デュアルニットバンドで装着感大幅向上
まず、使い勝手における最大の違いは、デュアルニットバンドが付属となったこと。
実は、最初に我々がApple ParkでVision Proを体験した時はソロニットバンドの上にループが付いていた。ただし、その時には「発売時にベルトはどうなるか分からない」と言われた。

結局、今回のM5モデルではデュアルニットバンドに一本化されたが、初代ではソロニットバンドがプリセットされており、箱の下部に別途デュアルループバンドが入っていた。それが、結局最初に体験したカタチに近いものになったということだ。両方ニットバンドなので、締めつけ度合いを調整できるのが素晴らしい。
しかし、装着の安定感としては、筆者がネットショップで買った追加型のプラスチックバンドの方が安定感が高い。

重いのは前の本体だから、硬いベルトで前側をサポートするのは理に適っている。新しいデュアルニットバンドは、中央部分にベルトが付いているが、後頭部部分のベルトにはタングステンが入ってバランスを取ろうとしている。比較的バランスは取れるようになって、長時間使えることもできるようになったが、上記の製品の方が優れている。

ちなみに、従来のソロニットバンドは57g、デュアルニットバンドのMは197g、Lが207gとなっている。

トータルではかなり重くなったが、バランスは良くなった。
M5搭載で画質が向上した……とは、どういうこと?
M5チップ搭載で、当面改善されているのは、画質だ。

表示しているディスプレイの品質が変わらないのに、画質が向上するとはこれいかに? というところだが、チップセットがM2→ M5になり、演算能力が向上したことで、仮想空間上に描くオブジェクトの解像度が上がり、それをディスプレイに表示する際により美しく見えるようになっているというわけだ。
これは、一般的なユーザーが、この上に挙げたアイコンを見ただけでも気付くほどの画質向上だ。
ちなみに、Apple Siliconは1世代進化するたびに15〜20%性能がアップするので、3世代ではざっくりと1.6倍ぐらいの処理能力を実現しているはず。これはかなりの性能向上だといえる。

リビングでジェットエンジンの分解コンテンツを楽しんだり、ゲームをしたりする時に画質がよくなり、快適性が増している。
これは、iPhone 4Sの解像度から、iPhone 6の解像度に上がった時のような嬉しさがある。

しかし、今のところ、開発者側のデバイスもM2 Vision Proだと思うので、M5でないと動作が重くなるようなアプリは登場していない。そう考えると「M5が欲しいよね!」と思えるようなアプリはこれから登場するのかもしれない。
取説も刷新。Vision Proは進歩し続けている
マイナーな注目ポイントとして、同梱されている取扱説明書の豪華っぷりが変わらず、さらに新たに作り直している点が挙げられる。

これだけ見てもいかにVision Proにアップルが力を入れているか分かるし、事情を知らない人が「Vision Proは売れてなくて赤字だから、次モデルは作られない」などといってるが、2025年6月のWWDCの時にApple Vision Proプロダクトマーケティング担当上級ディレクターのスティーブ・シンクレア氏は「わたしたちはvisionOSの開発に全面的にコミットしている。visionOS 26を見れば、我々がいかに空間コンピューティングに力を入れているか、理解できるはず」と言っていた。
どういうカタチであれ、次世代モデルは出るはずだ。また、生成AIと組み合わせればVision Proはとても扱いやすくなると思う。それも楽しみ。
ガウシアン・スプラッティングで描かれたペルソナがすごい
これも、多くの人はあまり体験する機会がないと思うが、Vision Proのペルソナを使ったFaceTimeミーティングも非常にクオリティが上がっている。

初期のポリゴンを使ってのペルソナと違って、ガウシアン・スプラッティングというガウス分布の要素を集めたペルソナは、非常に自然で、声もちゃんとその方角から聞こえて来るのには驚く。
この時も、西田宗千佳さん、山本敦さん、松村太郎さんというメディアの方々とFaceTimeで話し合ったのだが、まったく違和感がなく2時間ほど話し続けてしまった。

映像など共通のコンテンツを見る時には、各人のペルソナが横ならびになって、声もその方角から聞こえてくる。プレゼンを見たり、映画を見たり、3Dオブジェクトをみんなで見たりと、非常に面白い体験だった。

次に、Vision Proにどんな体験がやってくるのか非常に楽しみだ。
最初に、WWDCでVision Proを体験したのが2023年6月。USで発売されたのが、2024年2月。日本発売が6月。Vision Pro M5発売が2025年10月。なんだかんだ言って毎年、何らかの動きがあるので、2026年も期待したい。
(村上タクタ)
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