コロナ禍の巣ごもり需要で超高額落札続出!
2020年初頭から全世界を未曾有の混乱に陥れたコロナ禍は、一方で巣ごもり需要を呼び、世界中にコンピュータゲームのプレイヤーを増加させた。その流れに乗ってか、テキサス州ダラスに本拠地を置く多国籍オークションハウス、偶然にも「昭和50年男」版元と同様な社名の「ヘリテージ・オークションズ」が、驚愕の競売結果をSNSで発信。
まずは21年4月2日、NES(海外版ファミコン)用ソフト『MegaMan(ロックマン)』14万4,000ドル(約1,600万円)、同5日、NES『Super Mario Bros.』66万ドル(約7,300万円)。さらに3ヶ月後の7月9日には、NES『The Legend of Zelda(ゼルダの伝説)』87万ドル(約9,600万円)、トドメが同12日、NINTENDO64用ソフト『Super Mario 64(スーパーマリオ64)』156万ドル(約1億7,200万円)の超高額落札だ。
もっともこの一連の流れは、直後の8月にオーストラリアの調査ジャーナリストであるユーチューバーによって、中古ゲーム市場のバブルを人為的に引き起こしたものとして、糾弾されもした(もちろんオークショニア側は否定)のだが。そんなニュースの見出しだけを拾い読み「ひょっとしたらオレが昔買ったレトロゲームも高額に?」と目論んだ筆者は、押し入れの古いダンボール箱を開き、4ハードのソフトを1本ずつ小脇に抱えた。
実際、昭和50年男世代が愛したほとんどのゲーム(コンシューマ、アーケード問わず)は、現行機向けに当時のまま移植され、数百円からダウンロードして購入できる状況。人気作ならリメイクやリマスターにもこと欠かず、ブツ自体に強烈な思い入れがなければ、手放すのもやぶさかでない。
メイドの誘惑を断ちいざ混沌の店内へ
そうは言っても大手リサイクルチェーンではザックリ値付けでガッカリ不可避…。ならば、その道のプロに委ねるべし! というわけで向かったのは、日本が誇るデジタルシティ、東京・秋葉原の「スーパーポテト」。株式会社 J・フィールド運営の中古ゲームショップとして大阪・日本橋に誕生し、売買以外に本体修理やバックアップ電池交換なども引き受け(※1)、2000年代よりゲームファンに愛されてきた。現在は東名阪に6店舗を構え、なかでもレトロゲーム在庫数国内1の呼び声も高いのが、この秋葉原店なのだ。
出迎えてくれたのは店長の小村さん。ソフトやグッズがところ狭しと陳列された棚に圧倒されながら話を聞いた。それにしても、平日の昼間だというのに、外国人の客がひっきりなし!
「そうですね、ウチのお客さんはもうほとんど外国人。だから他店とはちょっと値付けが違っていて、やや高いかもですね」
各国の旅行ガイドに掲載され、近年はマンガやアニメをアートの域で論じてくれる欧州や、先進ジャンル、文化への関心が高い中東からの客が多いそうだ。
「人気はやはりマリオやソニック、ロックマンなど世界的に有名なキャラ、(少年)ジャンプ系のマンガ原作ゲームですね。『ファイナルファンタジー』を筆頭に スクウェアブランドも売れ筋です。仕入れ数も多いですが、並べた端からすぐ売れていきます」
メイド・イン・ジャパンなキャラの原作(日本版)を手に入れるのがうれしいのだろう。
「逆に国内で人気のプロ野球モノや、『ゲゲゲの鬼太郎』、『六三四の剣』といったマンガ原作のゲームは、あまり出ないかな」
年度版の多いスポーツ系は売却候補にもなるので残念だが、『ウイニングイレブン』だけは売れるようで、サッカー人気と客 層が符号するのもおもしろい。
売却時に気になる査定ポイントとは?
「状態、希少性、付属品の有無ですね。外国人のお客さんが多いといっても、国内コレクターが探しているモノも把握していますので、滅多に出ないようなシロモノは逃しません」
気になる価格設定は、どんなタイミングで行っているのか?
「高額オークションのニュースやリメイク作品の発表はもちろんチェックしますし、意外なソフトがゲーム実況動画でバズっ たりもするので、価格の調整は常にしています。販売も買取も」
最後に、筆者の持ち込みソフトは果たして“お宝”だったのか? 左のカコミをご覧あれ。買値が3割なら店頭に並べば5ケタの売値は必至! 身も心もホクホクで帰路に着きましたとさ。
※1…修理・電池交換などのサービスは、現在では終了し非対応。
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