書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

「アップルがグラス型デバイスを出す2029年までに、市場を押える」【Even Realitiesウィル・ワンCEOインタビュー】

目の前に文字を表示できるグラス型デバイスEven Realitiesのウィル・ワン(Will Wang)CEOが来日。お会いしてインタビューする機会を得た。アップルでApple Watchなどに関わった経験を持つウィル・ワンCEOに、スマートグラスEven G1のメカニズムや、何を目指しているのか、今後の戦略などを聞いた。

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

2025年10月27日

グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

2025年10月27日

スカウターを具現化? Even Realities社、ウィル・ワン氏インタビュー

スカウターを具現化? Even Realities社、ウィル・ワン氏インタビュー

2025年10月27日

Even RealitiesのウィルCEOに初の対面インタビュー

Even G1は、まだ正式には日本で発売されていない。海外ECサイトから買えるし、技適もあるので、購入の敷居はさほど高くないが、まだ日本国内で所有している人はとても少ないだろう。しかし、筆者がこのデバイスに惹かれるのは、このデバイスが大きな可能性を持っていると思うからだ。

ポストスマホは、個人と密接に繋がり通信を担うスマホの本体部分と、情報を人に伝えるディスプレイやイヤフォンの部分が分化していくと思っている。つまり本体はポケットにあり、AirPodsや、Vision Pro、iPadのような情報伝達部分は別に存在するようになると思うのだ、その時に眼鏡型デバイスは日常的に視覚的情報を伝える鍵となる。

多くの情報を伝えるなら、iPadのような大きな画面や、Vision Proのように目の前を覆うようなデバイスが快適だろう。けれども、ちょっとした情報を伝えるなら、AirPodsのような音で伝える方法や、グラス型デバイスが便利なはずだ。

実際、Even G1はその役割を果たしてくれる。しかし、まだ完成度が足りない。いろいろ知りたいことがいっぱいあるので、来日したウィル・ワンCEOに詳細をインタビューした(おそらく日本メディア初)。

これはPhotoshopで合成した画像だが、このぐらいのサイズ感、コントラストで文字が見える。

レンズの中をバウンスして光が進む

まず、Even G1はどういう仕組みで動作しているのかを教えていただきたい。

「このレンズの横のテンプルの根元にマイクロプロジェクターが入っています。マイクロストラクチャーが中にあって、レンズの中をジグザグにバウンスして投影部分に反射される仕組みになっているのです。プロジェクター部分は非常に精密な仕組みです」

ウィルさんが私のノートに書いてくれた図。このようにマイクロLEDの発した光が、レンズの中をバウンスしながら表示部にたどり着く。

私は目がいいから補正レンズなしを買ったが、近視の人はその厚いレンズの中を光がバウンスするのか?

「私の使っているG1は処方されたレンズが付いています。現在でも処方箋を送ってもらえば中国の工場でレンズ部分を製作して組み付けます。元からあるEven G1のレンズの内側から近視用のレンズを張り合わせる構造です」

Meta Ray-Banのようにスピーカーがあると便利だと思うのだが、スピーカーを付けようとは思わなかったのか?

「スピーカーは耳の近くに付ける必要があります。耳の近くに付けるということはテンプル部分を厚くする必要があります。すると、現状のような細くしなやかなテンプルのもたらす装着感を得ることができません。Meta Ray-Banは一日中着けるものではない発想かもしれませんが、Even G1は普通の眼鏡のように一日中装着できる軽さ、装着感を実現しています。私は毎日装着して欲しいのです」

これが進化すれば、グラス型デバイスだけですべてが解決する

なぜ、ここ、つまり目の前の少し上に文字を表示しようと思ったのか? Meta Ray-Ban Displayのように横に表示する方法もあったと思うが。

「正面と少し下は、物を見るのに使います。例えば歩くために道を見る時、物を手に取って見る時、視界の少し下の部分を使う。だから少し上の部分に表示すると見やすいのです。Meta Ray-Ban Displayは視界の右端に表示されます。これは通知ウインドウのようなものです。片目表示なので、立体的にも見えません。つまり視界に混じって見えてしまうのです。対してEven G1は2m先(調整可能)の空間に文字が浮かんで見えます。背景と混じることなく、文字がすっきり浮かんで見えて区別しやすくなっています」

プロンプトや翻訳を表示して使うのはとても便利だが、歩きながらナビゲーションを見るのは難しい。人間の視界は脳が高度な手ブレ補正をかけているが、このEven G1に浮かぶ文字は揺れてしまう。だから歩きながらナビゲーションを使うと、思っているよりはるかに見にくい。

「そのあたりは今後のテーマだと思っています。楽しみにしていただきたい。私たちは、スマートグラスのカテゴリーに集中しています。このカテゴリーには非常に大きな可能性があると思っています。今のEven G1のファンクションだけでなく、これが進歩すればグラス型デバイスだけですべてが解決するほどの可能性を秘めています。だから、私たちは日常的に快適に使ってもらえるスマートグラスの可能性に賭けています」

アップルは2029年にスマートグラスを出してくる。Even Realitiesはそれまでに成長する

私もスマートグラスに大きな可能性があると思っている。しかし、このカテゴリーには強大なライバルがいる。このことをどう思っているか?

「最大のコンペティターはMetaとアップルです。まず最初のライバルはMetaで、次がアップルだと思います。Metaとアップルに勝ち抜くためには製品の定義が明確である必要があります。Metaとアップルは非常に大きな会社なので、我々は自分たちの製品をいかに定義して、我々の方が優れているかということを証明する必要があります。だから、私たちはMeta Ray-Banとは違う方法を選びました。カメラやスピーカーは持っていませんが、ディスプレイにフォーカスしています。このやり方で正しかったということが分かるまで3年かかると思います。2〜3年の間にチームをものすごい勢いで拡大しようという計画です」

しかし、Metaやアップルはそれ以上に大きいのではないか?

「私はアップルで働いていたし、アップルの背景を知っているので、どのような方向性でアップルが研究開発を進めるか、想像がつきます。アップルは2029年ごろを目指してスマートグラスを開発してくると思います。Vision Proとはまた別の方向性のスマートグラスです。だから、我々は3年以内に急速に成長する必要があります。今、我々は200人のエンジニアを抱えていて、猛烈なスピードで開発しています。アップルがスマートグラスを出してくるまでに、我々はフルカラーのディスプレイとか、もっと大きく表示されるとか、もっと見やすくなるとか、もっとかけ心地が良いとか、そういうさまざまなことを実現する必要があります」

この仕組みでカラー表示することも可能か?

「今すぐには無理ですが、2〜3年のうちにはフルカラー化をする必要があります。Meta Ray-Ban Displayが使っているのはLCOSプロジェクターですが、我々が使っているのはマイクロLEDプロジェクターです。単色表示の現在ではは、マイクロLEDのEven G1の方が高コントラストでメカニズムもコンパクトです。カラー化は今後の課題ですが、実現は可能です」

日本展開は、来年、次期モデルで(?)

ウィルさん自身のことを少しうかがいたい? 中国のご出身でアメリカで働いたのか?

「中国の大学(上海交通大学)を出て、交換留学でアメリカに行きました。その3年後にアメリカに行って、修士号を取得してアメリカで働いて……トータルで8年ぐらいアメリカにいました。アメリカはもともとすごく新しいものを作ろうという機運に満ちていましたが、今はそれが減速しています。中国では、新しいものを作って成功するより、他の人を追いかけて成功した方が簡単だという人が多い。私は両方を組み合わせたい。アメリカの良かったところと、今の中国のいいところを組み合わせて、一生懸命働いて、新しいものを生み出したい。アメリカにはMetaやアップルがあって、それを乗り越えて成功するのは難しくなってますよね。でも、Metaやアップルが巨額の資金をAIに投入していたのに、それを乗り越えてOpenAIのような会社が現れるからアメリカは面白いと思います」

今後、日本での展開はどうなるのか?

「Even G1は、我々にとってテストマーケティングのような製品でした。まだ、広告宣伝や販売にあまり多くの努力をしていません、我々が正しい方向に進んでいるのかどうかを確認したかったのです。いわば、初代のApple Watchのようなものです。対して、次のモデルは、その成果を取り込み、完成度を高めたApple Watch Series 3のような製品です。これは絶対に成功するから、ここでマーケティングを広げようと思っています。日本は我々にとって2番目に大きな市場になると思っています。来年は日本でのマーケットの拡大や、プロモーションを含めて展開しようと思っています。楽しみにしていてください」

とても楽しみだ。

Even G1はすでに技適も取得しているし、日本語化も(完全ではないが)行われている。

ただし、筆者がレビュー記事に書いたように、スマホとの連携含め、完成度はまだ100%ではない。しかし、次期モデルが、初代Apple WatchがSeries 3に進化したように、完成度を高めるのなら、それは非常に楽しみな製品になるだろう。

ウィルさんの言うように、アップルが2029年まで製品を出さず、Ray-Ban Metaが日本での製品展開に積極的にならないなら、日本のスマートグラスは来年(2026年)に、Even Realitiesの次期モデル(Even G2?)によって幕を開けることになりそうだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

【VAN×2nd別注】スポーティなレタードカーティガンでひと味違うアイビースタイルを。

  • 2026.02.03

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【VAN×2nd】トラックカーディガン[レタードワッペンセット] 日本にアイビーの礎を築いたブランド、「VAN(ヴァ...

理想を詰め込んだ名門・麻布テーラーの至極のブレザースーツ。まさにこれが長く愛用できる“一張羅”だ 

  • 2026.03.16

チープシックとは、ただお金をかけずにファッションを楽しむことではない。自分にとっての“一張羅”とも呼べる一着を持ち、長く愛用することこそがその真髄である。理想のデザインを具現化し、身体にも馴染む。パーソナルオーダーの名門・麻布テーラーで“とっておき”を仕立てよう。 麻布テーラーのオーダーメイドでチー...

中目黒の名店「PLEST」が仕掛ける、究極のデニムセットアップ受注会が開催中! シルバー925ボタンの圧倒的存在感を見逃すな

  • 2026.03.16

中目黒に拠点を構え、ヴィンテージへの深い造詣と現代的なエッジを融合させるブランド「PLEST(プルスト)」。彼らが放つ新作デニムセットアップの受注会が、3月15日(日)よりスタートしている。 デニムセットアップにシルバー925ボタンという選択肢を。 今回の目玉は、なんと贅を尽くした「シルバー925」...

待望のカスタムオーダーが再始動!シルバージュエリーはメイドインジャパンにこだわりたい

  • 2026.04.01

ネイティブスピリットを宿したシルバージュエリーで多くのファンを魅了してきたARIZONA FREEDOM。2026年春夏シーズンより、待望のカスタムオーダーがついに再始動。既存のデザインをベースに組み合わせ次第でこれまでにない自分だけのオリジナルのシルバーを形にできるのが最大の魅力だ。熟練した職人に...

別荘暮らしには憧れが詰まっている。1500万円以下から手に入るログハウスという選択肢

  • 2026.03.31

いくつになっても秘密基地のような存在にはワクワクさせられる。だからこそ“別荘”という響きに今なお心ときめくのかもしれない。趣味に没頭するのも何かに挑戦するのもいい。家族とまったり過ごすのも悪くない。BESSの家は、いい大人が目論むあれこれを叶える理想の空間だ。 編集部パピー高野が別荘暮らしを体験! ...

Pick Up おすすめ記事

【Tricker’s × 2nd別注】英国の伝統と歴史が宿る質実剛健なカントリーブーツをネイビーで

  • 2026.03.18

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 革靴の名門「トリッカーズ」とのコラボが実現。ストウ ネイビーカーフ 革靴の聖地として名高い英国・ノーサンプトンにて1...

別荘暮らしには憧れが詰まっている。1500万円以下から手に入るログハウスという選択肢

  • 2026.03.31

いくつになっても秘密基地のような存在にはワクワクさせられる。だからこそ“別荘”という響きに今なお心ときめくのかもしれない。趣味に没頭するのも何かに挑戦するのもいい。家族とまったり過ごすのも悪くない。BESSの家は、いい大人が目論むあれこれを叶える理想の空間だ。 編集部パピー高野が別荘暮らしを体験! ...

こだわりの最上級へ。リングを複数繋いで作られるブレスレットは、究極の贅沢品

  • 2026.03.17

創業から29年にして新たな局面を迎え、“地金から新たな素材を作り出す”という手法に行き着いた「市松」。『自在地金屋 無双』をその名に掲げて作られたブレスレットは、一点一点手作りでサイズのブレが生じるためリミテッドモデルとして製作。放たれるただならぬオーラは、職人の工夫と根気によるものだ。 誠実に地金...

革に銀!? カービングに鉱石を使って色彩を与える独自の技「ジ・オーア」の革ジャンとレザーアイテム

  • 2026.03.30

伝統的なレザー装飾技法であるカービングに鉱石を使って色彩を与える、アツレザーワークス独自の技、“The Ore(ジ・オーア)”。技術を磨き上げた匠が生み出す唯一無二のオリジナリティを紐解く。 伝統技法が交差する唯一無二の手仕事。 代官山にあるアトリエを拠点に、クラフトマンの繊細な手仕事が光るレザープ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。