ロボット掃除機市場、どうなってるの?
最近の中国メーカーの展開スピードの速さには驚くべきものがある。Anekr、DJI、BYDもそうだし、フォーカルポイントの扱うShokzや、UGREENなども驚くべき急成長を遂げている。そこにかつての中国企業の品質の悪さや、信頼性の低さという印象は微塵もない。グローバルに展開し、巨大な工場で大量生産し、デザイン性にも優れている。しかも、比較的リーズナブルであるから、我々の日常的な製品チョイスでも見逃せないものになっている。
フォーカルポイントは、元々欧米ブランドはもちろん、香港、台湾、中国などアジア圏とのコミュニケーションも深いから、彼らとのビジネスにも慣れている。日本で受け入れられるクオリティ、品質保証を整えて、我々が安心して買えるブランドを選りすぐって提供してくれている。
そのフォーカルが、新たに取り組むことになったのが、家電メーカーのDreameだ。

Dreameの創業は2017年。わずか8年前だ。
そこから、急速に展開し、世界100以上の国と地域で販売され、6,000以上の実店舗に入居して、3,000万世帯で利用されているというのだ。
いくら、国家的なバックアップがあり、多くの大規模な投資家がおり、14億の人口に支えられた豊富な労働力があるとはいえ、このスピード感には舌を巻く。
同社の歴史を簡単にひも解くと、精華大学(中国を代表する大学のひとつで、日本でいえば東京大学と東京科学大学を合わせたような学校)で2017年に航空力学研究組織としてスタート。翌年ヨーロッパ、東南アジア市場に参入。2020年には、米国市場に参入、15万RPMのブラシレスモーターを製品化し、中国では24時間稼働の完全自動化工場の操業を開始している。
ロボット掃除機といえば、『ルンバ』のiRobot社が有名だが、『自走する掃除機』という意味ではテクノロジー的にコモディティ化が進んでおり、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど市場ごとにさまざまな中小規模メーカーが争う群雄割拠の状態になっている。先行したはずのiRobot社は急速に市場を失い、現在ではDreame、Roborock、Ecovacs、Xiaomi……など多くの企業が市場を争っている状態だ。
国によって、コンクリート、フローリング、絨毯、畳……など床材が違い、そこをはだしで過ごすのか、土足で歩くのかによってもニーズは違う。
落ちているものを避けるセンシングの機能、吸引する能力だけでなく水拭きの機能、カーペット検知、段差の乗り越え、自動ゴミ収集や、自動モップ洗浄、アプリによるコントロール……などの、さまざまな機能の有無が製品差別化のキモとなっているが、意外や『人の家』というのはさまざまなようで、各企業による激戦が続いている。
そこに、参入し、テクノロジーをベースに戦うことを決めたのがDreameというわけだ。
Dreameのコアテクノロジーは高速デジタルモーターと、AIアルゴリズムだそうである。
ここで使われるのは、ブラシレスDCモーターというものだが、これは複雑なモーターの巻き、それを制御する電子的テクノロジーにおいて挑戦の余地があったのだと思う。ブラシレスDCモーターといえば、ダイソンの掃除機のものが有名だが、おそらくその特許に抵触しないように数多くの新技術を開発したのだろう。Dreameの累計出願特許は1万件に達しているという。わずか8年の歴史しか持たない企業が1万件の特許を出願するということは、いかに多くの研究開発スタッフを擁しているかの証左でもある。
品質管理においても、非常に高度なレベルに達しており、「中国製は品質が悪い」などという30年前の常識をいまだに引きずっている人は考えを改めた方がいい。
デザインにおいても、世界中で優れたデザインを学んだスタッフが集まっており、欧米、日本の製品デザインに何ら遜色のない製品を生み出している。
上海には、実際にロボット掃除機が動作しているところを見ることができるフラッグシップストアもあるそうだ。たった8年でよくここまで到達できたものだと、本当に驚く。
Dreameの技術の粋を尽くした、最新型のロボット掃除機Aqua10 Ultra Roller
現在、すでにDreameでは、ロボット掃除機、コードレス掃除機、ヘアドライヤー(いずれも高速回転ブラシレスDCモーターがコアテクノロジー)を商品展開しているが、今回の発表は、『フォーカルポイントとの連携』『フラッグシップ機Dreame Aqua10 Ultra Rollerの日本展開と、クラファンの発表』『スティック型掃除機2台の発表』がポイントとなる。

Dreame Aqua10 Ultra Rollerは吸引とモップかけを同時にするタイプのロボット掃除機の最上位機種。3D構造ライトを使って、落ちているものを回避しながら清掃する。床を走る電源ケーブルや、落ちているA4の紙なども巻き込まずキチンと避けて走るというから驚きだ。
デモでも、床に置いたぬいぐるみや、傘を巻き込まずにちゃんと回避してた。
「ウチは床が散らかっているからロボット掃除機は無理」と思っていた人も、これなら導入できるのではないだろうか?
裏返してみると、背面は想像以上に複雑な構造になっている。
車輪のマウントがアーム状になっており、段差を乗り越えるというのも面白い。日本家屋は敷居が多いから、小さな段差でロボット掃除機が使えないという部屋も多いのではないだろうか? 4.2cmまでの敷居、もしくは4cm×2の二段敷居まで越えることができるという。
いつの間にかロボット掃除機も非常に進化しているのである。
ちなみに、もっと廉価なモデルも含めて、すでにいろいろ販売されている。興味ある方はこちらもどうぞ。
スティック型掃除機の新型も登場
スティック型掃除機は、X1 Air(4万9800円)とX1 Slim(5万0800円)の2種類が発表された。これらの発売日は10月17日。
メカニズム的には、ダイソンのサイクロン式に似た、マルチコーンサイクロン技術が使われている。特許を侵害しないように巧みに作られているのだろう。
X1 Airの方が、小型、スリム、軽量……を意識しており、X1 Slimはもう少しパワーと持続力を重視したモデルのようである。狭い日本家屋や、ワンルームマンションなどだと、小型のモデルでも十分に問題ないように思える。
11月7日から10万円安で買えるクラファンスタート
さて、最後に重要なお知らせ。
最初にご紹介した、Aqua10 Ultra Rollerは11月7日からクラウドファンディングが開始される。
定価24万9800円のこの最上級掃除機が、最大40%オフの14万9880円で購入できるということである。
「クラウドファンディングをセールスプロモーションの方法に使うのはいかがか」という意見はあると思うし、UGREENの時のようにアクセス過多になって「開始時にアクセスしたのに最安値で買えない!」と言って怒る人が出たりる可能性もあるが、すでにプロモーションの手段として定着した感はある。
最高級ロボット掃除機が、プロモーション用の初期限定価格とはいえ、10万円安く手に入るなら、それはそれで買っておいてもいいかなという話ではあると思う。おそらく初期の話題作りのために利益度外視の価格なのだとは思うが、「使ってもらえば、良さを理解してもらえるはず」という自信(と資金力の裏付け)があるからこそできることだと思う。
Aqua10 Ultra Rollerは広報機材をお預かりしているので、近日中にその使い勝手をレポートできればと思う。
(村上タクタ)
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