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アップルのCMに登場した室蘭工業大学SARDの部活ロケット開発を見に行った

  • 2025.03.20

最近、アップルが『学生にMac|ハイブリッドロケットを作る』というCMを流しているのをご覧になったことがあるだろうか? 大学の部活でハイブリッドロケットを作っていて、その製作過程にMacやiPhoneが使われている……というものだ。彼らは室蘭工業大学の学生宇宙研究開発サークル、SARD(Student Aerospace Research & Development project)のメンバー。CMだけでは伝わりにくい部分があるので、取材に行ってみた。

北の大地でロケットを飛ばす!

みなさんは、宇宙やロケットに興味をお持ちだろうか? 幼いころは誰もが「宇宙に行ってみたい!」「ロケットに乗りたい!」「宇宙飛行士になりたい!」と思うものだが、いつしか「自分には無理」と考える人が大半だと思う。これまで日本人で宇宙に行った人はたった14人。それは狭き門だ。

それでも、宇宙に行きたい、もしくはロケットを飛ばしたりする宇宙に関する仕事に関わりたい……そう希望する人が進学する学部がある学校は日本には10校前後しかない。北海道の室蘭工業大学 理工学部 創造工学科の航空宇宙工学コースもそのひとつだ。

航空宇宙工学コースでは実際にロケットについて学ぶが、コースへの振り分けは2年の後期から。大学入学時にすぐにロケットの開発に取り組みたい人が、SARDに入るというわけだ。

現在作っているロケットはFRP製のボディを持ち長さ2m弱、重さは10kgほど。

SARDはあくまで部活動なので、部室に研究拠点がある。

取材にうかがったのは、3月の初旬。まだまだ雪が深い時期だった。聞けば、室蘭は太平洋に面しているので、内陸よりはだいぶマシだが、それでも12月から4月いっぱいぐらいまでは雪が積もっているそう。

室蘭は新千歳空港から電車で1時間ほど。羽田から飛べば2時間半ほどでここに来れるが、取材時も「雪の状況によっては、新千歳空港に降りられず羽田に戻る可能性があります」というアナウンスと共に離陸したし、室蘭への列車もシカとの衝突事故があってダイヤが乱れており30分ほど遅れた。

駅からはタクシーで室蘭工業大学の部室に向かったが、学生さんもクルマがなければなかなか自由のない生活なのだそうだ。途方もなく広い雪の学内を歩いてこの部室棟に向かうのはなるほど大変そう。

現在、SARDは『ハイブリッドロケット』『宇宙探査開発』『人工衛星開発』の3チームに分かれて活動しており、今回お話を聞いたのはハイブリッドロケット開発チームのみなさんだ。

ハイブリッドロケットとは?

ハイブリッドロケットというのは、固体燃料と液体の酸化剤を組み合わせて使うロケットのこと。

液体燃料ロケットは、出力が高くコントロールできる幅が大きいが、燃料と酸化剤が混合されて使われるため爆発リスクが高い。固体燃料ロケットは、シンプルな構造にできるが一度点火すると出力調整ができない。

燃料が入るアルミのシリンダー。切削加工で製作する。

SARDが使うハイブリッドロケットは、アルミ削り出しのシリンダー(肉厚2〜2.5mm)の中に個体のポリエチレン(一般的な安全な素材)のブロックを入れ、液体の酸化剤を入れて燃焼させる。このポリエチレンのブロックは丸棒で購入し、旋盤加工機で削ってカタチにする。

燃料として使うポリエチレンのブロック。棒状で購入し、噛み合うようにして加工。内部に2個の穴を開け、それを90度ずつ交互にずらして封入することで、内部がまんべんなく燃えるようにする。
燃焼後のポリエチレンブロック。

燃焼すると数千度の高圧ガスが発生して、その推力でロケットを飛ばせるが、安全性は比較的高い。シリンダーは万が一のことがあっても上下方向に破壊されるようになっており、周囲に破片が飛び散るようなことはない。

現在のところ長さ2m弱のロケットを200mぐらいまで打ち上げることができる。

ロケットの内部には点火、高度や飛び方などの計測、燃焼終了後のパラシュートの展開などを制御する回路が内蔵されている。打ち上げの衝撃や振動に耐え、正確に動作する設計が必要だ。

打ち上げたあと、頂点に達するとパラシュートを開き、ゆっくりと降りてくる仕組みになっている。その打ち上げと、パラシュートを開いて降りてくる制御などを行うのだ。

制御系も自分たちで設計して製作する。

年に1度、北海道の赤平で打ち上げるために数度の燃焼実験などを行う活動をしている。

燃焼実験に使う設置台。

ロケットに携わる学生の夢は?

ロケットと言えばJAXAに就職……というイメージだが、実際にはIHIなど重工系の企業への就職などのルートが多いのだそうだ。また、現在宇宙関連ベンチャーはバブル状態にあり、泡沫的なものも含めて玉石混交ではあるが、さまざまな選択肢があるという。

また、航空宇宙工学コースに進んだ人は約8割が大学院に進むそうで、彼らの多くもすぐには就職……というわけではないのかもしれないが、部活としてSARDでロケット開発に携わるみなさんの将来の夢を聞いてみた。

まずは、理工学部創造工学科航空宇宙工学コース3年の佐藤航真(かずま)さん。

「僕は今、防衛産業の方に興味を持っていて。ミサイルとか、偵察用の人工衛星とかの方向を検討しています」とのこと。重工系の企業への就職を検討されるのだろうか?

同じく、航空宇宙工学コース2年の沖優昌(ゆうすけ)さんの回答は夢にあふれている。

「僕は火星に行きたいです」

「火星に学校を作りたい。どうやって火星に行くかは分かりませんけど。今なら仕方なくイーロンマスクのスペースXのドアを叩くかもしれません(笑)僕、実は父の仕事の都合で、アメリカで生まれていてアメリカの国籍を取れるんです。生まれて3カ月しかいませんでしたが(笑)」

同じく、航空宇宙工学コース2年の竹中太一さんは、しっかりとした現実的回答。

「僕はロケットエンジンの燃焼系に興味がありますね。どっちかっていうと研究寄りのことがやりたい。今もサークルでもロケットエンジンの燃焼系のことをやっているので。燃焼の計算をして、実験して、その結果を検証して……ということをやっています」

理工学部創造工学科1年の大嶋宙汰(そらた)さんは、まだ1年で、航空宇宙工学コースに進む前なので、まだまだこれからさまざまなことを学んでから、検討していく予定とのこと。

「最初はエンジン系をやっていたのですが、1年経って、知ったことがとても多くて……。どうやって燃焼するかとかは、入学してから知ったので。まだまだ、進路はこれから考えようと思っています」

冬は大変そうだが、広い北海道の土地ならではのスケールの大きな発想を楽しみにしたい。

なお、本日夕方18時から、アップル表参道のToday at Appleで、彼らと宇宙飛行士の野口さんの対談が行われる(申込受付は終了しているが、店内で話を聞くことはできると思う)。

トーク:野口聡一と大学生サークルSARD⁠が語る、宇宙への情熱と可⁠能⁠性
https://www.apple.com/jp/today/event/talk-sard-and-soichi-032025/7289459946767679744/?sn=R224

また、CAMPFIREで自作エンジンとロケットのためにクラウドファンディングを実施中。締切まであと、11日なので、みなさんぜひ、ひと口でも支援を!

北海道から自作エンジンを乗せたハイブリッドロケットを飛ばしたい!!
https://camp-fire.jp/projects/813750/view

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