100年間、姿・形を変えなかった希有なワークウエアブランド「ペイデイ」

日本の卓越した生産技術で見事に蘇った名門JCペニーのワークレーベル「ペイデイ」より、識者たちの英知を結集した新作カバーオールが届いた。

カバーオールにかける熱き想い

コラボレートをきっかけに、ペイデイのディレクションにも携わるようになったという大貫達正さん。長年ヴィンテージシーンに身を置く大貫さんにして、「とにかく“ちょうど良い”ブランドだった」とペイデイについて語る。

「ブランドバリュー、商品構成、歴史など、まつわる全てが、僕にとってはちょうど良かった。リーバイスやリーのように名門過ぎず、“知る人ぞ知る”的な立ち位置にあっても、何十年も変わらず残った中堅どころというか。アメリカの大手百貨店JCペニーのワークレーベルとして1922年にスタートしていますが、その時々で仕様の変化こそあれどもカバーオールやオーバーオールといった主力商品は、いつの時代も展開し続けていたようです。しかも、驚くことにデザインが大きく変わっていない。アノニマスなのにしっかり筋の通った一貫性もまた、ディレクション側にとってホントにちょうど良かったんです」。

ディレクター ・大貫達正さん|原宿の古着店を経て、28歳で独立。〈ウエストオーバーオールズ〉をはじめ、様々なブランドのディレクションを手掛ける。サンタセッを新設し、無二のモノコトを展開

大貫さんが最初に取り組んだのは意外にもレディスライン。ブランドに紐づく伝統や特徴的ディテールをより広い市場にアピールできるかたちへとアップデートしていった。

「トレンド感を意識しつつも継承ブランドとしてトラディショナルな要素は当然不可欠です。とはいえ、ペイデイなら本質的な仕様やデザインには手を付けずとも、ハードボイルド過ぎないレーベルカラーだからこその、モダンなデザインや提案もひとつのカテゴリーとして成立するのでは。そう考えたのです」。

確かに土臭くなり過ぎない抜け感はストアブランドならではの魅力。特にカバーオールは1910年代にはすでにオープンソースと化し、多くのブランドからこぞってリリースされた。他社との差別化はデザインではなくディテールワークに集約され微差や独自の意匠で競い合う。言わば無個性なアイテムだからこそ、1シーズン1型のみという形で展開する復刻カバーオールの存在はより特別な位置づけにあるという。

「もはやデザインする余地はありません。でも単なる完全復刻なら、わざわざ作る意味もない。パッと見は各意匠にこだわった完全復刻のようですが、実は肩線の傾斜を変えるなど、いま着てかっこいいバランスに整えたりしているんです」。

BDシャツ2万万8600円/インディビジュアライズドシャツ、ニットタイ1万7600円/インディビジュアライズド アクセサリー (ともにユーソニアン グッズ ストアTEL03-5410-1776)、中に着たタートルニット3万9600円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシーTEL03-5784-1238)、スラックス6万6000円〜/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウンTEL03-5464-0338)

これまでも数々のヴィンテージを完全復刻

WW II MODEL

ヴィンテージ
復刻。3万800円

40s MODEL

ヴィンテージ
復刻。3万1900円

毎季リリースされるカバーオールは往年のヴィンテージをベースとしたスペシャルピース。これまで戦中に生産された通称大戦モデルや古着好きから最も親しまれた40年代モデルなどを忠実に再現。

30s VINTAGE COVERALLS

ブランドを象徴するラグランスリーブ、戦前まで採用された通称ドットボタンやチンストラップなど、当時の仕様を忠実に再現。趣きはそのままに、身幅や肩傾斜といったサイジングを現代的に再設定することで、ワークの土臭さを巧みに軽減した。3万1900円

戦前まで採用された織りネーム。描かれたモチーフの形状から通称ハンマータグとも呼ばれている
後にネームの凹凸が逆転するオリジナルボタン。両サイドにドットを備えた仕様は戦前までのもの
物資統制により簡略化が進められた大戦以前に消滅したとされるチンストラップもしっかり見て取れる
表面を貫く五角形のステッチワークは1940年代以降に消滅していったとされる内ポケットの縫製仕様

【問い合わせ】
マルベリー 
TEL03-6450-4800
https://mulberryco.jp/

(出典/「2nd 2023年11月号 Vol.199」

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

30周年を迎えた「FIRST ARROW’s」がシルバー300個、金30個の限定アイテムを発売。トリプルコラボのデニムにも注目!

  • 2026.05.11

30周年を迎えた「FIRST ARROW’s」からメモリアルな逸品が登場。限定なのでこの機会を見逃すな! また、定番のアイテムも一挙紹介。ハンドメイドならではの美しい細部に注目だ。※価格は全て税抜きです 【NEW ARRIVALS】30th Anniversary Arrow Feather Ser...

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...

Pick Up おすすめ記事

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

無骨と涼感。どちらも、ステュディオ・ダ・ルチザンで手に入る

  • 2026.05.02

異なる魅力を持つふたつのスタイル。だが、その根底にあるのは、日本のモノづくりに裏打ちされた丁寧な作りと、細部に宿る遊び心である。 制約が生んだ大戦期の美学! 物資統制下にあった大戦期、簡略化されたディテールの中から生まれた機能美。その無骨な佇まいをベースに、ステュディオ・ダ・ルチザンが現代的に再構築...

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...