史とクラフトマンシップを受け継ぎ、現代のスタイルにも馴染む唯一無二のプロダクトを生み出す〈べオーマ〉は、その筆頭となりうる存在だ。 熟練職人の魂宿る伝統のレザークラフト 英国中部の小さな町・ウォルソール。革加工・馬具産業...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...