※この記事は、秋公開のmacOS Ventura、iOS 16のパブリックベータに基づいた記事です。Apple Beta Software Programで知り得た情報は、その内容について誰かに話したり、ウェブ記事にしたり、SNSに投稿したりすることは禁じられていますが、ThunderVoltは取材に基づく特別な許可を得て記事化しています。
Continuityの新機能『連携カメラ』
よく考えたものだな……と思うのが、同じiCloudアカウント同士で連携できる『Continuity』の機能のひとつとして実現した『連携カメラ』(英語では、Continuity Camera)。iPhoneの高性能なカメラを、Macの外部カメラとして使う機能だ。
最新のiPhoneが、環境光が多少暗くても、明るく鮮明な画像を提供してくれるのはみなさんご存知のとおり。その出力をワイヤレスで、同じiCloudアカウントのMacに提供するという仕組みだ。ご覧のようなホルダー(ベルキン製・2022年8月現在未発売)を使うことで、iPhoneをまるでMacのビデオ会議用カメラであるかのように扱うことができる。
といっても、接続はワイヤレスなので、iPhone自体はどこに固定してもいい。三脚などで立ててもいいし、ご覧のように外部カメラとして使うこともできる。周りの風景を見せたり、説明したいデスクの上のモノを撮影して見せることもできるから、macOS Venturaがローンチされたら、多くの人が利用するようになるに違いない。
疑似的な俯瞰撮影を実現する『デスクビュー』
もうひとつ注目なのが、連携カメラ機能の中の『デスクビュー』機能だ。
これは、iPhoneの超広角レンズ搭載機で利用可能な機能で、超広角レンズで撮影した映像を画像処理し、まるで天井から吊り下ろしているカメラで俯瞰撮影しているように見せる機能。
我々メディアがスタジオで撮影する際に、上からカメラを下に向けて撮影するのを『俯瞰』と言ったり『天吊りカメラ』と言ったりするが、それを疑似的に実現する機能だ。
実際に行う場合には、大きな三脚とブームを使ったり(一眼レフを真上に安全に固定するのは大変なのだ)、場合によってはスタジオの天井に穴を開けて2階から撮影したりと、大掛かりな撮影になりがちなのだが、これを手軽に実現するのがこの『デスクビュー』だ。
工作とか、イラストの描き方とか、料理などのYouTuberの人は、俯瞰のカメラをよく利用されているが、大変だと思う。
そこに登場したこの機能。クレイグ・フェデリギと担当エンジニアのデモがあまりに上手すぎて、『すごい機能だ!』と注目されたが、それなりに使い方にコツはいる。
まず、MacBook Air M1にiPhone 13 Pro Maxを取り付けて、試してみた。
得られた映像はご覧の通り。話者である筆者を撮影すると同時に、デスクの上も撮影されている。充分に明るいとはいえないリビングだが、筆者の顔が鮮明に写っているのはさすがiPhone。デスクの上のキーボードとマウスは、ご覧のように少々歪んで写る。上の写真のような位置関係のカメラからだと、いくら画像を変換しても、これが限界なのはご理解いただけると思う。
大型のディスプレイの上に装着するのがコツ
ここで、アップルのWWDCのKeynote動画をよく見直してみよう。
クレイグ・フェデリギとFaceTime通話を開始したエンジニアは、『iPhoneとPro Display XDRを使っている』と言っている。つまり、デスクビューをデモしたカメラは、ノートパソコンの上でなく、Pro Display XDRの上に付いているのだ。
位置関係でいえばこういう感じ。筆者はディスプレイにMacを固定する適切なアダプターは持っていないので、iPhoneをガムテープで貼っている。
どういうことかというと、ノートパソコンの上ぐらいだと『天吊りカメラ』というには辛いが、外付けの大型ディスプレイの上に装着すると、『天吊りカメラ』という状況に近くなるのではないかということだ。
また、あのデモを思い出していただければ分かるように、厚みの少ないものであれば、デスクビューの欠点は露呈しにくい。つまり、あのデモでエンジニア氏がトランプのカードを広げて見せたのは必然だったということだ。
というわけで、種も仕掛けもあるが便利なデスクビュー。ある程度クオリティが必要な場面では難しいが、ミーティングでちょっとデスクの上を見せるぐらいなら十分に使えると思う。
その際のコツは、『iPhoneを高い位置に固定する』『厚みのある対象は撮影しない』ということである。上手く、ご活用を。
(村上タクタ)
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