「レッドウィング・ジャパン」小林社長に訊く、レッドウィングを支えた日本市場への想いと展望。

レッドウィングの世界的な人気は、日本から始まったムーブメントの影響が大きい。そこで、レッドウィングを支えてくれた日本のファッションへの想いと今後大切にしていきたいと考える3つのキーワードについて、今年で創立20周年を迎えるレッドウィング・ジャパンの小林社長に語っていただいた。

日本での人気がレッドウィングを大きく変えました。

ライトニング編集部(以下/ラ)/レッドウィング・ジャパンが20周年、おめでとうございます。小林さんとレッドウィングの出会いを教えていただけますか。

小林社長(以下/小)/私はレッドウィング・ジャパンの立ち上げメンバーとして入社しました。それまではレッドウィングのことを全く知らない普通の会社員でした(笑)。日本支社はレッドウィングにとって初の海外支社だったので、そのノウハウもない中で本社の方たちと連携してきちんと会社の仕組みを作っていきました。

ラ/そうだったんですね! 初めての子会社を日本に作るということになったきっかけは、やはり1990年代の日本市場での大ブームが大きく影響したのですか。

小/そうですね。当時日本で#875に代表される6インチ クラシックモックが大人気になり、レッドウィングが日本のファッション市場を席巻しましたが、アメリカでこのモデルは、主に工事現場で履かれることが多いブーツでした。それが代理店だったミドリインターナショナルやライトニングのようなファッション誌のおかげで、大ブームになった。だからアメリカの本社では「なんで日本でそんなに売れているんだ?」という感じだったんですよ。その後、ヴィンテージやアメカジのブームが落ち着いて売り上げが大きく落ちたんですけど、それによって日本市場の大切さを実感し、その市場をしっかり理解してきちんと対応していくために日本支社の設立に至ったんです。いまでは世界に拠点が5か所あります。

ラ/なるほど。レッドウィング・ジャパンの設立によって、それ以前とどのように変わったのか、教えていただけますか。

小/レッドウィング・ジャパン設立後、しばらくしてファッション的にブーツを提案するヘリテージ部門がアメリカ本社で設立されました。レッドウィングは現在まで頑なに『働く人の足元を守るワークブーツ』を作り続けていますが、最新のテクノロジーを取り入れながら安全靴を作るワーク部門と、伝統や昔ながらのブーツ作りを守りながらファッションというフィルターを通して提案するヘリテージ部門に分け、各々の市場に向けてしっっかり打ち出すようになったんです。特にヘリテージ部門では、伝統的なワークブーツをしっかり後世に伝えていくことも命題のひとつに掲げています。

ラ/このご時世で価格を抑えながらアメリカ製を貫く姿に、その精神性を感じます。

小/そうですね。自社タンナーで原皮から鞣しているからこそ、価格を抑えることができています。レッドウィングって現在まで親族経営だからこそ本当に素朴で、昔から何も変わることなく現在もブーツを作り続けているんです。見た目のデザイン性ではなく、機能から生まれる飾らないカッコよさがレッドウィングの魅力だと思っているのですが、本質を大切にする日本のファンの方たちがそこにいち早く気付き、大きな支持を得たのだろうと思っています。最近ヴィンテージや古着が若い世代にも人気ですが、それらも本質は同じで、だからこそ20代にレッドウィングのブーツがまた支持され始めているんですよ。

ラ/えっ⁉ そうなんですか?

小/3年くらい前から最も多い購買層が20代の新規の方。次が40代のリピーターです。一番人気のブーツはやはりアイコニックな#875です。そして2016年にはその女性用#3375もリリースしました。すごく軽量で「初日からやさしい」のに、機能性は#875と同じでクッション性はさらに高いというのが特徴です。実は雌牛の革を使っているのでストレッチ性があって履きやすく、女性ファンも増えています。私も大好きでよく履いています。

ラ/カップルや夫婦でも履けるのでファンとしては嬉しいですよ! 6インチのクラシックモックでは、パステルカラーのモデルも出したりしていますよね。その発想はどこから来るのですか。

小/実はアメリカ本社で企画しています。6インチのクラシックモックは70年前に生まれたブーツですが、その根底にある価値観は何も変わっていません。ただお客様の層が広がり、その様々なニーズに応えるための柔軟は発想をカタチにしようと多様性が生まれました。こういう革をすぐ作れるのも自社タンナーだからこそ。ニッチでエクスクルーシブなブランドではなく、皆に履いてもらいたいというのがレッドウィングのスタンスなんです。面白いのは、そういう新たな試みをやりながらも、日本ですでに浸透しているポストマンやスーパーソールを、今になって世界的に打ち出し始めたりもしています(笑)。

一番人気だという6インチのクラシックモック#875。この1足は小林さんがとにかくオススメだというオロ「レガシー」という革を使用。左はその女性用モデル#3375

ラ/日本から始まったファッションとしてのレッドウィング人気は、世界中に広がっているんですね。レッドウィングにとって、やはり日本がマーケットリーダーなんですね。今後の日本市場に向けての展望はありますか。

小/考えています。20年後、30年後になってもレッドウィングを好きでいてもらえるように、自分たちが何をしていけばいいのかを考えていて、以下の3つの要素が重要だと思っています。1つは「Dependabillity=信頼性」。耐久性だけでなく、どんなファッションに合わせてもカッコイイと思ってもらえる存在であること。2つめは「Respect=尊敬」。ブランドに対して敬意や憧れを持ってもらえること。3つめは「Inspiration=ひらめき」。自分の可能性を広げるてくれる存在であること。レッドウィングが、これらの3つの要素を持つブランドであると誰もが思う存在になれるように尽力したいと考えています。そのためにYouTubeチャンネルを開設して、モノを手に取っただけではわからない魅力を伝えたり、直営店=目に見えない価値を伝える場所として考え、今はどんどん増やしているところです。履いたことがない方にはその魅力を知ってもらい、履いている方にはさらに奥深く知っていただき、レッドウィングをカルチャーとして根付かせていきたいです。

ラ/最後に日本のファンへ一言お願いします。

小/この20年間で社会は大きく変化しました。ファッションの趣向や流行が激変する中で、年齢層や性別に関係なく、支持され続けていることに感謝しています。ありがとうございます。日本での大ブームがあって現在のレッドウィングが存在しています。これからも変わらずによいブーツをできる限り買いやすい価格で御提供できるように尽力していきたいと思っています。

レッドウィング・ジャパンの代表取締役社長を務める小林由生さん。レッドウィングのヘリテージ部門で日本とアジアを管轄し、アメリカ、ヨーロッパの各責任者とともに商品企画も担当している。前職はパンプスを履く会社員でワークブーツとは無縁だったというのが驚き

(出典/「Lightning 2025年5月号 Vol.373」)

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ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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