20年前に研究し尽くしたモデルをリゾルト流に再生。
新しいモデルがラインナップされただけで、これほど服好きの注目を集めるブランドは、そう多くないだろう。ただリゾルトがスタートしたのは2010年。それ以来初の出来事となれば、いやが上にも期待は高まってしまう。
発端は約1年半前。林さんがリゾルトの生産管理を担うメンバーと、岡山空港から車で生地屋さんに向かっている車中でのことだった。大柄だったそのメンバーは、林さんにダメ元で「自分みたいな体型の人でもかっこよく、ラクに穿けるモデルを作って欲しい」と打診。
これに林さんは「長年苦楽を共にした仲間の頼みやから」と新型の開発を即決。背景には全国の卸先の店頭を回るフィッティングイベントなどで、“もう少しゆったりしたフィットも楽しみたい”という声が多数寄せられていたことも影響していた。
「そうなると自然と、ほんなら大戦モデルにしよか、と。一番太くてラクちんやしな。実は20年くらい前に大戦モデルを徹底的に研究して、自分としてはこれ以上ないくらいの型ができあがっとったから、今回はそれをベースにしたろと。日本人のお尻にフィットする、ヒップコンシャスなパターンは変えてないんやけど、他の4型よりも尻周りにはゆとりを持たせたし、股上も定番の710より4~5センチぐらい深くした。結果言い出しっぺのメンバーも“これはいい!”言うて絶賛しとったわ」
要であるパターンワークの他に、“これぞ大戦”な意匠が網羅されているのは下の通り。
「大戦モデルは戦時中に作られたもんやから、生産背景も整ってない分、個体によってディテールはバラバラ。でもそこがまたおもろい。大戦と言えばなディテールはこれでもかて言うぐらい全部盛り込んだから、今までのんとは全然違う、おもろいのんができたわ」
リゾルトの[714]、そのディテールを拝見!
尻ポケ上部のカンヌキ縫いが省略されているところまで大戦モデルを完コピ。「大戦モデルは工場によって形もバラバラなんやけど、714はシルエットがきれいな個体をベースにしてるんよ。股上も深いし、ヒップを包み込んでくれるようなシルエットに設計しとるから、大柄に人にも最適やで」
特徴的な幅広のベルトループもしっかり踏襲。「幅はきっちり1.8センチ。入れ物を入れないいうのもこだわりやね。入れると固くなって端が丸まらなくなるから、こういうグラデーションがかった色落ちが味わえなくなってまうんよ」
またウエストの革パッチも大戦モデルの見どころのひとつ。「洗濯していくうちにクシュッとシワがよっていくし、色も濃淡がついて、いい味に育ってくれるはず」
トップボタンには大戦モデルの象徴ともいえる、ドーナツ型の月桂樹ボタンを採用。「やっぱり大戦いうたらこのドーナツやん。ヴィンテージっぽい顔つきになるし、通っぽくてええやろ」
そして刻印なしの打ち抜きリベットまで踏襲しているのもマニアックなポイント。ちなみにコインポケットにリベットを備えていないのもヴィンテージ譲り。「細かいとこまで再現せな本物には見えへん」
【問い合わせ】
エスビープラニング
TEL03-5774-816
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)
Photo/Yuta Okuyama Text/Masato Kurosawa
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