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iPhone/Macと同じ美しいフォントが、Windowsでも使えるように!【Adobe Fonts】【フォントの日】

『Macのデザインは美しい』『iPhoneの字は読みやすい』という話の大きな部分を担っているのが、『ヒラギノ』というフォントだ。

世界中のMac/iPad/iPhoneのフォントは、アップルが独自にデザインしたフォントに変わりつつあるのだが、日本語フォントだけは『ヒラギノ』が美し過ぎて、使われ続けているというほど。しかし、このたびAdobe Fontsに『ヒラギノ』が搭載されることになり、別途購入しなくてもAdobe CCもしくは、Adobe Fontsを契約しているだけで、WindowsでもMacと同じ『ヒラギノ』を使った美しい書類をデザインできるようになった。

今回、4月10日『フォントの日』を記念してAdobeが行った、『【CC道場 スペシャル】フォントの日だよ〜文字っ子!全員集合〜あのフォントが使えるってふぉんと!? 』の収録現場に潜入して、その様子を取材してきた。

日本人が一番目にしているフォント『ヒラギノ』

ちなみに、これは筆者の本棚の上に置かれているMac OS Xのパッケージ。22年経つが、大事な宝物。当時はチタンのPowerBook G4を使っていた。

Macファンとして思い起こせば、2001年のMac OS X発表の時、システムフォントとして搭載されたのが『ヒラギノ』で、筆者と『ヒラギノ』の出会いはその時だった。ずいぶん洗練された、端正で美しいフォントだと思ったことを覚えている。

以来、Macで原稿を書くということは『ヒラギノ』を見つめるということだったわけだから、筆者は22年間ずっと『ヒラギノ』を見つめて生きてきたということになる。

当時、Macを使っていたのは、変わり者と出版関係者だけだったが、その後iPhoneや、iPadが発売され、Mac OS Xをベースに開発されたiPhone OS(現在のiOS)にも当然のことながら『ヒラギノ』が使われることになり、必然的に『ヒラギノ』は『日本人が一番見ているフォント』へと成長することになった(Androidの場合、メーカーによって採用フォントは違う)。

ちなみに、ヒラギノ明朝が発売されたのは1993年(ゴシックは翌年)、今年で30年を迎える。発売されて8年後にMac OS Xに搭載されたワケだが、今にして思えば、よくアップルはこの素晴らしいフォントを発売してくれたものだ。

常に新鮮で、ニュートラルで、バランスの良いフォント『ヒラギノ』は、日本人にとってMac/iPad/iPhoneの使い心地の非常に大きな部分を占めていると言える。

Adobe Fontsにヒラギノが入って、Windowsユーザーにとっても身近なフォントに

さて、今回のAdobe CC道場はこんな展開。

なんと、第1部では、ヒラギノひと筋30年『ミスターヒラギノ』と呼ばれるSCREENグラフィックソリューションズの三橋洋一さんが登場、ヒラギノに関して解説して下さった。

Adobe CC道場は、このようなグリーンバックのセットで撮影されている。一番左がヒラギノ担当歴5年の三宅竜太さん。左から2番目がヒラギノ一筋30年、『ミスターヒラギノ』三橋洋一さん。

ちなみに、今回、Adobe Fontsに搭載されるのはこの4書体。

もちろん、従来から、Macには搭載されているし、Windowsマシンでも別個に購入すれば使えたが、やはりAdobe Fontsに搭載されるとサブスクで使える人がグッと増えるので、デザインに使ってもトラブルが発生したりする可能性がグッと下がる。

また、Windowsマシンを使っている人でも、デザインや、プレゼンテーション資料にMacと同じ『ヒラギノ』を使えるようになったのは嬉しいという人は多いのではないだろうか?

ヒラギノの蘊蓄がいっぱい

ちなみに、YouTubeライブでは『ヒラギノがなぜ美しいのか?』という話もたっぷり語られた。

『線と線の空間の広さが一定になるように調整されている』『中庸なフトコロになるように調整されている』『高過ぎず低過ぎない重心に調整されている』など、なんとなく感じていた『ヒラギノ』の美しさを詳細に解説してもらって、目からウロコだった。

また、『ヒラギノ』は京都の『柊野』という地名に由来しているということや、NEXCO東日本/中日本/西日本の高速道路の標識にも採用されたなど、ヒラギノファンにはたまらない情報がいっぱいだった。

超貴重な、手書きで作られた『ヒラギノ』の『原字』

また、何より感激したのは、SCREENグラフィックソリューションズのおふたりが、ヒラギノ明朝の『原字』をお持ち下さったこと。

なんと、これ、30年前に『ヒラギノ明朝』を作る時に、手書きで作られたフォントの源なのである。これは、烏口(カラスグチ)で手書きで線を引き、筆で墨を塗って作られている。

今や、もちろんデジタルデータとして作られるフォントだが、30年前にはこうやって手書きで作られていたのである。

こうやって、手書きで作られたフォントがデジタル化され、日本語を使うすべてのMac、iPad、iPhoneで使われ、そこから書類や印刷物が作られてるかと思うと感無量だ。

今は、当然もう手書きでは行われていない作業なのだそうだが、ヒラギノの源流は手書きだったというのはなんとも感慨深い。

第2部以降のフォント談義もお見逃しなく!

ライブではその後、平凡社から『タイポグラフィ・ブギー・バック 僕らの書体クロニクル』という本を出された正木香子さんが登場され、フォントの楽しみ方に付いてお話された。こちらについては、筆者も正木さんの本を買ってみたので、そちらと一緒にご紹介しよう。

『失われた30年』に大変貌を遂げたフォントの話【タイポグラフィ・ブギー・バック】

『失われた30年』に大変貌を遂げたフォントの話【タイポグラフィ・ブギー・バック】

2025年10月27日

デザイナーなど出版にかかわる人はもちろんだが、一般の人でもフォントから受けている『印象』というのはいろいろあるはず。

時代の移り変わり、感情などを表現してくれているし、さらに写植からデジタルフォントへの移り変わりによる印象の変化というものもある。

興味のある方は、ぜひこちらのアーカイブ動画をご覧いただきたい。毎日、あらゆる場面で目にしている『フォント』を知ることで、あなたの生活はもっと豊かになるはずだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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