U.S.NAVYのロングセラーと、ミステリアスなモデル。

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。

1943年から採用された、米海軍の『N-1 WINTER JACKET』。

正式な米海軍のユニフォームカタログには、次の記載されている。

「防寒のために新しく改良されたウエアは、より暖かくそれでいて自由に動くことができる。この軽くてコンパクトな衣服は、陸上部隊のために開発された衣料に対する最高の防護服だ。多くの新しい機能とディテールが盛り込まれ、すべてのパーツは快適さを満たすために特別にデザインされている。既存の衣服から新しいデザインに加え、いくつかの新しいアイデアが盛り込まれている。

例えば、ジャケットもズボンも裏地付きで、かさばったりパタパタするルーズなポケットがない。このジャケットの表素材は、上質なコットンの通称ベッドフォード・コードで仕立てられる。裏地は改良されたダブルフェイスで、フランネルやシープよりはるかに優れている。保温性と撥湿性に優れ、軽量でかさばらない。細かく織られているがしなやかなこの素材は、撥水性はあるが防水性はないが、短時間のにわか雨なら十分に保護できる」

これが、N-1が画期的なもので、長らく採用された所以なのだ。

Lot 2227 FINAL FORM OF WWⅡ 1945 N-1 WINTER JACKET KHAKI (NXSX 79062) AK162 USS Beltrami

1945年に納入された後期型のもの。製造業者は『Cornelius Weiss Co, Brooklyn, NY』という記録がある。ネームプレートから太平洋戦争を戦った艦船の乗組員が着用したものであると分かるが、背面のステンシルから、その艦船が『USS ベルトラミ(AK-162)』であったことが判明した。第二次世界大戦中、USSベルトラミはアジア太平洋戦域を担当。この1着はデッキクルーからの人気も高く、大戦後も長くデッキジャケットとして海軍のクルーに着用された。15万700円

米海軍のクルーがデッキコートとして使用していたサイドラインコート。

ファイアファイターコートと並び、男のプライドあるユニフォームとして知られるのがフック式の“サイドラインコート”だ。この冬、ジョン・グラッコーから発売したそれは、長年ヴィンテージ衣料を研究してきたジョンをもってしても、ミステリアスなものだった。ジョン・グラッコーは語る。

「このコートが海軍兵学校のものだとは思えないのです。その場合、ステンシルにはUSNAと書かれているはずだから。また、ヴィンテージの黄色い長方形のペイント下には、ブルーのデッキジャケットによく見られる『US NAVY』のプリントの輪郭が見えた。このことから、米海軍が支給したものである可能性が考えられます。通常、米海軍のユニフォームも大量に生産するからです。

このサイドライン・タイプのコートは、防寒・防風・防雨を目的としています。N-1以前のブルー・デッキジャケットの時代には、ロング・デッキコートが限定生産されていたのかもしれない。グリーン・デッキジャケット(N-1)時代にはロングデッキコートがあります。もしかしたら、ブルーのデッキコートというアイデアを試すため、このコートが生産されたのかもしれません。あるいは、“ウルスラ・ジャケット”のように、イギリス海軍の艦長が必要性を感じて、自分の艦のために特別にロングコートを注文したのかもしれないのです。

そして、もちろん常識的には、ある水兵がロングコートが必要だと感じてこのコートを購入し、船に乗り込んでからステンシルを加えたというものもある。どちらにしても、このコートはとてもミステリアスなものなのです」

この考察からも、このコートはフットボールのグラウンドで着用されたというよりも、あの「デッキフック」のコートバージョンとして、限定的に着用されたものと考えることができるだろう。

John GluckowLot JG-26 Naval Sideline-Deck Parka プリント

1940年代のサイドラインコートは、米海軍のクルーがデッキコートとして使用していたそう。ヴィンテージのデッキジャケットのようにステンシルボックスの下には、定番の「US NAVY」のステンシルプリントが施されていた。生地をボンディング加工することで、防水性と防風性を高めた、アスレチックとミリタリーの世界を掛け合わせたような、非常に珍しくて興味深い1着である。12万1000円

【問い合わせ】
ウエアハウス
http://www.ware-house.co.jp

(出典/「Lightning 2025年3月号 Vol.371」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

遊びをぎっしり詰め込んだ“俺ジーンズ”を作ってみた。

  • 2026.07.29

児島に本社と工房を置くベティスミスでは、その人に合ったジーンズをフルオーダーで作ることができる。そこで編集部スタッフが現地へ赴き、わがまま言い放題の“俺だけのジーンズ”をオーダー。その様子と完成品をレポートする。 編集・ジョージ(右)|編集部イチのジーンズ偏愛者といっても過言ではない。とんでもないジ...

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...

Pick Up おすすめ記事

朗報!「ウエアハウス」最高峰レーベルの最高傑作DDシリーズ「1001XX」が待望の再入荷。これは見逃すな!

  • 2026.08.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 「1001XX 1947」が近日入荷。夏の装いに欠か...

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。