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iPad選びで、迷ったらコレ! 【iPad Air(M3)先行レビュー】

2025年3月4日に発表され、12日に販売開始となるiPad Air(M3)を発売に先んじてお借りできたので、レビューをお届けする。基本的には前モデルのM2チップをM3チップにアップデートしただけではあるが、11インチモデルは9万8800円から、13インチモデルが12万8800円からと価格は据え置きで、ラインナップの中核機種としてのお買い得度は増している。もちろん、4月初旬にローンチとなる日本語版のApple Intelligenceにも対応する。

iPad Air
https://www.apple.com/jp/ipad-air/

iPadは「欲しいから買う」不思議なデバイス

以前、毎年のようにiPadに関する本を作っていたのだが、その時興味深かったのは、多くのデバイスは読者の方から「どうやって使えばいいのか?」という問い合わせが寄せられるのだが、iPadに関しては「何に使えばいいのか?」という疑問が多数よせられたということだった。

つまり、読者の方は「何に使えばいいか」分からずにiPadを買っているということになる。

スマホだったら電話はもちろん、SNSとか、日常の情報収集とか、パソコンだったら仕事とか、メールとか『何に使うか』は決まっているのに、iPadは仕事もできるし、メールもできるが、絵を描くこともできるし、楽器にもなるし、Netflix再生機にも、動画編集マシンにでも何にでもなるのである。

そして、実はこの『何に使うか?』を決めないと、『どのiPadを買うか?』を決められないのである。

迷ったら、iPad Air

とはいえ、これは初心者だから発生することではなく、初代からずっとiPadを約15年間使う筆者でも悩むことではある。

普通のサイズはもちろん、13インチのiPad Proも、iPad miniも使ってきた。絵を描いたリ、原稿に赤字を入れたりするのには13インチクラスが必要。カレンダーを使ったりメモを書いたり的な手帳的使い方や、文庫本を読むにはminiのサイズが最適。そう思って、13インチのiPad Proと、iPad miniを併用したこともある。しかし、これはデータの同期などが面倒。つまり悩みは続くのである。

決断できない時に、一番良いのは中庸を選ぶことだ。つまりは、11インチのiPad Airを買っておけば迷うことはない。それでも容量をどうするか? ケースやキーボード、Apple Pencilをどうするか? という決断はついて回る(笑)

今回は、Magic Keyboard(4万9800円)、Smart Folio デニム(1万7800円)も一緒にお借りした。

話題が逸れたついでにそこに触れておくと、悩むぐらいならとりあえず容量は少なめでいい。筆者の経験から言ういと、データ容量が必要な特別な使い方(動画編集などのクリエティブ系など)をするのでなければ、写真が溜まるiPhone、書類が溜まるMacと違ってiPadのストレージ容量で困ることはあまりない(それは筆者がクラウドを使うからかもしれないが)。

キーボードケース系は、装着すると思いのほか重いので、そのことを考慮に入れて検討したい。Smart Folioを使ってキーボードは別途BT接続のものを使うという手もある。Apple Pencilは高価なので躊躇する気持ちは分かるが、これこそがiPadの真価なので、ぜひ購入いただきたい。

十二分なパフォーマンスのiPad Air(M3)

話は逸れてしまったが、そんな、『ザ・中庸』が、iPad Airである。とにかく迷ったら、iPad Airを買っておけば間違いはない。

搭載されたM3のGeekbench 6でのベンチマークを、現行他機種(手元データのiPadはまだ第10世代だが)と比べてみよう。

それぞれ、搭載されているチップセットによって、想定通りの性能差がつけられていることが良くわかる。黄色のM2から、赤のM3へ向けて、順当に進化していることも見てとれる。これでお値段据え置きならお買い得だ。

Geekbench AIでの結果はこちら。

おそらくApple Intelligenceの性能は、半精度(Half Precision)や量子化(Quantized)が大きく影響するようなのだが、新しい世代のチップセットほど大きく伸びる傾向にあることに注目されたい。つまり、アップルがApple Intelligenceに必要な要素を、最新のチップセットにどんどん盛り込んでいるということだ。特に、iPad mini(A17 Pro)の性能が高いところが興味深い。これは、A17 ProがM3と同じ3nmプロセス(N3B)で生産されていることから来ていると思われる。つまり、5nmプロセス(N5P)のM2チップより、A17 ProのNeural Engineの方が処理能力が高いということなのだろう。

もちろん、iPad Air(M3)もiPad Air(M2)より、グッと進化しているので、4月初旬に公開されるApple Intelligence日本語版でも安心して使えるということだ。

大きい画面の13インチも老眼にはありがたい

ディスプレイ性能や、ボディ形状、通信系の性能なども、すべてiPad Air(M2)と同等。

ディスプレイは、従前のLiquid Retinaディスプレイ。タンデムOLEDのUltra Retina XDRディスプレイを積むiPad Proと比べると、コントラスト比で見劣りはするが、単体で見るなら十分美しい。

ペンシル先端と描画面の距離の近さや、ハッチングのような感じでペンシルの先を素早く動かした時の追従性はやはりiPad Proの方がいいから、職業として絵を描くのならiPad Proをお勧めするが、そうでないなら言われないと気がつかないレベルの差ではある。

今回お借りしたのは13インチモデルだったのだが、最近老眼を感じる筆者としては「大きいのもいいな」と思った。多少老眼が入ってても、マンガを見開きで読めるのは大きなメリットだ。縦にして、単ページ表示にすれば、週間マンガ雑誌サイズに近い迫力で読める。

©️うめ(小沢高広・妹尾朝子)/『南緯六〇度線の約束』/小学館ビッコミ連載中

逆に、文字ばかりの小説などは、大き過ぎてちょっと目が迷う感じがする。やはり見たいコンテンツによって、適切なサイズがあるのだ。

©️レイ・ブラッドベリ著 宇野利泰訳/『華氏451度』/早川書房

Magic KeyboardはiPad Air専用にリニューアル

今回、大きな変更としては、iPad Air用のスマートキーボードが用意されたことが挙げられる。従来はiPad Proの旧モデルと共通だったので、カメラホールが無駄に大きかったのだ。

11インチ用と、13インチ用、それぞれが用意されて、色は白のみ。

ヒンジ部分が楕円形になる点などは新しいiPad Pro用と同じだが、本体上面のパームレスト部分などがアルミ製となったiPad Pro用と違って、iPad Air用は樹脂製。

あと、筆者は、出張先などでMacの外部ディスプレイとして使うことが多いのだが、13インチモデルはそういう使い方をした時に、MacBook Airの13インチモデルなどとのフィット感がいい。両方お持ちの方はぜひ試していただきたい。

性能の割にはリーズナブル。お勧め

順当に性能が向上して、お値段も一番安いモデルなら9万8800円とギリギリ10万円切り。使い方はフォーカスできないが、ぜひiPadが欲しいという方にも勧められる汎用性の高いモデルだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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